
「今うちにいる実習生は、2027年4月になったらどうなるんですか」——技能実習生を受け入れている企業から、最近もっとも多くいただく質問です。育成就労が始まることは知っている。けれども、いま働いている一人ひとりが明日からどうなるのか、監理団体との契約はどうなるのか、分からないまま日々の業務が進んでいく。解説記事は増えましたが、「これから受け入れを始める企業」向けの総論が多く、すでに技能実習を回している企業が知りたい「差分」に答えたものは多くありません。
今いる技能実習生は、原則としてそのまま技能実習を続けられます。2027年4月に全員が育成就労へ切り替わるわけではありません。企業に本当に効いてくる変化は、転籍が認められること、日本語要件が新設されること、監理団体が自動では監理支援機関にならないこと、そして特定技能1号への移行が厳しくなることの4つです。この記事は、すでに技能実習を使っている企業向けに、その差分だけを整理します。
この記事が監理団体の章に字数を割くのには訳があります。G-Star HR Link代表の岡本は、ベトナムで外国籍人材事業と日本語学校を立ち上げたのち、帰国後に監理団体を設立し、実習生を受け入れる企業を監理する側で事業を回してきました。監理団体を使う側ではなく、作って回す側の人間です。4つのうち、いちばん静かに重く効くのが監理支援機関への切り替えです。私たちはネパールの自社日本語学校で人材を育て、技能実習・特定技能・高度人材の採用を支援しています。制度・手続の記述は、当社の在留資格申請を担当する行政書士の監修を受けました。数字と日付は2026年7月時点です。
技能実習と育成就労は何が違うのか

根っこにある変化は、制度の目的です。出入国在留管理庁は今回の改正を「技能移転による国際貢献を目的とする技能実習制度を発展的に解消し、我が国の人手不足分野における人材の育成・確保を目的とする育成就労制度が創設されました」と説明しています(出典: 出入国在留管理庁「育成就労制度の概要(令和7年12月改訂)」)。技能実習は「技能を学んで母国に持ち帰る」制度で、だからこそ「帰国」が原則であり、転籍も認められていませんでした。転籍も日本語要件も、すべてこの目的変更から派生しています。なお制度の全体像は育成就労制度とは|2027年4月開始の新制度を採用企業向けに整理で扱います。
| 項目 | 技能実習(現行) | 育成就労(2027年4月1日〜) |
|---|---|---|
| 制度の目的 | 技能移転による国際貢献 | 人手不足分野における人材の育成・確保 |
| 在留期間の区分 | 1号・2号・3号に分かれ、段階ごとに計画を作成 | 区分なし。当初から原則3年間の計画を作成し認定を受ける |
| 転籍(勤務先の変更) | やむを得ない事情がある場合のみ | やむを得ない事情に加え、本人意向による転籍も一定要件の下で可能 |
| 就労開始時の日本語要件 | なし | A1相当以上の試験合格、またはA1相当の講習を100時間以上受講 |
| 特定技能1号への移行 | 2号を良好に修了すれば技能試験・日本語試験が免除 | 技能試験+日本語試験(A2.2相当以上)の合格が必要 |
| 監理する団体 | 監理団体 | 監理支援機関(外部監査人の設置が許可要件) |
| 外国人本人が送出機関へ支払う費用 | 上限の定めなし | 本人の月給(所定内月額)の2か月分まで。上限を超える分は受入れ企業または監理支援機関が負担する |
出典: 出入国在留管理庁「改正法の概要」、同「育成就労制度の概要(令和7年12月改訂)」、同「育成就労制度Q&A」をもとに作成
特定技能1号への移行が厳しくなる
企業へのインパクトが最大なのに、あまり語られていない変更です。現行の特定技能制度では、技能実習2号を良好に修了していれば移行時に技能試験と日本語試験が免除されます。多くの企業が「実習3年 → そのまま特定技能へ」を試験なしの既定路線として組み立ててきました。
育成就労にこの免除はありません。技能に係る試験(技能検定試験3級等または特定技能1号評価試験)と日本語能力に係る試験の合格が必要です(出典: 「育成就労制度Q&A」Q75)。3年育てても試験に通らなければ特定技能へ渡せない。企業には「育てきる」ことが求められる制度設計です。なお試験に不合格だった場合は、最長1年の範囲内で在留の継続が認められる可能性があります。
混同しやすい点をひとつ。今の技能実習2号良好修了者の試験免除は、育成就労が始まった後も当分の間は続きます。入管庁は「育成就労制度の運用開始後であっても、当分の間は、技能実習2号を良好に修了しており、従事しようとする業務と技能実習2号の職種・作業に関連性が認められる場合、特定技能1号に移行することができます」としています(Q80)。免除が無くなるのは育成就労で育った人の話。今いる実習生には従来のルートが残ります。移行先の実務は特定技能でネパール人材を採用する全手順|制度・書類・費用の実務ガイドをご覧ください。
育成就労では転籍が認められる|「自由な転職」ではない

もっとも誤解が広がっているのがこの章です。まず、転籍には2種類あります。ひとつは技能実習から引き続き認められる「やむを得ない事情がある場合の転籍」で、人権侵害を受けた場合などが該当します。もうひとつが新設される「本人意向による転籍」。報じられているのは後者ですが、2つは別物です。なお転籍先が同一の業務区分内に限られる点は、どちらにも共通します(Q&A Q48「いずれの場合でも、転籍は同一の業務区分内に限られます」)。
本人意向による転籍の全要件
本人意向による転籍は、次の要件をすべて満たす必要があります(出典: 「育成就労制度Q&A」Q48・Q53・Q54・Q55)。
- 同一の業務区分内であること(上記のとおり2種類に共通)
- 一定水準の技能と日本語能力を修得していること。育成就労評価試験(初級)の合格と、日本語A2.1相当以上です
- 転籍制限期間を超えていること(後述)
- 民間の職業紹介事業者による職業紹介等を受けていないこと。人材紹介会社が転職先を斡旋するビジネスは制度上成立しません
- 転籍先が優良な育成就労実施者であること
- 転籍先における本人意向の転籍者の割合が一定以内であること(3分の1ルール)
- 転籍先が転籍元に一定の金額を支払うこと。告示で定める額に、転籍元での就労期間に応じた按分率を乗じた額です
「日本人と同じように自由に移れる」というイメージとは距離があります。
転籍制限期間は分野によって1年と2年に分かれる
「原則1年で転籍できる」という説明を見かけますが、正確ではありません。制度の建て付けは「1年とすることを目指しつつも、当分の間、育成就労産業分野ごとに、その業務内容等を踏まえて1年から2年までの範囲内で設定する」とされています。確定している設定は次のとおりです。
| 転籍制限期間 | 育成就労産業分野 |
|---|---|
| 2年(8分野) | 介護/建設/造船・舶用工業/自動車整備/外食業/工業製品製造業/飲食料品製造業/資源循環 |
| 1年(9分野) | ビルクリーニング/宿泊/農業/漁業/林業/木材産業/鉄道/リネンサプライ/物流倉庫 |
出典: 出入国在留管理庁「分野別運用方針の主要な記載事項」(2026年1月23日閣議決定)をもとに作成。自動車運送業・航空は育成就労の対象外のため含みません
製造業であれば工業製品製造業も飲食料品製造業も2年、一方で農業・漁業・宿泊は1年です。分野によって人材の流動性がまったく違う環境に置かれます。製造業での受け入れ全般は製造業の外国人採用|在留資格3種の現実解と定着の設計もご覧ください。
「2年間は転籍できない」も正確ではない
逆方向の誤解もあります。入管庁は「分野別運用方針で1年を超える転籍制限期間を定められた分野にあっては、育成就労実施者の判断でその期間を1年とすることが可能です」としたうえで、「転籍制限期間が1年を超える場合は、分野別運用方針において定める育成就労外国人の待遇の向上措置を講ずる必要があります」と続けています(Q51)。
読み違えやすいところです。1年に短縮するのは企業の判断で自由にできます。条件が付くのは短縮する側ではなく、2年の転籍制限をかけ続ける側。「2年引き止めたいなら待遇の向上措置を講じなさい」というのが制度の要求です。
3分の1ルールと、都市部への流出を防ぐ仕組み
転籍者を受け入れる側にも上限があります(Q54)。
- 3分の1ルール: 今回転籍しようとする外国人を分子にも分母にも含めたうえで、分母を転籍先の育成就労外国人の総数、分子を本人意向の転籍者の総数として計算した結果が3分の1を超えてはならない
- 6分の1ルール: 転籍先が大都市圏(指定区域の外)にある場合、地方(指定区域内)から受け入れる本人意向の転籍者の数が育成就労外国人の総数に占める割合が6分の1を超えてはならない。ただし転籍者を含めて育成就労外国人が6名未満となる小規模な事業者は、3分の1ルールを満たす限り1名まで受け入れられる
「指定区域」とは、大都市圏への過度な集中を防ぐために告示で定められた地域です。東京都・神奈川県・千葉県・埼玉県・愛知県・大阪府・京都府・兵庫県以外の道県と、この8都府県のうちの一部の地域が指定区域(=地方)とされ、該当するかは育成就労実施者の本店所在地で判断されます(Q42・Q43)。静岡県は指定区域にあたります。
ただし、転籍要件の中核はまだ確定していない
ただし、重要な留保があります。「転籍先が優良な育成就労実施者であること」の具体的な基準は、2026年7月時点でまだ公表されていません。入管庁は「決まり次第追って運用要領の中でお示しする予定です」としています(Q46)。本人意向の転籍の手続も「決まり次第お示しします」(Q49)、転籍時の金額を定める告示も「今後制定する予定です」(Q55)という状態です。転籍のハードルの高さは、これらが出そろうまで確定しません。「要件が厳しいから大丈夫」とも「人が流出する」とも断定できないのが正直なところです。
それでも、方向性ははっきりしている
転籍が組み込まれた以上、外国人材は「この会社にいるしかない」状態から解放されていきます。代表の岡本は、この変化をこう捉えています。転職が当たり前になるということは、いい会社しか人を採れなくなるということでもある。だから、選ばれる企業になっていくしかない——。今までは制度が引き止めてくれていただけで、人が辞めない理由を会社が用意できていたわけではない。その前提が外れるだけの話です。では何をすれば選ばれる会社になるのか。それは外国人材が定着する会社の共通点|孤立を防ぐ「職場の外」の居場所づくりに譲ります。
日本語要件が新設される|A1・A2.1・A2.2の三段階
技能実習には、入国時にも就労開始時にも日本語要件がありませんでした。育成就労では、ここに明確な段階が設けられます。
「入国前にN5合格が必須」は誤り
入国時に求められる技能や日本語能力の要件はありません。入管庁の説明はこうです。「入国時に求められる技能や日本語能力に係る要件はありませんが、就労開始前までに求められる要件として、日本語能力A1相当以上の試験に合格すること又はこれに相当する認定日本語教育機関の『就労』課程のA1相当の講習を100時間以上受講することを求めています」(出典: 「育成就労制度Q&A」Q56)。
ポイントは2つ。要件のタイミングが「入国時」ではなく「就労開始前まで」であること。そして試験合格か講習受講かのいずれかでよいことです。試験に受からなければ来日できない制度ではありません。
| タイミング | 技能水準 | 日本語能力水準 |
|---|---|---|
| 育成就労の就労開始時 | — | A1相当以上、またはA1に相当する講習の受講 |
| 育成就労1年経過時 | 育成就労評価試験(初級) | A1相当以上 |
| 本人意向による転籍時 | 育成就労評価試験(初級) | A2.1相当以上 |
| 育成就労終了時・特定技能1号 | 特定技能1号評価試験、または育成就労評価試験(専門級) | A2.2相当以上 |
| 特定技能2号 | 特定技能2号評価試験 | B1相当以上 |
出典: 出入国在留管理庁「分野別運用方針の主要な記載事項」をもとに作成。同資料には「分野によっては、より高い日本語能力水準を求める場合もある」との注記があります
N4・N5で語らないほうがよい理由
実務では「N4」「N5」で語られることが多いと思います。JLPTとの対応の目安は、A1がN5、A2がN4、B1がN3におおむね相当します。ただし正式な表記はA1・A2であって、N5・N4は「等」の例示にすぎません。そして育成就労では、A2がA2.1とA2.2に細分化されています。転籍時に必要なのはA2.1、特定技能1号への移行時はA2.2。「N4があれば転籍できる」とまとめると、この差が消えて不正確になります。社内の説明資料はA表記を基準にすることをおすすめします。
この要件が入ると、企業の役割も変わります。技能実習では日本語教育は「やってあげると親切なこと」でしたが、育成就労では1年経過時にA1、終了時にA2.2という節目が制度上のチェックポイントになります。しかも育成就労実施者が優良と認められる考慮要素には「技能及び日本語能力の修得に係る実績」が明記されており(Q45)、日本語教育の実績が受入れ人数枠の拡大や転籍者の受け入れ可否にまで効いてきます。
監理団体は監理支援機関へ|自動では移行しない

ここは私たち自身が当事者だった領域です。監理団体の許可を取るために何をそろえ、日々の監査で何を見るのかを内側から知っている立場から言うと、今回の変更は「名前が変わるだけ」ではありません。
許可は引き継がれない
もっとも重要な事実から。技能実習の監理団体は、育成就労の監理支援機関に自動的にはなりません。入管庁の回答は明快です。「監理団体が監理支援機関として育成就労制度に関わる業務を行うためには、新たに監理支援機関の許可を受ける必要があります」(出典: 「育成就労制度Q&A」Q33)。いま付き合っている監理団体が施行日以降も監理支援を続けられるかは、新たに許可を取れるかどうかにかかっています。新たな許可基準は次のとおりです(Q34)。
- 外部監査人を設置していること。養成講習の受講、弁護士・社会保険労務士・行政書士その他育成就労の知見を有する者であること、監理支援を行う育成就労実施者と密接な関係を有さないこと等が要件で、身内で監査を回すことはできません(Q36)
- 債務超過がないこと
- 監理支援を行う受入れ機関の数が原則として2者以上であること
- 常勤の役職員が2人以上であり、かつ受入れ機関の数を8で割って得た数、育成就労外国人の数を40で割って得た数のいずれをも役職員の数が超えていること
受入れ機関が24社なら4人以上、育成就労外国人が200人なら6人以上の常勤役職員が必要という計算です。「名簿上は監理団体だが実態は数人で回している」という形が成り立っていたところは、ここで淘汰される可能性があります。なお監理支援機関の許可を受けていれば技能実習の一般監理事業の許可を受けたものとみなされるため、経過措置で技能実習生を受け入れ続ける場合も監理団体の許可の更新は不要です(Q39)。
申請はもう始まっている。しかも締切が近い
本記事でもっとも急ぎの情報です。監理支援機関の許可申請は、2026年4月15日から施行日前申請の受付が始まっています。外国人技能実習機構(OTIT)はこう案内しています。
多数の申請が集中することが予想されます。施行日以降早期に監理支援事業を行うことを希望する場合は、監理支援事業を行う6か月以上前までに申請いただくことを強く推奨します。例えば、施行日(令和9年4月1日)から監理支援事業を行うことを希望する場合は、令和8年9月30日までに申請していただくようお願いします。
出典: 外国人技能実習機構「監理支援機関許可施行日前申請」掲載のリーフレット
令和8年9月30日は2026年9月30日、この記事の公開時点から2か月ほどしかありません。今できることはひとつ。取引先の監理団体に「監理支援機関の許可申請はもう出しましたか」と聞くことです。ここが空白のまま2027年4月を迎えると、監理支援機関のいない状態になり、育成就労での受け入れができません。許可申請の一般的な質問には、OTITが施行日前申請専用のコールセンター(0570-011-300、平日9:00〜17:00)を設けています。
今いる技能実習生はどうなるのか|経過措置の読み方
冒頭の質問への答えです。今いる技能実習生は原則としてそのまま技能実習を続けられます。ただし条件と期限があります。
技能実習を続けられるのは誰か
施行後も技能実習を続けられるのは、次のいずれかに当てはまる人です(出典: 「育成就労制度Q&A」Q47)。
- 令和9年(2027年)4月1日の時点で既に来日している技能実習生
- 令和9年3月31日までに技能実習計画の認定申請がなされ、施行日から起算して3か月を経過するまで(令和9年6月30日まで)に技能実習を開始する技能実習生
ここは「施行日までに申請すればOK」と要約してはいけないところです。認定申請の期限(令和9年3月31日)と、技能実習の開始期限(令和9年6月30日)の2段構えになっています。申請だけ滑り込ませても、6月30日までに実習を開始できなければ経過措置に乗れません。そしてこの場合、技能実習制度のルールが適用され、育成就労へ移行することはできません(出典: 「育成就労制度の概要(令和7年12月改訂)」)。なお施行日前に技能実習を終えて出国している場合、技能実習生としての再入国はできません。
実務上の締切はもう少し手前にあります。OTITは1号技能実習計画の認定申請を令和9年2月までに行うよう案内しています。申請自体は3月31日まで可能ですが、3月以降だと審査や入国手続きが間に合わず、6月30日までに上陸許可を受けられない可能性があるためです(出典: 外国人技能実習機構「技能実習計画についてのご案内」)。
2号から3号は「誰でも」ではない
1号から2号への移行は可能です。令和9年4月1日時点で技能実習を行っている1号技能実習生は、計画の認定を受けたうえで2号へ移行できます。一方、2号から3号への移行には条件が付きます。「技能実習3号への移行については、施行日時点に技能実習2号で在留している方のうち、令和9年4月1日の時点で、技能実習2号の活動を1年以上行っていることが必要です」(Q78・Q79)。「2号を修了すれば誰でも3号へ」ではありません。
この条件を現場で使える形に翻訳したのが、OTITのリーフレットです。「令和7年4月2日以降に新たに技能実習生として入国した方は、技能実習3号に移行できない可能性がありますので、ご注意ください」。1号が1年、その後に2号が始まると考えると、2025年4月2日以降に入国した実習生は2027年4月1日時点で2号の活動が1年に届かないためです。自社の実習生の入国日を並べて、この線を引いてみてください。それより後の入国者は、3号までの5年を前提にした人員計画から外れる可能性があります。その場合でも、条件を満たせば特定技能1号へは移行できます。
人員計画をつくるときは、もうひとつ。育成就労の受入れ人数枠を計算する際、経過措置で技能実習を続けている1号・2号技能実習生の数も、育成就労外国人の数として数えます(Q41)。「技能実習生は別枠」と考えていると枠が足りなくなります。
よくある質問(FAQ)
Q1. いま雇っている技能実習生は、2027年4月に強制的に育成就労へ切り替わるのですか?
いいえ。令和9年4月1日時点で既に来日している技能実習生は、引き続き認定計画に基づいて技能実習を続けられます。それどころかこの場合は技能実習制度のルールが適用されるため、育成就労へ移行することはできません。切り替わるのではなく、技能実習のまま最後まで進みます。
Q2. 育成就労になると、1年で人が辞めて他社に行ってしまうのでしょうか?
「1年経てば自由に転職できる」制度ではありません。本人意向による転籍は、同一業務区分内・技能と日本語(A2.1相当以上)・転籍制限期間の経過・民間の職業紹介事業者の紹介を受けていないこと・転籍先が優良であること・3分の1ルール・転籍先から転籍元への支払いを、すべて満たす必要があります。ただし中核である「優良な育成就労実施者」の基準が未公表のため、実際のハードルの高さは確定していません。
Q3. うちの分野は転籍制限が2年です。2年間は必ず引き止められますか?
いいえ、むしろ逆です。2年の転籍制限を適用し続けるためには、分野別運用方針において定める育成就労外国人の待遇の向上措置を講ずる必要があります。何もしなければ2年間引き止められる、という制度ではありません。なお1年に短縮すること自体は、育成就労実施者の判断で可能です。
まとめ
- 今いる技能実習生は原則そのまま技能実習を続けられる。条件は「令和9年4月1日時点で来日済み」または「令和9年3月31日までに計画の認定申請+令和9年6月30日までに実習開始」の2段構え。この場合は技能実習のルールが適用され、育成就労へは移行できない
- 2号から3号への移行は、令和9年4月1日時点で2号を1年以上行っている人に限られる。OTITは「2025年4月2日以降に入国した人は3号に移行できない可能性がある」と案内している
- 本人意向による転籍は新設されるが「自由な転職」ではない。7つの要件をすべて満たす必要があり、転籍制限期間は2年が8分野、1年が9分野。ただし中核の優良要件は未公表
- 日本語要件は入国時ではなく就労開始前まで。試験合格か100時間以上の講習受講のいずれかでよい。正式表記はA1・A2で、転籍時はA2.1、特定技能1号移行時はA2.2
- 監理団体は自動では監理支援機関にならない。施行日から監理支援を受けたいなら2026年9月30日までの申請がOTITの推奨。取引先の監理団体への確認が、いま最優先で打てる一手
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制度の変わり目は、足元を確かめる機会でもあります
育成就労への移行は、外国人材の受け入れをやめる理由にはならないと私たちは考えています。今回の変更を並べてみると、日本語をきちんと教える、待遇を上げる、囲い込まずに選ばれる——制度が企業に求めているのは、結局のところ「まっとうに人を育てて、まっとうに扱う」ことに尽きます。すでにそれをやってきた企業にとっては、少なくとも向かい風ではありません。
とはいえ、優良要件のように中核部分が未確定のまま走っている論点もあり、何を今決めて何を待つべきかの線引きは、外から見ているだけでは引きにくいのも事実です。手を動かすなら、実習生の入国日を並べた一覧と、監理団体への一本の電話から。そこで出てきた「これはどっちなんだ」をこちらから投げていただければ、一緒に整理します。まだ決まっていない部分は、決まっていないとお伝えします。