外国人雇用のメリット・デメリット|職場の空気が変わるという見落とされがちな効果

外国人雇用のメリット・デメリット|職場の空気が変わるという見落とされがちな効果

外国人雇用のメリット・デメリットを調べると、似たような記事が並びます。
メリットは「人手不足の解消」「若い労働力の確保」「職場の活性化」。
デメリットは「採用コスト」「言語の壁」「手続きの手間」「早期離職」です。

もちろん、どれも間違いではありません。

ただ、これだけで「では、うちも外国人を採用しよう」と判断できる経営者は、そう多くないでしょう。
採用前から想像できる話が中心で、実際に受け入れたあと、職場で何が起きるのかまでは見えにくいからです。


外国人雇用でまず考えるべきなのは、人手不足を補えるか、そして戦力として活躍してもらえるか。
この2つです。

そのうえで、採用後に思いがけない変化が生まれることがあります。
職場の「当たり前」を言葉にするようになったり、教える役割を通じて既存社員の良さが見えるようになったりすることです。

ただし、これらはすべての会社で起きるものではなく、採用前に約束できるメリットでもありません。


G-Star HR Link株式会社は、静岡県浜松市で外国人材の紹介と受け入れ支援を行っています。
当社代表は、かつてベトナムで会社を立ち上げ、国籍も宗教も異なる部下をマネジメントしてきました。

この記事では、公的統計から企業が実際に外国人を雇う理由を確認したうえで、当社代表の経験や、実際に外国人材を受け入れた企業から聞いた話を紹介します。

外国人雇用のメリットは「人手不足の解消」だけではない

最初に、当社の立場を明確にしておきます。
外国人材を紹介する会社だからといって、「外国人を採用したほうがいい」と考えているわけではありません。

むしろ商談では、「日本人で採用できるのであれば、日本人の採用を優先してもいいのではないですか」とお伝えすることがあります。
営業としては不利な発言ですが、本気でそう考えています。


外国人雇用は、日本人採用に外国人という選択肢を一つ加えるだけの話ではありません。

求人条件の見直し、募集方法の変更、定年後の再雇用、時短勤務の導入など、日本人を採用するためにまだできることが残っているなら、まずそこを検討するべきです。

日本人採用の可能性を十分に検討しないまま外国人雇用に進むと、採用後の教育や生活支援などの体制づくりも中途半端になり、結果として外国人本人にも既存社員にも負担をかけることがあります。

では、それでも外国人雇用を検討する理由は何でしょうか。
まずは、日本人だけでは人材を確保しにくくなっている現実があります。

日本人が減った分を外国人が埋めている

総務省統計局「人口推計」によれば、2026年2月1日現在の日本の総人口は1億2,297万5千人で、前年同月比46万7千人、0.38%減少しました。

内訳を見ると、日本人人口は1億1,907万8千人で、前年同月比88万8千人、0.74%減少しています。

一方、外国人人口は389万6千人で、前年同月比42万2千人、12.14%増加しました。

働き手の中心となる15~64歳人口も7,342万7千人で、前年同月比12万1千人、0.16%減少しています(出典: 総務省統計局「人口推計」)。


つまり、日本人だけを見ると、働き手の母数は縮小しています。

「求人を出しても応募が来ない」という企業の実感は、必ずしも自社の採用力だけの問題ではありません。
そもそも採用市場にいる日本人の分母そのものが減っているからです。

雇用の側でも変化は続いています。
厚生労働省「外国人雇用状況の届出状況」によれば、2025年10月末時点の外国人労働者数は2,571,037人、外国人を雇用する事業所数は371,215所でした。事業所数は前年から29,128所、8.5%増えています(出典: 厚生労働省「『外国人雇用状況』の届出状況まとめ(令和7年10月末時点)」)。


外国人雇用は、一部の大企業だけが取り組むものではなく、すでに多くの企業にとって現実的な採用手段になっています。

ただし、外国人を雇う企業は必ずしも「人手が足りないから仕方なく採用している」わけではありません。
実際の統計を見ると、それとは少し違う姿が見えてきます。

外国人を雇う企業が実際に期待していること

少人数の会議室で、日本人の管理職とネパール人スタッフが同じ資料を前に対等に議論している場面


厚生労働省「令和6年外国人雇用実態調査」では、外国人を雇用する事業所に対して、その理由を複数回答で尋ねています。

主な回答は次のとおりです。

外国人労働者を雇用する理由(複数回答)

令和6年

令和5年

労働力不足の解消・緩和のため

69.0%

64.8%

日本人と同等またはそれ以上の活躍を期待して

54.7%

56.8%

事業所の国際化、多様性の向上を図るため

15.8%

18.5%

日本人にはない知識、技術の活用を期待して

13.2%

16.5%

従業員や知人に紹介されたから

11.3%

技術力の向上・確保、新製品の開発のため

8.2%

労務コストの効率化を図るため

4.7%

出典: 厚生労働省「令和6年外国人雇用実態調査の概況」第9表(事業所計)より主な項目を抜粋。令和6年9月30日現在の状況を同年10〜11月に調査、令和7年8月29日公表。「—」は概況本文に令和5年値の記載がない項目。

ここで注目したいのは、上位2つです。
69.0%の事業所が「労働力不足の解消・緩和」を理由に挙げています。
これは、外国人雇用の最も分かりやすいメリットです。

一方で、54.7%が「日本人と同等またはそれ以上の活躍を期待して」と回答しています。


つまり、外国人を単なる人数合わせとしてではなく、戦力として期待している企業も半数を超えています。

逆に、「労務コストの効率化を図るため」は4.7%にとどまります。

「外国人は安く雇えるから採用する」というイメージは根強くありますが、実際に外国人を雇っている事業所の中で、その理由を挙げているのは少数です。

外国人雇用を考えるなら、「日本人より安く雇えるか」ではなく、「人手を確保し、その人にどのように戦力として活躍してもらうか」を考えるほうが、実際の企業の動きに近いでしょう。


そして、もう一つ興味深いのが「事業所の国際化、多様性の向上を図るため」が15.8%だったことです。
外国人を雇う理由として、多様性を最初から目的にしている企業は決して多くありません。

ところが、外国人材を受け入れたあとには、結果として職場の考え方や社員同士の関係が変わることがあります。
ここからは、統計には表れにくい「採用後の変化」について、当社の経験をもとに紹介します。

採用後に見えてくる2つの変化

外国人雇用のメリットとして、事前に約束できるものと、採用後に結果として現れるものは分けて考える必要があります。

当社が実際の現場で感じてきた変化の中では、特に次の2つが印象に残っています。

  1. 職場の「当たり前」を言葉にするようになる

  2. 教える人が生まれ、既存社員の良さが見えるようになる

どちらも、採用稟議に「期待効果」として書けるものではありません。
だからこそ、一般的なメリット・デメリットの記事ではあまり語られない部分だと思っています。

この会議、何の意味があるんですか」と問われた

これは当社代表自身の経験です。
かつて、部下5~6人が全員外国人という職場でマネジメントをしていた時期がありました。
国籍もさまざまで、宗教も異なっていました。

そこで、何度か「この会議、何の意味があるんですか?」と聞かれたことがあります。
会議を主催している側が、参加者から逆に理由を問われるわけです。


正直に言えば、答えに詰まり、「確かに、この会議はなくてもいいのかもしれない」と思ったこともありました。
当時の経験から、外国人材を受け入れることで起きる変化の一つは、職場の「当たり前」が表に出てくることだと感じています。

質問は「反抗」ではなく「前提の確認」

この質問を「反抗的だ」と受け取るか、「もっともな質問だ」と受け取るかで、職場のその後は大きく変わります。
もちろん、すべての外国人が同じように質問するわけではありません。

ただ、日本の職場では「昔からそうしているから」という理由だけで続いている仕事があります。

会議、承認、報告、帳票などです。

問いによって、これまで説明されてこなかった前提が表に出てきます。

「この承認は誰のためにあるのか」
「この帳票は誰が読んでいるのか」
「なぜこの順番で作業するのか」

こうした問いは、外国人材に限らず、本来はどの職場でも考えるべきことです。

1. 説明できない仕事が見えてくる

理由を説明できない会議や業務があれば、それを見直すきっかけになります。
外国人材を受け入れるために業務を整理した会社では、「整理しようと思ったから整理した」というより、「説明しなければならなくなったので整理した」というケースがあります。

2. 言葉にした手順が新人教育にも使える

作業手順を写真付きでまとめる。
「ここまでできれば一人前」という到達点を明確にする。
注意点を文章にする。

こうした取り組みは、外国人材のためだけのものではありません。
日本人の新人にも、そのまま使えます
最初は教育の負担が増えたように見えても、手順が残れば、2人目、3人目を教えるときの負担は減っていきます。

3. ルールと「昔からの習慣」を分けられる

職場には、法令で決まっていること、社内規程で決まっていること、長年の慣習として続いていること、個人の好みが混在しています。

それを全部同じ強さで「守ってください」と伝えると、新しく入った人は何を優先すべきか分かりません。
「これは法律で決まっています」
「これは会社のルールです」
「これは昔からこうしているだけです」
と分類することで、守るべきことの優先順位が明確になります。

外国人材からの質問は、その整理を促すきっかけになることがあります。

ただし、質問されれば必ず職場が良くなるわけではない

ここは、当社の経験として書いておきたいところです。
同じように「なぜですか」と質問されても、組織が良くなる会社と、単に空気が悪くなる会社があります。

分かれ目になると感じているのは、次の3点です。

  1. 質問した人が損をしない

  2. 答えを出して記録する

  3. 「今のところ意味がない」と認められる

「余計なことを言う人」という評価が一度つくと、誰も質問しなくなります。
しかし、それは納得ではなく、諦めかもしれません。

また、「昔からこうだから」で終わらせてしまえば、同じ質問が何度も繰り返されます。
理由があるなら記録する。
理由がないならやめる。
その判断ができることが重要です。


そして、管理職や経営者が「確かに、今は意味がないかもしれない」と言えるかどうかも大きいと思います。
これは外国人雇用だけの話ではありません。
組織運営そのものの話です。

だからこそ、うまく機能すれば、外国人材の受け入れをきっかけに職場全体の仕事の進め方が変わることがあります。

「いい職場が、もっといい職場になった」

もう一つは、当社代表が出演したPodcastの収録で、対談相手から聞いた話です。

その職場に、外国人スタッフが入社しました。
そのことが周囲に思わぬ変化をもたらし、周りの人が以前より優しくなったというのです。

その方が話していたのが、

「もともといい職場だったんですけど、もっといい職場になった。みんなの良さが見えた」

という言葉でした。
この話で興味深いのは、変わったのが新しく入った外国人スタッフだけではなかったことです。
もともといた社員の良さが見えるようになったのです。

「教える人」が生まれると、既存社員の良さが見える

全員が一定以上の仕事をこなしている職場では、誰が説明上手なのか、誰が面倒見がいいのかは、意外と見えません。
みんなが自分の仕事をしているからです。

そこに、まだ仕事を覚えていない人が入ってくる。
すると、
「この人は教えるのが上手だ」
「この人は困っている人にすぐ気づく」
「この人は相手が分かるまで説明できる」
といった、それまで評価される機会の少なかった資質が見えるようになります。

特に中小企業では、人事評価が「担当業務をどれだけこなしたか」に偏りやすく、面倒見の良さや説明の丁寧さが評価される場面は限られます。
新しい人を受け入れることは、そうした社員の良さが表に出るきっかけになる場合があります。

ただし、これも「外国人を入れれば職場が良くなる」という話ではありません。

外国人雇用は「修復装置」ではなく「増幅装置」

先ほどの話には、「もともといい職場だった」という前提があります。
人間関係がすでに悪い職場に外国人を1人入れたからといって、職場が良くなるとは限りません。
むしろ、新しく入った人が既存の対立の材料にされたり、立場の弱い人に負担が集中したりする可能性があります。


外国人雇用によって起きる変化は、職場がもともと持っている性質を増幅するものだと、当社では考えています。
良い職場なら、良い部分がさらに見えるようになる。
問題を抱えた職場なら、その問題がよりはっきりする。
壊れているものを直す「修復装置」ではありません。


「外国人を1人入れれば職場の空気が変わるかもしれない」と考えているのであれば、順番を逆にしないことが大切です。

まず社内の人間関係や、受け入れに伴う負担について合意形成をし、そのうえで外国人材を迎える。この順番が重要です。

その手順は外国人材の受け入れで社内がギクシャクしないために|社長と現場の温度差にまとめました。

ネパール人材の採用、まずは現状をお聞かせください

ネパール現地に自社の日本語学校・トレーニングセンターを持つ G-Star HR Link が、
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外国人雇用のデメリットは4つ

休憩スペースで日本人スタッフとネパール人スタッフが自然に混ざって話している和やかな職場の様子


ここまでメリットについて書いてきましたが、外国人雇用には当然、負担もあります。
当社への相談でよく挙がる懸念は、大きく次の4つです。

  1. コストがかかる

  2. 言語の壁がある

  3. 手続きに手間がかかる

  4. 早期離職が心配

重要なのは、「外国人だから大変」と一括りにしないことです。
それぞれ実像が違い、対処方法も違います。

デメリット

実際に起きること

対処の方向

コスト

初期費用だけでなく、住居・支援・申請などがかかる

採用前から帰国まで総額で見る

言語の

「まったく通じない」とは限らない

必要な日本語水準を業務ごとに決める

手続き

在留資格によって負担が大きく異なる

まず在留資格と必要手続きを確認する

早期離職が

国籍だけで離職を説明できない

給与・評価・生活・相談先を明確にする

注: 4分類はG-Star HR Linkの受け入れ支援の実務にもとづく整理。「言語の壁」の行の水準は下記の厚生労働省調査による。

コスト|「安いから雇う」では続かない

外国人雇用では、給与以外にも費用が発生します。
住居の初期費用、渡航費、支援委託費、在留申請にかかる費用などです。


そのため、「外国人なら日本人より安く雇える」と考えて採用すると、途中で計算が合わなくなることがあります。

前述の厚生労働省調査でも、「労務コストの効率化を図るため」を外国人雇用の理由に挙げた事業所は4.7%でした。
外国人雇用を検討するときは、月給だけを比較するのではなく、採用前、入国時、毎月、在留資格の更新時、帰国時まで、時間軸に沿って総額を見る必要があります。


「外国人だから安い」という前提ではなく、「必要な人材を採用するために、いくらかかるのか」で判断することをおすすめします。

費目の時間軸での整理は外国人雇用にかかる本当のコスト|給与以外に必要な費用の全リストと総額をご覧ください。

言語の壁|「通じる・通じない」ではなく「どこまで必要か」

外国人雇用の相談で最も多い懸念の一つが、日本語です。
ただ、「日本語が通じないのでは」という一言だけでは、判断材料として粗すぎます。


厚生労働省「令和6年外国人雇用実態調査」の労働者調査を見ると、日本語能力について最も多かったのは「日常的なことなら短い会話に参加できる」で24.6%、次いで「幅広い話題について自由に会話できる」が17.6%、「身近な話題についての会話はできる」が13.9%でした。


一方、「日本語で会話はほとんどできない」は1.8%です。

特定技能では、「日常的なことなら短い会話に参加できる」が32.2%、「身近な話題についての会話はできる」が22.0%となっています。

もちろん、日本語能力には個人差があります。
重要なのは、自社の仕事で何ができればよいのかを決めることです。

例えば、

  1. 安全に関する指示を理解できる

  2. 異常が起きたときに報告できる

  3. 分からないときに「分かりません」と質問できる

この3つを基準にすると、必要な日本語水準がかなり具体的になります。

受け入れ側が課題として何を挙げているかの統計は外国人材の受け入れで社内がギクシャクしないために|社長と現場の温度差で扱っています。

手続き|「外国人雇用は大変」と一括りにしない

外国人を雇用すると、在留資格の確認や申請など、日本人採用にはない手続きが発生します。
ただし、すべての外国人雇用が同じだけ大変というわけではありません。

すでに日本にいる人を採用する場合と、海外から特定技能などで呼び寄せる場合では、必要な手続きも期間も異なります。


また、在留資格によって、企業側に求められる対応も変わります。
そのため、最初に確認すべきなのは「外国人を採用すると何の手続きが必要か」ではありません。
「自社の仕事は、どの在留資格で採用できるのか」です。

在留資格が決まれば、必要な手続きや費用、準備期間も具体的に見えてきます。

在留資格の全体像は就労ビザの種類一覧|採用企業が押さえる在留資格の全体像と選び分けで整理しています。

早期離職|国籍だけで考えると、対策を間違える

「せっかく採用しても、すぐ辞めてしまうのではないか」という心配もよく聞きます。

ただ、当社の支援経験では、早期離職を国籍だけで説明するのは適切ではないと感じています。
例えば、
「聞いていた給与と手取り額が違った」
「給与から何が引かれているのか分からない」
「次に何ができれば評価されるのか分からない」
「困ったときに誰に相談すればいいのか分からない」
こうした問題は、外国人に限った話ではありません。

外国人材の場合は、言語や生活面の問題が加わるため、より丁寧に説明する必要があります。

給与、控除、昇給条件、評価基準、相談先。
これらを入社前から説明しておくことで問題は減らせます。

また、職場の外に相談できる場所や居場所をつくることも、定着を考えるうえでは重要です。

日本人の早期離職とほとんど同じ構造です。定着の設計は外国人材が定着する会社の共通点|孤立を防ぐ「職場の外」の居場所づくり、送金責任という動機の側から見た定着はネパール人は本当に辞めにくいのか|送金責任と借金構造から考える定着で詳しく書きました。

トラブルは「外国人だから」起きるのか

当社が支援している企業には、従業員約200人のうち120人ほどが外国人という会社もあります。
問題がまったく起きないわけではありませんが、当社が支援する範囲で見る限り、その内容は日本人社員でも起こり得る程度のものが中心です。

外国人の比率が高いこと自体が、トラブルを生む原因になっているわけではない、というのが当社の実感です。

むしろ重要なのは、問題が起きたときに相談できる仕組みがあるか、給与やルールが明確になっているか、そして現場の負担が一部の社員に集中していないかです。

メリットが出る会社と出ない会社の違い

メリットとデメリットを比べる天秤を思わせる抽象的なイラスト


同じように外国人材を1人受け入れても、半年後の状態は会社によってかなり違います。
当社が支援してきた範囲で、その違いを生むと感じているのは次の4点です。

1. 「なぜですか」に答える準備がある
外国人材を受け入れると、質問が増える可能性があります。

そのとき、誰が答えるのか。
答えをどこに残すのか。
この2つが決まっている会社では、質問が改善提案につながることがあります。

反対に、質問した人を「面倒な人」と扱えば、それ以降は誰も質問しなくなります。

2. 教える負担を一人に集中させない
外国人材の教育を、社内で最も面倒見のいい人にすべて任せるのは危険です。
仕事の教育だけでなく、生活面の相談まで一人に集中すると、その社員が疲弊します。

外国人材に限らず、教育担当を複数人に分散し、誰が何を担当するのかを決めておくことが重要です。

3. 給与・控除・評価を最初に説明する
手取りはいくらになるのか。
給与から何が引かれるのか。
どうすれば昇給するのか。
何ができれば評価が上がるのか。

ここを曖昧にしたまま入社してもらうと、数か月後に不満として表面化することがあります。
逆に、最初に説明を尽くしていれば、不満が出ても「話し合う」ことができます。

4. 目的が「安く雇うこと」になっていない

前述の統計では、「労務コストの効率化を図るため」を理由に挙げた事業所は4.7%でした。
外国人だから安い、という前提で採用すると、期待と現実の差が大きくなります。

総額で考えれば、日本人採用より安くなるとは限りません

「安いから採用する」のではなく、「必要な人材を確保し、その人に戦力として活躍してもらう」という考え方のほうが、外国人雇用の実態には合っています。

負担の分散をどう設計するかは外国人材の受け入れで社内がギクシャクしないために|社長と現場の温度差で具体的に扱いました。この設計の有無が、2人目を受け入れられるかどうかを決めます。

外国人雇用は、最初から大きく始めなくてもいい

外国人雇用に前向きな企業の中には、最初から積極的だったわけではない会社もあります。

まず1人受け入れてみる。
教育にどれくらい時間がかかったのかを測る。
現場の負担がどこに集中したのかを確認する。
その結果を見て、2人目、3人目をどうするか決める。
この進め方は、特に初めて外国人材を受け入れる企業には現実的です。

1人だけ受け入れると、本人が職場で唯一の外国人になるため孤立しやすいという側面もあります。


一方、複数人を同時に受け入れれば生活面では支え合えるものの、母語で固まり、日本語の習得が進みにくくなるという声もあります。

そのため、「1人が正解」「最初から複数人が正解」と決めるのではなく、自社の教育体制と職場環境に合わせて考えることが大切です。

ネパール人材に絞った長所と注意点はネパール人採用のメリット・デメリット|統計4指標と現場経験で判断するにまとめています。

よくある質問(FAQ)

Q1. 外国人雇用のメリットは、何か月くらいで実感できますか?

A.人手不足を補うという意味では、配属後数か月から効果を感じる企業があります。
ただし、日本人の新人と同じように、最初の1~2か月は教育する側の負担が大きくなります。

一方、「仕事の手順が整理された」「既存社員の良さが見えるようになった」といった変化は、半年から1年ほど経ってから振り返って気づくことがあります。
3か月程度で「思ったほど効果がない」と判断するのは、少し早いかもしれません。

Q2. 「日本人が採れないから」という理由で外国人を採用しても大丈夫ですか?

A.問題ありません。
厚生労働省の調査でも、外国人を雇用する理由として最も多かったのは「労働力不足の解消・緩和のため」で69.0%でした。
人手不足が外国人雇用のきっかけになることは、むしろ一般的です。

ただし、既存社員への説明は必要です。
「人が足りないから外国人を入れます」だけでは、教育を担当する社員が負担を引き受ける理由が分かりません。

誰が何を教えるのか、教育期間をどう考えるのかまで説明しておくことが重要です。

Q3. 日本人社員にとってのメリットはありますか?

A.あります。
特に起こりやすいのは、仕事の手順や指示が整理されることです。

「見て覚えて」が通用しなくなることで、手順書やチェックリストが整備され、日本人の新人教育にも使えるようになることがあります。
また、教える役割を持つことで、説明が上手な社員や面倒見のいい社員の良さが見えることもあります。

ただし、その負担が評価されないまま続けば逆効果です。
「教える仕事」も仕事の一部として認識する必要があります。

Q4. 1人だけ採用するのと、複数人採用するのは、どちらがよいですか?

A.一概には言えません。
1人なら受け入れ側の負担を小さく始められる一方、本人が職場で唯一の外国人になるため、孤立しやすい可能性があります。

複数人なら生活面で支え合える一方、母語で固まり、日本語を使う機会が減る可能性もあります。
初めてなら、まず1人を受け入れ、教育や支援にかかった時間を実測してから次の採用を判断する方法もあります。

まとめ

  • 日本人採用は、構造的に難しくなっている
    日本人人口は前年比88万8千人減、外国人人口は42万2千人増。応募が集まりにくい背景には、採用市場そのものの変化がある。

  •  外国人雇用の目的は「人手不足の解消」と「戦力化」
    雇用理由は「労働力不足の解消・緩和」69.0%、「日本人と同等またはそれ以上の活躍を期待」54.7%。「安さ」を理由にする企業は4.7%にとどまりまる。

  • 採用後、職場の「当たり前」が見直されることがある
    前提を言語化することで業務が整理され、既存社員の教える力や面倒見の良さが見えることもある。ただし、職場の問題を直す効果まで期待するものではない。

  • デメリットは、コスト・言語・手続き・早期離職の4つ
    言語は「通じるか」ではなく「業務に必要な水準」で考えることが重要。「日本語で会話はほとんどできない」は1.8%。

  •  受け入れの成否は、採用後の体制で決まりまる
    質問に答える準備、教育負担の分散、給与・評価の説明、安さを目的にしない。この4点を整え、まず1人受け入れて実測してから次を判断する方法も現実的。

次に読むべき記事:

効果の話は、決める材料ではなく、決めたあとの話です

この記事で紹介した「職場の当たり前が見直される」「既存社員の良さが見える」といった変化は、外国人雇用の判断材料というより、採用したあとに起きる可能性のある結果です。
事前に約束できるものでも、すべての会社で起きるものでもありません。

採用を決めるなら、まず見るべきは3つです。
人が本当に足りないのか、日本人採用の打ち手を尽くしたのか、受け入れる体制を作れるのか。この3点を確認したうえで判断してください。

G-Star HR Linkでは、まだ採用を決めていない段階のご相談もお受けしています。
お問い合わせからご相談ください。
「もう少し日本人採用を続けたほうがいい」とお伝えすることもあります。