製造業の外国人採用|在留資格3種の現実解と定着の設計

製造業の外国人採用|在留資格3種の現実解と定着の設計

「現場が回らない」「ここ数年、若手からの応募がほぼゼロになった」
――今、製造業の経営者や人事担当者から、こうした悲痛な声を伺う機会が増えています。
かつて「リーマン・ショック以降の人手不足は一巡した」と言われた時期もありました。
しかし、2020年代に入ってからの構造的な労働力不足は、もはや一時的な景気の波によるものではありません。
今や製造業における外国人採用は、単なる「選択肢のひとつ」ではなく、現場を持続させるための「必須条件」になりつつあります。

本記事では、ものづくり現場の人手不足を「外国人材」によって解決するために、押さえるべき3つのポイントを公的機関の数字をもとに整理しました。

  • 「在留資格3種類」の正しい使い分け

  • 「業種別」の具体的な活用パターン

  • 採用から「定着」までの仕組み設計

読み終えるころに、自社にとってどの在留資格が現実的か、何から手を付ければよいか、という具体的な輪郭が見えるはずです。
執筆は、ネパール現地の自社教育機関で人材を育成し、日本企業へ紹介しているG-Star HR Linkです。
製造業のサポート実績が豊富であり、本記事では現場のリアルな視点から、「具体的な数字と段取り」を分かりやすく解説します。

製造業の人手不足は景気の話ではなく「構造の話」になっている

製造業の構造的な人手不足

まずは現状の認識から揃えていきます。
結論から申し上げれば、製造業における人手不足は、もはや景気の波による一時的な問題ではありません。日本の人口動態と産業構造そのものに起因する「構造的な問題」であり、今後も深刻化し続けることが確実視されています。

製造業の就業者数は約30年で3分の2に減少、若手不足はさらに深刻

経済産業省などがまとめた「ものづくり白書(2025年版)」によると、製造業の就業者数は2023年に1,055万人、2024年には1,046万人と減少が続いています。1990年代半ばのピーク時には1,500万人を超えていたことを考えると、この約30年で3分の2近くまで縮小してしまった計算になります。

さらに深刻なのが、働く人の高齢化です。 34歳以下の若年層が占める割合は下がり続けており、白書でも「熟練の技術を引き継げない」「現場の世代交代が進まない」という危機感が繰り返し指摘されています。
背景には、サービス業やIT業界の人気に押され、就職先として選ばれにくくなっているという厳しい現実があります。

データが裏付ける「人が足りない」ものづくり現場のリアル

厚生労働省のデータ(一般職業紹介状況)によると、製造業の中心である「生産工程の職業」の有効求人倍率は1.5倍前後で高止まりしています。これは全産業の平均(約1.2倍)を大きく上回る数字です。
特に地方の中小製造業では、「日本人の応募がまったく来ない」という悲痛な声が珍しくありません。
また、中小企業庁の調査による「従業員数過不足DI(雇用の過不足感を示す指標)」を見ても、中小製造業の数字は大きく「不足」へ傾いています。

コロナ禍で一時的に落ち着いたように見えた人手不足ですが、今やコロナ前の「極めて人が足りず、現場が逼迫した状態」に逆戻りしているのです。
図1:製造業を取り巻く人手不足指標(2024年時点)/構造的人手不足を示す3つの数字

製造業就業者数(2024年)

1,046万人

前年比 −9万人/ピーク比 約3分の2

生産工程の有効求人倍率

1.5倍前後

全産業平均1.18倍を大きく上回る

中小製造業 過不足DI(2024年)

−18.2

コロナ前の不足超水準に完全復帰

出典:経済産業省・厚生労働省・文部科学省「2025年版ものづくり白書」、厚生労働省「一般職業紹介状況」(2024年)、中小企業庁・中小企業景況調査をもとに作成

外国人労働者は過去最多。その最大の受け皿は「製造業」

こうした深刻な人手不足を埋める存在として、急速に拡大しているのが「外国人労働者」です。
厚生労働省の最新データ(令和6年10月末時点)によると、国内で働く外国人労働者数は約230万人に達し、過去最多を更新しました。

注目すべきは業種別の内訳です。製造業で働く外国人は約60万人と、全体の26.0%を占めており、あらゆる産業の中で圧倒的トップとなっています。これは、同じく人手不足が叫ばれる建設業の3倍以上の規模です。
もはや日本のものづくり現場は、外国人材なしには成り立たないと言えます。

ここで重要なのは、「外国人を雇うべきかどうか」を悩む段階は、すでに終わっているということです。同業他社や取引先の多くは、すでに何らかの形で外国人材を巻き込んで動き出しています。
今、私たちが向き合うべきなのは「雇うか否か」ではなく、「自社にはどの在留資格がベストで、どうすれば長く定着してくれるか」という具体的な設計のフェーズなのです。

在留資格別の選択肢

製造業で活用できる、主要な「3つの在留資格」

採用するにあたり、まず検討すべきなのが「どの在留資格(ビザ)を使って受け入れるか」という点です。製造業で使われる在留資格は、技能実習・特定技能・高度人材(技術・人文知識・国際業務)の3種類です。これら3つの資格は、採用の「目的」や「滞在できる期間」だけでなく、必要な「コスト」や「自社で準備すべき受け入れ体制」まで大きく異なります。

1. 技能実習(※2027年4月から「育成就労」へ移行)

1993年に始まった「技能実習」は、本来「途上国への技術移転」という国際貢献を目的とした制度です。最長5年の滞在が可能で、製造業では機械加工や金属プレス、溶接、食品加工など、非常に幅広い現場で活用されてきました。
しかし、この制度は2027年4月に廃止され、「育成就労制度」へと生まれ変わります。新制度では、建前ではなく「日本の人手不足の解消(人材確保と育成)」が明確な目的に据え直され、就労開始時の日本語能力要件、本人意向による一定範囲での転籍を認めるなどの変更が入ります。
2030年頃までは従来の技能実習との並行運用が続く見込みですが、いまから新規の受け入れを始めるのであれば、最初から「育成就労」やその先の「特定技能」を見据えた体制を組んでおくことが賢い戦略となります。

2. 特定技能(製造業の主流。1号で最長5年、2号は更新無制限)

2019年に新設された「特定技能」は、深刻な人手不足を解消するために生まれた、「即戦力」の外国人を受け入れるための資格です。
製造業では主に「工業製品製造業」「飲食料品製造業」の2つの分野が該当します。特に「工業製品製造業」は、過去に分かれていた3つの分野(素形材・産業機械・電気電子)が統合され、現在は10の業務区分で幅広く活用できるようになりました。
出入国在留管理庁のデータ(令和7年6月末時点)では、工業製品製造業の特定技能者は約5万人を突破。制度開始から数年を経て、いまや現場の強力な戦力として定着しています。

特定技能の主な特徴は以下の通りです。

  • 特定技能1号(最長5年):「日本語(N4相当)」と「技能」の試験に合格すれば就労可能。

  • 特定技能2号(上限なし):1号からステップアップ。在留期間の上限がなくなり、家族を日本に呼ぶことも可能で、将来的な永住申請にもつながる。

  • 同一分野内であれば本人意向での転職が制度上認められる(技能実習との大きな違い)。

  • 受入機関は「製造業特定技能外国人材受入れ協議・連絡会(サポート&不正防止のためのネットワーク)」への加入義務。

現在、製造業における「2号」の対象は、機械金属加工・電気電子機器組立て・金属表面処理の3区分です。現場のリーダー(工程管理や後輩の指導ができるレベル)としての実務経験と試験合格が必要ですが、「将来的に現場の中核クラスを任せたい優秀な人材」を長期で雇い続けられるルートとして、熱い視線が注がれています。
出入国在留管理庁の集計では、工業製品製造業分野の特定技能在留外国人数は令和7年6月末時点で51,473人と、飲食料品製造業に次ぐ規模に育っており、制度開始から5年で実用フェーズに入っています。

3. 高度人材(技術・人文知識・国際業務)

製造業における設計や生産技術、ITといった領域は「単純労働」とはみなされません。こうした専門職の外国人を正社員雇用する際は、この「技人国(ぎじんこく)」という在留資格を取得するのが基本です。
対象は、大学や専門学校で関連分野を専攻し、卒業した人材です。主に、日本の学校を卒業した留学生や、海外からの新卒採用を中心に活用されています。
この資格は家族の帯同が可能で、在留期間も更新を重ねることで実質的に長期就労が可能です。将来的な永住権も視野に入ります。 現在の製造業では、「海外工場との橋渡し人材」や「社内DXを推進するエンジニア」を確保する戦略的な文脈で、導入が広がっています。

図2:製造業で使える在留資格3種の比較

項目

技能実習(→2027年 育成就労)

特定技能1号/2号

技術・人文知識・国際業務

制度目的

技能移転(育成就労は人材確保へ転換)

人手不足分野での即戦力確保

専門職としての就労

在留期間

最長5年(1号+2号+3号)

1号:通算5年/2号:更新制で上限なし

更新制で上限なし

家族帯同

不可

1号:不可/2号:可

転職

原則不可

同一分野内で可

専門分野内で可

主な要件

入国前研修+技能検定の段階受験

日本語N4相当+分野別技能評価試験

学歴・専門性と職務内容の合致

主な担い手

監理団体経由の受入

登録支援機関+人材紹介会社

人材紹介会社・新卒採用

製造業での位置づけ

ラインオペレーションの幅広い職種で長く使われてきた

いま最も伸びている主力。2号で中核人材化も可能

設計・生産技術・品質・IT 等で活用

出典:出入国在留管理庁「特定技能制度」「在留資格一覧表」、JITCO「技能実習制度」「育成就労制度」資料をもとに作成

まずは30分の無料相談から、お気軽にお悩みをお聞かせください。

G-Star HR Linkは、製造業出身の創業者が立ち上げた外国人材紹介会社です。
自動車部品・電子部品・食品加工・機械加工など業種ごとの実情や課題を深く理解しているからこそ、単なる紹介にとどまらない最適なサポートが可能です。

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業種別に自社に最適な在留資格をチェック

「製造業」と言っても、自動車部品、電子部品、食品加工、機械加工など、分野によって現場の作業も求められるスキルも違います。そのため、選ぶべき在留資格の「正解」も業種ごとに異なります。
まずは自社に近い業界のパターンをチェックしてみましょう。

自動車部品・輸送機器:技能実習と特定技能の併用が主流

東海圏(愛知・静岡)に集中する自動車部品・輸送機器メーカーには、日系ブラジル人やペルー人など、南米系の定住外国人を雇用してきた歴史があります。 例えば、浜松市では人口の約3%を外国籍住民が占め、ホンダ、スズキ、ヤマハ、カワイといった輸送機器・楽器メーカーの生産現場は、これら定住者の方々によって支えられてきました。

近年は、この基盤に加える形で、アジア圏(ベトナム・フィリピン・ネパールなど)から「技能実習」および「特定技能(工業製品製造業 機械金属加工)」による人材受け入れが加速しています。
現在の東海圏における中堅サプライヤーでは、「現場リーダーは日系定住者+ベテラン日本人、新たな戦力は特定技能」という階層構造が典型的なモデルとなっています。

電子部品・電気電子機器組立:特定技能2号への移行を意識した設計を

電子部品・電気電子機器の組立工程は、特定技能の「電気電子機器組立て」区分の対象であり、長期就労が可能な「特定技能2号」にも対応しています。手先の器用さや高い集中力、さらには歩留まり(良品率)改善を意識した自律的な働き方が求められるため、「真面目に長く働ける人材」の獲得・育成に相性がよい在留資格です。

企業側の設計として、まず1号として5年間勤務してもらい、その間に技能検定への合格を経て2号へ移行させるキャリアパスが効果的です。2号へ移行すれば家族の帯同が可能になり、本人にとっても「日本で長期的な生活基盤を築く」という明確な展望が生まれます。
このようなキャリアステップ明示が、就労モチベーションを高め、定着率を大幅に向上させます。

食品加工:飲食料品製造業分野の特定技能が中心

食品加工メーカーが特定技能外国人を受け入れる場合、対象となる区分は「工業製品製造業」ではなく「飲食料品製造業」になります。これらは所管省庁や加入する協議会、課される試験内容が完全に異なるため、求人を出す際には注意が必要です。
求められる人材像としては、HACCP(ハサップ)に基づく厳格な衛生管理を理解・実践できるレベルが基準です。また、他の製造業分野に比べて女性の受け入れ比率が高い傾向にある点も大きな特徴です。

機械加工・金属プレス・溶接:技能実習からの伝統的な分野+特定技能 機械金属加工

板金、機械加工、金属プレス、溶接などは、これまで技能実習制度で人材を受け入れてきた伝統的な分野です。
今後の法改正を見据えると、「技能実習・育成就労 → 特定技能1号 → 特定技能2号」という長期的なキャリアパスの構築が可能になります。企業側の人材投資に対する考え方も、従来の「3年で帰国することを前提とした労働力の確保」から、「10年単位で現場の中核を担うハイレベルな人材の育成」へと発想を転換していくことが、投資対効果を最大化する上で重要になります。

繊維・縫製:地方中小製造業で続く分野

地方に立地する中小製造業において代表的な外国人材の受け入れ分野です。特定技能「工業製品製造業」分野の「紡織製品製造」および「縫製」区分がこれに該当します。技能実習制度を巡る問題が大きく取り上げられた分野でもあり、過去の批判を踏まえた誠実な処遇・労働環境の整備が、いま受入を考える企業にも求められます。

現場での協働—早期離職を防ぐ取り組み

「採用したのに辞めた」を防ぐ:早期離職の原因と対策

外国人採用の最大の難所は入国手続きではなく「定着」です。多大なコストをかけても、約25〜30%が1年以内に離職する現実があります。
離職の主因は業務のきつさではなく、「生活面」や「人間関係」の日常的なストレスです。現場の過酷さは覚悟して来日するものの、「指示が伝わらない」「相談相手がいない」「寮で孤立する」といったストレスが累積し、ある日突然離職に至るケースが後を絶ちません。
主な理由は「指導への不満」「生活サポート不足」「面接時とのギャップ」です。現場でのコミュニケーション不足と私生活の孤立を解消する仕組み作りが、定着率向上のカギとなります。

外国人材の定着率を向上させる「5つの受入体制」

採用後の早期離職を防ぎ、現場への定着率を実務的に高めるために、採用前に最低限整えておきたい体制を5つのポイントに整理しました。

  1. 多言語マニュアル・作業手順書の整備
    母国語と「やさしい日本語」の両方を用意。テキストだけでなく動画化を進めることで、現場での指導工数を大幅に削減できる。

  2. 専任の教育担当(OJTメンター)の配置
    社内に現場リーダーと通訳役を兼ねるような存在を配置。指導する日本人社員側にも「外国人への教え方」のスキルを身につけてもらう。

  3. 生活サポート窓口の設置
    住居の確保、銀行口座の開設、医療機関への対応、宗教上の配慮まで、日本での暮らしに関する相談導線をつくる。

  4. 定期的な1on1(面談)の実施
    通訳を同席させた上で、最低半年に1回は本人のキャリア希望や現場での困りごとをヒアリングする機会を設ける。

  5. 日本人社員向けの異文化研修
    受け入れ側(日本人社員)の異文化理解リテラシーの高さこそが、実は定着率を最も大きく左右する重要要素。

【実務上の注意点】
特定技能の場合、受入機関には「事前ガイダンス」や「生活オリエンテーション」など10項目の法的支援義務が課されており、登録支援機関への委託も可能です。しかし、「義務を果たすこと」と「現場に定着させること」は別問題です。委託先任せにせず、自社のメンター制度と組み合わせて初めて、真の定着へとつながります。

外国人採用にかかるコスト感をリアルに掴む

外国人採用にあたり、具体的なコスト構造を把握しておくことが不可欠です。
製造業で特定技能外国人を1名採用するコストは、紹介会社等の情報によると概ね以下の通りです。

  • 初期費用:50万〜150万円 / 人 (内訳:紹介手数料、送出機関手数料、ビザ申請費用、渡航費、住居準備費用など)

  • 登録支援機関への委託費用:月額1.5万〜3万円 / 人 (「10項目の支援」を委託する場合)

  • 製造業の業界団体負担金(協議会費用):年会費24万円 + 月額1.25万〜2万円程度 (※受入機関側に義務づけられている「製造業特定技能外国人受入れ協議会」への加入・維持費用)

  • 給与(人件費):日本人と同等以上(法令上の義務) 同等の業務内容である場合、外国人であることを理由に日本人と給与差をつけることは認められない

コストを評価するための視点
「監理団体経由の技能実習・育成就労」「紹介会社経由の特定技能」「母国の大学からの新卒採用(技人国)」など、採用ルートによってコスト構造は変動します。
正確な評価には「初期費用を想定在籍期間(3年/5年)で割り、月割の追加人件費に換算する」手法が有効です。これにより、「現場の生産性向上」「日本人採用の代替コスト」「残業削減効果」などのリターンと直接比較しやすくなり、投資対効果の正確な判断が可能になります。

採用前に企業側が整備すべきチェックリスト

外国人採用の最終的な意思決定を下す前に、以下の8項目をひと通りチェックしてみてください。

  1. 在留資格の選定: どの在留資格(技能実習、育成就労、特定技能1号・2号、技人国など)で受け入れるか、第1希望・第2希望まで決まっているか

  2. 対象業務の確認: 任せる予定の工程・業務区分が、その在留資格の対象業務に正しく含まれているか

  3. 住居の確保: 社員寮や近隣の賃貸物件など、住居を手配する見通しがあるか

  4. マニュアルの準備: 多言語マニュアルの整備、またはそれを進める予算や担当者が確保できているか

  5. 現場メンターの選定: 現場のリーダー層の中に、外国人材の教育担当(メンター)を任せられる人物がいるか

  6. 待遇の設計: 給与や処遇について、法令通り「日本人と同等以上」で設計できているか

  7. 外部パートナーの基準: 登録支援機関、監理団体、人材紹介会社などを選ぶ際、どのような基準で選定するかが社内で言語化できているか

  8. 長期活用計画の共有: 特定技能2号への移行や定年までのキャリアパスなど、5年・10年単位での活用計画を経営層が共有しているか

判定の目安

  • 「Yes」が 5〜6項目以上: 紹介会社や登録支援機関への、具体的な問い合わせ・商談フェーズに進んで問題ありません。

  • 「Yes」が 半数以下(4項目以下): まだ準備不足の可能性があります。まずは信頼できる専門家や相談先を見つけ、一緒に組み立てていくことをおすすめします。

よくある質問

Q1. 技能実習は2027年に廃止されると聞きました。いま受け入れても大丈夫ですか?

A. はい、いま受け入れても問題ありません。
「廃止」というよりも、2027年4月1日から「育成就労制度」へ再編されるというのが正確な表現です。 2030年頃までは移行期間として技能実習と並行運用されるため、いま始めても急に在留資格を失うことはなく、新制度へスムーズに移行できます。
ただし、これから新規の受け入れ設計を組むのであれば、最初から「育成就労や特定技能への移行」を見据えた体制を整えておくことをおすすめします。

Q2. 自社の業務が特定技能「工業製品製造業」の対象に入るかわからないとき、どこで確認できますか?

A. 出入国在留管理庁が公表している「工業製品製造業分野の業務区分」が一次資料(公式情報)となります。
現時点では、機械金属加工、電気電子機器組立て、金属表面処理、紙器・段ボール箱製造、コンクリート製品製造、RPF製造、陶磁器製品製造、印刷・製本、紡織製品製造、縫製の「10区分」が定められています。自社の日本標準産業分類(JSIC分類)と、実際の業務内容をこの区分に突き合わせることで判断が可能です。
もし判断に迷う場合は、該当する協議会へ直接確認するか、外国人材の紹介会社や登録支援機関へ相談するのが確実です。

Q3. ネパールやベトナム、フィリピンなど、出身国による違いは大きいですか?

A. はい、国ごとの送出制度や教育水準、宗教、生活習慣などが異なるため、現場での「馴染みやすさ」には一定傾向の違いがあります。
例えばネパールの場合、ヒンドゥー教徒や仏教徒が中心であるため食事の制約が比較的少なく、平均年齢も25歳前後と若いのが特徴です。また、母国でのバイリンガル教育(英語+ネパール語)が一般的なため、日本語の習得も早い傾向にあります。
ただし、あくまで一般的な傾向であり、最終的な定着を左右するのは「どの送出機関で、どのような日本語教育やマインドセット教育を受けてきたか」という点です。

Q4. 採用してから就労開始まで、どのくらい時間がかかりますか?

A. 特定技能の「海外採用ルート」の場合、書類選考・面接を行ってから実際に入国・就労を開始するまで、概ね3〜6ヶ月が目安となります。
期間の内訳としては、出入国在留管理庁への在留資格申請の審査に約1〜2ヶ月、その後の日本大使館等でのビザ発給や渡航準備にさらに約1〜2ヶ月を要します。
なお、技能実習や新たな育成就労制度でも同様のリードタイムが見込まれます。
一方、すでに日本国内にいる人材を採用する場合(在留資格の変更や、技能実習修了者からの特定技能移行など)は、これよりも短い期間で就労を開始することが可能です。

Q5. 製造業未経験ですが、外国人を受け入れたら現場の日本人スタッフは反発しないでしょうか?

A. 最も多くいただくご不安の一つですが、適切な準備と方針共有によって、大半の企業様が半年以内に落ち着いた体制を築かれています。
受け入れ当初多少の摩擦や戸惑いが生じることはあります。しかし、事前に「異文化研修」を行い、「教育担当」を配置した上で、経営層から現場へ「これは会社の方針である」と明確に伝えることで、現場はスムーズに順応していきます。
むしろ、実際に稼働が始まると「外国人材の真面目で熱心な働きぶりが、停滞していた若手日本人スタッフの良い刺激になった」というポジティブな声を多く伺います。最初の1人目を丁寧にフォローして成功させることが、その後の継続的な受け入れをスムーズにする最大の分かれ目となります。

まとめ

  • 製造業の人手不足は、就業者数の長期減少・有効求人倍率1.5倍前後・中小過不足DIマイナス18.2 と、構造問題として深まり続けている

  • 製造業に従事する外国人労働者は約60万人で全産業の26.0%、ものづくり現場は実質的に外国人材なしには成立しない

  • 製造業で使える在留資格は技能実習(→育成就労)・特定技能・技人国の3種類。業務区分と長期キャリア設計から逆算して使い分ける

  • 定着率を決めるのは「業務」より「生活とコミュニケーション」。多言語マニュアル、メンター制度、生活サポート窓口、定期1on1 を採用前から準備しておく

  • 初期費用50〜150万円/月額1.5〜3万円+業界団体負担金、というコスト感を「月割の追加人件費」として現場の効果と比較する

次に読むべき記事として、以下も合わせてご覧ください。

製造業の採用を、設計段階から一緒に

製造業の人手不足は、単に求人枠を増やすだけでは解決できない構造的な課題となっています。だからこそ、「どの在留資格を選び、どんな人材を募り、どう定着させるか」という採用の『設計図』を最初に描けるかどうかが、成否を分ける決定打となります。

今回の記事を読んで「自社でも採用を検討してみたい」と感じられたなら、私たちはその設計を一緒に描くところからお手伝いいたします。
私たちはネパール現地に自社の教育機関を構えており、創業者は元ヤマハ発動機のエンジニアです。ものづくりの現場を深く理解しているからこそ、最適な在留資格の選定から、受け入れ体制の整備、入社後の定着までを一気通貫で伴走できます。「最初の1人をどう成功させるか」という入口の段階からのご相談も、心より歓迎いたします。