
外国人材の履歴書を見ると、「JLPT N4合格」「JFT-Basic合格」と一行で書かれていることがあります。
しかし、その資格だけでは、来日前にどのような教育を受けてきたのかまでは分かりません。
仕事をしながら少しずつ日本語を学んだ人もいれば、来日を目指して集中的に学んだ人もいます。
学習期間や授業時間、生活環境、費用の負担などは、国や学校によって大きく異なります。
こうした違いは、日本語能力だけでなく、来日までに本人がどのような準備をしてきたのか、費用をどう負担しているのかといった背景にも関わります。
もちろん、特定の国や教育方法を一括りに評価することはできません。
重要なのは、「資格がある」という結果だけで判断せず、その資格に至るまでの教育環境を知ることです。
この記事では、公的統計や各国の制度を確認しながら、来日前の日本語教育の違いを整理します。
最後に、紹介会社へ確認しておきたい質問も紹介します。
G-Star HR Linkは、ネパールに自社の日本語学校・トレーニングセンターを持つ人材紹介会社です。
代表の岡本は、以前ベトナムでも日本語学校の設立・運営に携わりました。
両国の現場経験と公的データを分けて解説します。
来日前に、人材はどこで日本語を学んでいるのか|送り出し国の教育現場を知る

採用要件を見ると、「JLPT N4以上」「JFT-Basic合格」といった資格で日本語能力を確認することが一般的です。
ただ、その資格だけでは、来日前にどのような環境で日本語を学んできたのかまでは分かりません。
日本語を仕事と並行して学んだ人もいれば、日本で働くことを目指して集中的に学んだ人もいます。
学習期間や授業時間、教師、教材、生活環境などは、国や学校によってさまざまです。
「日本語学校」は、日本と海外で同じものではない
日本国内では、日本語教育機関認定法に基づき、2024年4月から文部科学大臣が認定する「認定日本語教育機関」と「登録日本語教員」の制度が始まりました(文部科学省 日本語教育)。
一方、海外で行われる日本語教育は、その国の教育制度や行政の枠組みの中で実施されます。
つまり、日本でいう「認定日本語教育機関」と、海外の日本語学校・教育機関を同じ基準で考えることはできません。
出入国在留管理庁が公開している日本語教育機関の一覧も、日本国内の制度に基づくものです。
2026年7月には、育成就労制度における日本語教育機関の講習提供状況一覧も公開されています。
そして、この違いは2027年4月に始まる育成就労制度で、さらに重要になります。
育成就労では、A1相当の日本語能力試験に合格していない場合、日本語講習を含む入国後講習は原則320時間以上必要です。
過去6か月以内に160時間以上の入国前講習を受けている場合は、160時間以上に短縮されます。
A1相当試験に合格している場合は原則220時間以上、過去6か月以内に110時間以上の入国前講習を受けていれば110時間以上となります。
つまり、これからは「来日前に日本語を何時間勉強したのか」という情報が、単なる教育履歴ではなく、日本入国後の講習設計にも関係する情報になります。
だからこそ採用担当者が確認したいのは、「N4に合格したか」だけではありません。
どの学校で、いつから、週何時間、どのような授業を受けてきたのか。
試験対策だけなのか、会話や仕事で使う日本語まで学んでいるのか。
資格の結果だけでなく、その資格に至るまでの教育環境を見ることが、人材の理解につながります。
日本語学習者の98%が「学校教育以外」に集中する国
同じ「日本語学習者が多い国」でも、どこで日本語を学んでいるのかを見ると、国によって大きな違いがあります。
国際交流基金の「2024年度海外日本語教育機関調査」は、2024年9月から12月を中心に実施され、143の国・地域を対象に、日本語教育機関や教師、学習者の状況を調査しています。
調査では、日本語教育を「初等・中等・高等教育」と「学校教育以外」に分けて集計しています。
「学校教育以外」には、民間の日本語学校のほか、大学などが設ける学外者向け講座や企業内研修も含まれます。
国 | 日本語学習者数(全体) | うち「学校教育以外」 | 学校教育以外の割合 |
|---|---|---|---|
ネパール | 25,292人 | 24,846人 | 98.2% |
ミャンマー | 100,315人 | 99,699人 | 99.4% |
ベトナム | 164,495人 | 86,191人 | 52.4% |
インドネシア | 732,914人 | 58,275人 | 8.0% |
出典: 国際交流基金「2024年度海外日本語教育機関調査」および同「日本語教育 国・地域別情報」(2025年度)各国版。調査実施は2024年9月〜12月。割合は学習者数から算出。
この数字から見えてくるのは、日本語を「どこで学んでいるか」の大きな違いです。
ネパールでは、日本語学習者の98%超が「学校教育以外」に集中する一方、インドネシアでは約8%にとどまります。
インドネシアでは学校教育の中で日本語を学ぶ人が多いのに対し、ネパールでは日本への留学・就職を目的として、学校教育以外の教育機関で学ぶ人が中心です。
国際交流基金も、ネパールでは日本留学・就職に必要な資格や能力の向上を、日本語学習の主な動機として挙げています。
ただし、「学校教育以外」がすべて民間の日本語学校という意味ではありません。
また、この数字だけでネパールの教育の質を評価することもできません。
採用担当者が見るべきなのは、国別の学習者数だけではなく、本人がどこで、どのくらいの期間、どのような授業を受けてきたのかです。
紹介会社を選ぶ際も、提携校の数だけでなく、教師や授業内容、学習時間をどこまで確認しているかを聞いてみるとよいでしょう。
なお、ネパール人材が言語学的に日本語習得で有利とされる理由はネパール人はなぜ日本語が上手いのか|多言語環境と語順・発音の仕組みで、留学ルートの構造は偽装留学生とは何か|人材業界の内側から見た構造と、企業の自衛策4つで扱っています。
国によって学び方は違う|全寮制の集中型と通学型

ここからは、統計だけでは見えにくい「教室の中」の話です。
まず、G-Star HR Link代表の岡本が、ベトナムとネパールの日本語教育現場で実際に見てきた学習スタイルを紹介します。
個別の学校での経験であり、両国すべてに当てはまるものではない点は、あらかじめ押さえておきたいところです。
①ベトナムで見てきた「半年間の集中型」
岡本がベトナムで日本語学校を運営していた際には、仕事を辞めて学校の寮に入り、集中的に日本語を学ぶ学生がいました。
朝6時ごろに起床して体操を行い、その後は授業、夜は自習という生活です。
1日8〜10時間ほど日本語を学び、それを半年程度続けるスタイルでした。
授業では、文字・文法・会話・漢字・書き取り・聴解に加え、日本で働くためのマナーなども扱っていたといいます。
岡本自身は、このような生活を「軍隊形式」と表現していました。
②ネパールで見てきた「仕事と両立する型」
一方、ネパールで岡本が見てきたのは、仕事を続けながら日本語学校に通う学び方です。
朝の出勤前に3〜4時間ほど勉強し、仕事から帰った後も自習する。
仕事を辞めずに学ぶため、習得までには約1年かかるケースがあるという説明です。
こうした違いの背景として岡本が挙げるのが、学費を借りて仕事を辞め、半年間集中して学ぶことの難しさです。
ネパールでは教育費を賄うための借入れが容易ではなかったり、金利が高かったりするため、働きながら学ぶ選択につながる場合があるといいます。
ただし、「朝6時起床」「1日8〜10時間」「半年」「出勤前に3〜4時間」「約1年」といった数字は、岡本が実際に見てきた学校・学習者についての経験談であり、国全体の標準ではありません。
一方、ネパールで短期間に日本語を学んで渡日するケースがあることは、公的資料とも整合します。
国際交流基金は、ネパールについて、3か月〜1年程度のコースが設定され、6か月程度のコースを修了してN4相当の日本語能力を身につけ、留学・就労のために渡日する人が非常に多いと説明しています。
つまり、同じ「N4合格」という結果でも、そこに至るまでの学習時間や生活環境は一様ではありません。
採用では資格だけでなく、どこで、どのように日本語を学んできたのかまで確認することが、人材を理解する手がかりになります。
2つの学び方は、どういう人材を送り出すか
観点 | 全寮制・集中型 | 通学・両立型 |
|---|---|---|
1日の学習時間 | 8時間〜10時間(授業+自習) | 出勤前に3時間〜4時間、帰宅後に自習 |
期間の目安 | 半年間 | 1年ほど |
学習中の収入 | 仕事を辞めて入寮するため、原則なし | 働きながら通うため、収入は続く |
学費の払い方 | まとめて用意する必要があり、借入れになりやすい | 働いた収入から分割で払う形になりやすい |
来日時の経済状態 | 借入れを抱えて来る可能性が相対的に高い | 無借金で来られる可能性が相対的に高い |
出典: G-Star HR Link代表・岡本博行がベトナムとネパールで日本語学校の設立・運営に携わった経験に基づく整理。学習時間と期間の数値は本人の説明のままで、公的統計ではありません。
「学習中の収入」以降は、あくまで学び方から考えられる傾向で、個人に当てはまるとは限りません。
両者に優劣はなく、短期集中型は日本語の初速、両立型は仕事と学習を続けた継続力が強みになり得ます。
来日時の経済状況も個別に確認しましょう。
どちらの前提で受け入れ体制を組むかという判断です。
国そのものの選び方はネパール人とベトナム人の採用比較|構造の変化から考える国の選び方で整理しています。
試験の到達率は国ごとにこれだけ違う
来日前の日本語力を比較する材料として、国際交流基金のJFT-Basicの結果があります。
JFT-Basicは10~250点で採点され、2026年7月までの試験では200点以上がA2判定の基準でした。2026年8月からは、200~250点がA2.2(A2)と判定されます。
以下は2026年6〜7月の実施結果です。
実施国 | 受験者数 | 基準点(200点)到達者数 | 到達率 |
|---|---|---|---|
インドネシア | 15,341人 | 10,210人 | 66.6% |
ベトナム | 1,330人 | 765人 | 57.5% |
ミャンマー | 2,444人 | 1,187人 | 48.6% |
フィリピン | 1,524人 | 712人 | 46.7% |
インド | 522人 | 189人 | 36.2% |
ネパール | 11,330人 | 3,796人 | 33.5% |
全体(海外13か国+日本国内) | 40,481人 | 20,776人 | 51.3% |
出典: 国際交流基金「JFT-Basic 2026年6月-7月テスト 実施概要報告」(実施日程2026年6月5日〜7月18日、海外13か国27都市および日本国内10都道府県)。到達率は同報告の受験者数と基準点到達者数から算出しました。
これは各国の日本語力そのものを比較した統計ではなく、JFT-Basicを受験した人の結果です。
ネパールの到達率は33.5%で、今回の表では比較した6か国の中で最も低い水準です。
一方、受験者数は11,330人と多く、「ネパール人材の日本語力が低い」と一括りにできる数字ではありません。
重要なのは、国別の平均だけで判断せず、本人がどの学校で、どのように学び、実際にどの程度日本語を使えるのかまで確認することです。
ネパール人材の採用、まずは現状をお聞かせください
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学び方の違いは、借金の有無につながっている|来日前に払う費用の中身
学習中に働けるかどうかは、学費や渡航費をどう準備するかにも関わります。
ここからは、来日前に必要な費用と、その負担の実態を見ていきます。
事前教育費用は7万3,663円、派遣手数料は26万9,303円
来日前に本人が負担する費用について、実額を確認できる公的資料の一つが、出入国在留管理庁の「技能実習生の支払い費用に関する実態調査」です。
調査は令和3年12月10日から令和4年4月末まで実施され、技能実習生への直接聴取に基づいています。
送出機関に費用を支払った人は約85%、その平均額は52万1,065円でした。
この総額と借入れ・失踪の関係はネパール人は本当に辞めにくいのか|送金責任と借金構造から考える定着で扱っているので、本記事では内訳に絞ります。
国籍 | 派遣手数料 | 事前教育費用 | 保証金・違約金 |
|---|---|---|---|
ベトナム(n=212) | 320,272円 | 94,302円 | 29,339円 |
中国(n=127) | 371,629円 | 58,831円 | 5,952円 |
カンボジア(n=26) | 429,788円 | 109,144円 | 14,051円 |
ミャンマー(n=34) | 206,627円 | 44,736円 | 3,124円 |
インドネシア(n=115) | 100,767円 | 60,299円 | 25,479円 |
フィリピン(n=25) | 10,870円 | 37,905円 | 5,783円 |
全体(n=539) | 269,303円 | 73,663円 | 19,503円 |
出典: 出入国在留管理庁「技能実習生の支払い費用に関する実態調査の結果について」表2(送出機関に対する費用内訳別平均支払額・国籍別)。金額は令和4年1月時点のレートで日本円に換算。nは費用内訳の金額まで回答した人数で、総額の集計とは母数が異なります。
数字から分かるのは、本人が支払った費用の大きさと、教育にかかった費用の大きさは同じではないということです。
全体平均では、事前教育費用が7万3,663円なのに対し、派遣手数料は26万9,303円。
ベトナムでは教育費9万4,302円に対して派遣手数料32万272円で、派遣手数料は教育費の約3.4倍です。さらに、送出機関とは別の母国の仲介者に費用を支払った人も11.5%いました。
したがって、「来日前に多くのお金を払った=日本語教育を十分に受けている」とは限りません。
採用では、支払額だけでなく、どの学校で、どのくらいの期間・時間、日本語を学んだのかを確認することが重要です。
借金をする割合は、学び方の違いと重なっている
来日前に母国で借金をしていた技能実習生は、全体の54.7%(n=2,107)。国籍別では、カンボジア83.5%、ベトナム80.0%、ミャンマー47.9%、インドネシア45.9%、フィリピン34.5%、中国13.4%でした。
借金総額の平均は54万7,788円(n=993)です。
ベトナムでは、仕事を辞めて寮で集中的に学ぶ形と、借入率80.0%という数字が並びます。
ただし、教育方法が借金を生むと公的データから断定することはできません。
重要なのは、来日時の経済的負担には個人差があると理解し、採用時に一括りにしないことです。
ネパールの実額データはまだ確認できない。ただし、2027年から制度が変わる
正直に押さえておきたいのは、ネパール人材の来日前費用について、同調査のような公的な実額データは2026年8月時点で確認できないことです。
出入国在留管理庁の「技能実習生の費用負担に関する実態調査」は、ベトナム・中国・インドネシア・フィリピン・ミャンマー・カンボジアの6か国が対象で、ネパールは含まれていません。
一方、2027年4月に施行される育成就労制度では、外国人が送出機関に支払う全ての費用について、就労開始時(1年目)の月給の2か月分を超えてはならないという上限が設けられます。
また、送出機関には、徴収する費用の額や項目、算出方法などを公表する仕組みも導入されます。
つまり、現在は「ネパール人材は来日前にいくら払っているのか」を公的統計だけで判断するのは難しい段階です。
だからこそ企業側も、採用時に「来日までに本人はいくら負担するのか」「その内訳は何か」を確認しておくことが重要です。
企業が学校の質をどう見るか|紹介会社に聞くべき5つのこと

ここまでの内容を、採用担当者が使える5つの質問に整理します。
現地の学校を直接評価するのは難しいからこそ、紹介会社に「教育内容・教師・学習時間などをどこまで確認しているか」を聞くことが、学校の実態を知る手がかりになります。
紹介会社そのものの見極め方(現地視察・責任体制・授業料・ブローカーの介在)はネパール人材紹介会社の選び方|現地視察・手数料・責任の4チェックポイントにまとめています。
①授業時間の総量と期間はどれくらいですか
「1日何時間、週何日、何か月学ぶコースですか」「自習時間は含まれますか」と聞いてみましょう。
紹介会社が具体的な数字を把握していれば、教育内容をきちんと確認しているか判断する材料になります。
集中型か仕事との両立型かに優劣はありません。
どのような環境で学んできた人材なのかを把握したうえで、受け入れ体制を考えることが重要です。
②誰が教えているのですか
現地の日本語学校を評価するときは、教師についても確認しておきたいポイントです。
国際交流基金のネパール向け資料では、学校教育以外の日本語教育に資格要件はなく、N1レベルの教師がいる一方、N2・N3レベルの教師や、N4保有者がN5受験者を指導するケースもあるとされています。
また、教師養成講座を開設している機関はないとされています。
そのため、紹介会社には「教師の日本語レベルはどの程度か」「日本人教師は関与しているか」「教師向けの研修を行っているか」を聞いてみましょう。
資格の有無だけでなく、誰が、どのような体制で教えているのかを確認することが大切です。
③その「合格率」の分母は何ですか
学校の説明資料にある「合格率○%」は、数字だけで判断してはいけません。
まず「何人が受験し、そのうち何人が合格したのか」を確認しましょう。
分母が在籍者全体なのか、受験者なのか、学校が受験を認めた人なのかで、数字の意味は大きく変わります。
「合格率」ではなく、「受験者は何人、合格者は何人ですか」と人数で聞くのが確実です。
比較する際は、JFT-Basicなど公的に確認できるデータを参考にするのも一つの方法です。
なお、JLPT公式サイトでは、国内・海外別の応募者数、受験者数、認定者数、認定率は公表されていますが、国・地域別の認定率は公表されていません。
たとえば2025年第2回の海外N4認定率は35.3%です。
そのため、「ネパールのJLPT合格率○%」などと提示された場合は、公式統計なのか、その学校・紹介会社独自の集計なのかを確認することが重要です。
④働く分野や目的に応じて、教える内容を変えていますか
同じ「N4取得」を目指す場合でも、介護、製造、外食など、実際に働く分野によって必要な日本語は変わります。
特に介護分野では、JFT-BasicまたはJLPT N4以上に加えて、介護の日本語試験(介護特定技能評価試験(日本語))の合格も必要です。
紹介会社には「試験に合格させるだけでなく、分野に応じてどのような日本語を教えていますか」と聞いてみましょう。
試験対策と仕事で使う日本語をどう結び付けているかまで説明できる会社なら、教育内容を具体的に把握しているか判断しやすくなります。
⑤教育と紹介の責任関係を説明できますか
紹介会社に確認したいのは、「誰が教育し、誰が人材を紹介し、その品質に誰が責任を持つのか」です。
現地の提携校を通じて人材を集める会社もあれば、自社で教育機関を運営する会社もあります。
どちらが優れているということではありません。
重要なのは、教育内容や人材募集の方法について具体的に説明できるかです。
特に、現地の送出機関やサブエージェント、ブローカーが関与している場合は、誰が募集し、本人が誰にいくら支払うのかまで確認しておきましょう。
実際に、厚生労働省の資料でも、送出機関がサブエージェントやブローカーを利用し、本人がリクルート関連費用を支払う事例が指摘されています。
自社で学校を運営する会社についても、「学校があるから安心」とは限りません。
教育費、募集経路、紹介までの責任分担を説明できるかを見ることが大切です。
よくある質問(FAQ)
Q1. ネパールのJFT-Basic到達率が33.5%と低いのは、不安材料ではありませんか?
A.国全体の数字としては低い水準です。
ただしこれは「受験した人のうち基準点に届いた人の割合」であり、企業が面接する候補者はすでに基準点に到達した人です。
つまり33.5%は候補者本人の能力ではなく母集団の環境を表しています。
読み取るべきは「学校の質のばらつきが大きい国なので、どこで学んだかを確認する価値が高い」ということです。
Q2. 来日前の学習期間が長いほど、日本語ができると考えてよいですか?
A.期間だけでは判断できません。
1日3〜4時間で1年間と、1日8〜10時間で半年間では、期間が長いのは前者ですが投下時間の総量では後者が上回る可能性があります。
ですから期間ではなく「1日何時間×週何日×何か月」で聞いてください。
ただし総時間が多ければ会話ができるとも限らず、授業の形式でも差が出ます。
面接での見極め方はネパール人はなぜ日本語が上手いのかの後半で解説しています。
Q3. 送出し費用が安い候補者を選べば、借金の問題は避けられますか?
A.総額だけでは判断できません。
総額が低くても教育がほとんど行われていない場合がありますし、逆に総額が高くてもその大半が手数料であれば、本人は多くを負担して薄い教育しか受けていないことになります。
「派遣手数料はいくらか」「教育費はいくらか」「その他の名目は何か」を紹介会社に聞き、答えられない場合はその事実自体を判断材料にしてください。
まとめ
日本語を「どこで学んだか」まで確認する
ネパールでは日本語学習者の98.2%が「学校教育以外」に分類される。ただし、この区分には複数の教育形態が含まれるため、民間語学学校だけを指す数字ではない。学習期間だけでなく、学び方を見る
集中型、仕事との両立型など学び方はさまざま。「何か月」だけでなく、1日・週あたりの学習時間や授業内容まで確認をする。来日前の費用は総額と内訳を分けて見る
技能実習生の調査では、送出機関への支払総額は平均52万1,065円、内訳では教育費7万3,663円、派遣手数料26万9,303円。ただし、ネパールは調査対象外。ネパールの費用は、公的な実額データがない
2026年8月時点で、ネパール人材の来日前費用を示す同種の公的統計は確認できない。2027年4月施行予定の育成就労制度では、送出機関への費用に上限が設けられる。紹介会社には5つを聞く
「授業時間」「教師」「合格率の分母」「分野別の教育内容」「教育と紹介の責任の所在」。この5点を確認すれば、資格だけでは分からない教育環境を比較できる。
次に読むべき記事:
人材の日本語力は、来日前の学び方で大きく変わる
入社後の日本語教育を考えることは大切ですが、来日前の半年から1年をどう過ごしてきたかにも目を向ける必要があります。
どこで、どのくらい学び、誰から教わったのかは、日本語力だけでなく、来日時の経済的な負担や生活面にも影響する可能性があります。
「自社が採用する人材は、どんな教育を受けてきたのか」と思ったら、まず紹介会社に本記事の5つの質問をしてみてください。
教育内容や費用について確認するだけでも、採用後のミスマッチを減らす材料になります。
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