ネパール人 採用の基本ガイド|在留資格・費用・フローを公的データで整理

ネパール人 採用の基本ガイド|在留資格・費用・フローを公的データで整理

「人手不足で現場が回らないのに、コストをかけて求人を出しても人が集まらない」――。

そこで注目を集めているのが ネパール人材の採用 です。
本記事では ネパール人 採用 を検討し始めた企業に向けて、公的データと現場視点で整理します。

なぜ今、ネパール人材が日本で選ばれているのか

ネパールの研修風景—若い世代の学習意欲

ネパール人材が急増している背景を「人口構造(データ)」の面から紐解きます。

平均年齢25歳前後の若さを誇る国

ネパールの総人口は約2,973万人。年齢中央値は25歳前後と、日本の約49歳に比べて約20歳も若い国です。

働く意欲にあふれた若い労働力が豊富に揃っているため、「求人を出しても20代の応募がない」と悩む企業にとって、ネパールは優秀な若手を採用できる貴重な供給源として大きな注目を集めています。

(出典: 外務省「ネパール基礎データ」、ワールドメーター「Nepal Demographics」、2024年時点)

英語+ネパール語のバイリンガル文化と高い日本語学習意欲

学校教育で英語が広く使われ、多くの若者がバイリンガル環境で育つため、新しい言語の習得も早い傾向です。

その高い学習意欲はデータにも表れており、日本学生支援機構(JASSO)の調査で、ネパール人留学生は2013年の約3,000人から2023年には約3万7,000人と、10倍以上に増加しました。現在、日本の学校で日本語を学んだ優秀な若者が、そのまま国内で就労へ移行するという安定した採用ルートが確立されつつあります。

【親日的文化】日本への信頼と、高い定着率

長年の経済協力を通じて良好な親日関係が築かれており、現地では「治安が良くフェアに働ける国」として日本が強く信頼されています。他国と比べても、長く働いてくれる傾向があり、高い定着率が大きな強みとなっています。

在日ネパール人の現状と推移:半年で4万人増のスピード

出入国在留管理庁の発表によれば、2025年6月末の在日ネパール人は 273,229人。これは2024年末の233,043人から半年で +40,186人 の増加、国籍別では第5位となり「主要送出国」といえます。

図1: 国籍別在留外国人ランキング(2025年6月末時点)

順位

国籍・地域

在留者数

1

中国

900,738人

2

ベトナム

660,483人

3

韓国

409,584人

4

フィリピン

349,714人

5

ネパール

273,229人

6

インドネシア

230,689人

7

ブラジル

211,229人

8

ミャンマー

160,362人

9

スリランカ

73,067人

10

台湾

71,125人

出典: 出入国在留管理庁「令和7年6月末現在における在留外国人数について」(2025年公表) https://www.moj.go.jp/isa/publications/press/13_00057.html

在留資格の内訳: 留学・家族滞在・技人国・技能・永住

在留者の内訳は次の通りです。

  • 留学: 約9.1万人

  • 家族滞在: 約6.7万人

  • 技術・人文知識・国際業務(技人国): 約4.5万人

  • 技能: 約1.9万人(インド料理店等の調理人を含む)

  • 永住者: 約0.9万人

(出典: 出入国在留管理庁「令和7年6月末在留外国人統計」、業界専門メディアによる集計値)

注目は 留学+家族滞在で約15.8万人 という規模感です。多くは日本の学校を卒業し、日本国内で就労するストック層であり、企業にとっては「すでに日本に住み、日本語を学んだ若手」を国内採用できる状態にあるのも魅力の一つです。

特定技能では国籍別第6位

2025年6月末時点で9,381人と急増。特に介護・建設・外食・食品製造・工業製品製造などの分野で、技能実習からの移行や新規受入れが顕著です。

在留資格別の3つのキャリアパス

ネパール人 採用 で使える3つの在留資格の比較

ここからは具体的な制度の解説です。自社のニーズに合った在留資格を選ぶための比較表に続きます。

図3: ネパール人採用で使える3つの在留資格の比較

項目

技能実習(〜2027年3月)

特定技能

高度人材(技人国/高度専門職)

制度の目的

技能・技術の移転(国際協力)

人手不足分野での就労

専門職としての就労(正社員雇用)

在留期間

最長5年(1〜3号合計)

1号: 通算5年/2号: 上限なし(更新制)

無期限(更新制)

家族帯同

不可

1号: 原則不可/2号: 可

転職の可否

原則不可

同一分野内で可能

対象業務

90職種・165作業(個別認定)

16分野(介護・外食・建設・製造等)

学歴・実務に対応した専門業務

必要な語学・技能

入国前要件は限定的

日本語(JFT-BasicまたはJLPT N4以上)+分野別技能試験

業務に対応する学位・実務経験等

出典: 出入国在留管理庁「特定技能制度」公式ページ、法務省「育成就労制度関連法」(2024年6月成立、2027年4月1日施行予定)、各種公式ガイドラインを基に作成。 https://www.moj.go.jp/isa/applications/ssw/index.html

技能実習:2027年に「育成就労」へ移行

最長5年の在留が認められた技能移転制度でしたが、人手不足の現実に合わせて法改正され2027年4月1日より「育成就労制度」へ変わります。

新制度は特定技能への移行を前提とし、原則3年の在留や一定条件下での本人都合の転籍が認められるようになります。

特定技能:人手不足16分野での即戦力

2019年に新設され、現在は 16分野 が対象です。1号は通算5年で家族帯同不可、2号は期間の上限なしで家族帯同や永住も可能です。日本語(JLPT N4以上等)と各分野の技能試験の合格が必要です。

高度人材(技術・人文知識・国際業務):エンジニア・通訳・営業職に

学歴や実務経験を活かす専門職向けの資格です。

在留期間は更新制で、家族帯同・転職も可能。IT・機械設計・通訳等正社員雇用に活用され、ネパール人材では現地の理系大学を卒業して日本でエンジニアとして勤務するケースが増えています。

ネパール人材の採用、まずは現状をお聞かせください

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採用フローと標準的なスケジュール:海外採用は3〜6ヶ月が目安

海外(ネパール現地)からの新規採用フロー

  1. 求人票・募集要件の整理(〜2週間): 業務内容・賃金・住居・サポート体制を文書化。職種により分野別試験合格者から選ぶか、未受験者を採用し育成していくかを決める

  2. 候補者選考・面接(1〜2週間): 紹介会社経由で書類・動画選考、オンライン面接を実施。現地訪問面接も可能

  3. 内定・雇用契約締結(1〜2週間): 条件通知書を交付し、雇用契約締結。パスポート確認・健康診断等の準備も並行

  4. 在留資格認定証明書(COE)申請(1.5〜2ヶ月): 行政書士または企業が地方出入国在留管理局に申請、審査

  5. 本人ビザ申請・渡航準備(1ヶ月程度): COE取得後、在ネパール日本国大使館でビザ取得、渡航スケジュール調整

  6. 入国・入社(数日〜1週間): 入国後の住居・銀行口座・住民登録・健康保険等の手続きをサポート

面接から入社まで 3〜6ヶ月 を見込むのが現実的です。

国内(日本在住)からの採用フロー

日本国内の留学生や家族滞在者を採用する場合、在留資格の変更・更新がメインとなり、通常1〜2ヶ月程度で手続きが完了します。

在留カード、資格外活動許可の有無、転職にあたる制限(特定技能は同一分野内のみ可など)を必ず確認します。

費用の相場感:紹介手数料・申請費用・支援委託料の内訳

費用も大事な論点になります。以下が一般的な相場目安です。※紹介会社・職種・地域によって変動します。

図4: ネパール人 採用支援会社 を活用する場合の費用相場(特定技能・1人あたり)

費目

相場レンジ

支払いタイミング

人材紹介手数料

30〜90万円/人 または 想定年収の20〜30%

内定〜入社時に一括または分割

在留資格申請代行料(行政書士)

10〜20万円/人

COE申請時

渡航費(往復・荷物含む)

4〜9万円/人

渡航前後

登録支援機関への委託料(特定技能1号)

月額2〜3万円/人

入社後、毎月

健康診断・住居初期費用

10〜30万円/人

入社前後

出典: マイナビグローバル「外国人採用サポネット」ほか業界専門メディアの相場集計、登録支援機関各社の公開料金表を参照

特定技能1号で初年度を試算すると、紹介手数料50万円+申請代行15万円+渡航・初期費用15万円+月額3万円×12ヶ月= 1人あたり約116万円 程度です。

3〜5年単位での定着を前提にすれば日本人採用の広告・教育コストと比べて極端に高くないというのが、実際に運用している企業の感想です。

多文化が共存する日本の職場

採用企業からよく聞かれる4つの不安と、現場視点の回答

不安1: 日本語は本当に通じるのか

特定技能の要件でもある「基本的な日本語が理解できるレベル(N4〜N3)」があれば十分成立します。専門用語は入社後に覚えていくため、企業側は手順書へのルビ振りや写真・動画マニュアルの用意、OJT担当者の配置といった受入環境を整えることが大切です。現場リーダーが片言の英語を併用するハイブリッドも有効です。

不安2: 宗教・食事の配慮はどこまで必要か

ネパール人の大半を占めるヒンドゥー教徒(約8割)への対応として重要なのは「牛肉の忌避」です。社員食堂や歓迎会などでは、牛肉だけでなく、ラードやブイヨンといった牛由来エキスが含まれていないかを確認できる体制を整えます。また、ベジタリアンも一定数いるため、事前にヒアリングを行うのが確実です。

さらに信仰・文化への配慮として、9月〜11月頃にあるネパール最大の祝祭「ダサイン祭」や「ティハール祭」は重要視されます。家族を大切にする文化のため、この時期にまとまった有給休暇を取得できるよう配慮することで、定着率向上にもつながります。

(出典: ネパール政府国勢調査)

不安3: 定着率は実際どのくらいか

業界平均としての公的統計はありませんが、現場の感覚値として、特定技能1号で 3年継続率は70〜80%程度、高度人材の場合は 5年継続率が80%超 のケースも見受けられます。

技能実習は制度上、転職ができないため帰国率が定着率を決めます。離職要因の上位は、賃金・残業時間に関する説明不足、住居トラブルといった「事前に防げたはず」のものが多く、いかに初期トラブルをなくせるかが鍵になります。

不安4: 生活サポートは誰が担うのか

特定技能1号では、国が定める「義務的支援10項目(住居確保や定期面談など)」の実施が不可欠であり、一般的には外部の「登録支援機関」へ委託するか、自社で責任者を立てて対応します。技能実習では「監理団体」、高度人材では「採用企業」がサポートを担うのが一般的です。

外国人材の定着には、母語で相談できる体制が欠かせません。自社でのスタッフ常駐は難しいため、登録支援機関などの「支援内容」や「通訳体制」を契約前に確認しておくことが重要です。

よくある質問(FAQ)

Q1. 技能実習の新規受入れは2027年でできなくなりますか

A. 2027年4月1日から「育成就労制度」 に移行します。

約3年間の移行期間がありますが、今後の新規受入れは特定技能への移行を見据えた新制度で計画するのが確実です。

Q2. ネパール人の若年層を採用すると、すぐに転職してしまいませんか

A. 離職を防ぐには、受入れ態勢の整備が不可欠です。

「賃金・キャリアパスの明示」「生活・日本語学習の支援」「母国の祭事やコミュニティへの配慮」など、日本人と同等に長く働ける環境を整えることが定着率向上につながります。

Q3. 1人だけ少人数で採用するのは現実的ですか

A. もちろん1名から受入れできます。

ただし、最初は体制整備に手間取るケースが多いため、まずは1〜2名で運用をスタートし、社内が慣れてきた半年〜1年後に増員していく方法が一般的です。

まとめ:ネパール人 採用は「人手不足の構造解」の有力候補

ここまで整理してきた内容を要約します。

  • 在日ネパール人は2025年6月末で 27.3万人・国籍別第5位

  • 平均年齢25歳前後の若い国で、英語+ネパール語のバイリンガル素地と日本語学習熱が、即戦力人材の供給源を作っている

  • 採用に使える在留資格は 技能実習(〜2027年、育成就労へ移行)・特定技能(16分野)・高度人材 の3種。自社の業務と雇用期間で選ぶ

  • 採用フローは海外採用で3〜6ヶ月、初年度コストは1人あたり 100〜120万円程度 が業界目安

  • 食事(牛肉忌避)・宗教行事・生活サポート体制の3点を事前設計しておけば、定着率は大きく上げられる

関連記事として、特定技能制度の全体像を制度面から深掘りした記事や、製造業に特化した外国人採用の実務記事もございます(順次公開)。

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