
「この作業まで任せていいのか」
——技能実習生を受け入れている企業から、いちばん多くいただく質問です。
収穫はさせられるが積み込みはさせられない。
機械の運転はいいが、その前後の片づけはどう扱うのか。
現場では同じ一連の流れなのに、計画上は別の業務として線を引かなければならない。
この線引きに神経を使ってきた担当者は少なくないはずです。
2027年4月に施行される育成就労制度では、この線引きの考え方が変わります。
技能実習にあった「関連業務」「周辺業務」という概念そのものがなくなり、必須業務に業務時間全体の3分の1以上、安全衛生業務に10分の1以上従事していれば、残りの時間は業務区分の中の業務に従事できる仕組みになるとされています。
任せられる仕事の幅は、技能実習より広がります。
私たちG-Star HR Linkは、浜松を拠点にネパール人材の紹介と採用支援を行っています。
ネパール現地に自社の日本語学校とトレーニングセンターを持ち、送り出しから入社後の定着まで一貫して関わってきました。
この記事では、業務範囲のルールが技能実習からどう変わるのかを一次資料で整理したうえで、受入企業と監理支援機関が施行前に手をつけておきたい実務をまとめます。
「この作業はやらせていいのか」|技能実習で現場が止まっていた理由

まず、技能実習でなぜ細かい線引きが必要だったのかを確認します。
ここを押さえておくと、育成就労で何が変わるのかがはっきりします。
細かさの理由は、制度の目的にあった
技能実習制度の目的は、技能等の開発途上地域等への移転による国際貢献でした。
日本で働いてもらうこと自体が目的ではなく、帰国後に生かせる技能を身につけて帰ってもらうことが建前です。
だからこそ「何を身につけたのか」を後から検証できる形にする必要があり、業務の中身と時間配分が細かく定められていました。
一方で現場の実態は、人手不足を背景に人材確保の手段として使われている面がありました。
制度の目的と実際の使われ方がずれたまま運用されてきたことが、育成就労への転換の背景にあります。
育成就労は、人材の育成と確保を目的として明記した制度です。目的が変われば、業務範囲の設計も変わります。
計画は「職種・作業」の単位で立てる
技能実習は、技能等の修得を目的とした制度です。
そのため、2号・3号へ移行できる職種・作業ごとに審査基準が定められ、技能実習計画にはその審査基準に沿った業務を盛り込む必要がありました。
「製造業だから工場の仕事は何でも」ではなく、「この職種のこの作業」という単位で計画を立て、認定を受ける建て付けです。
必須業務・関連業務・周辺業務という3つの箱
そのうえで、業務は3つに分類されていました。
技能実習制度の運用要領は、時間の割合について次のように定めています。
業務に従事させる時間全体と比べた必須業務、関連業務及び周辺業務の時間の割合を算出し、それぞれ、必須業務が2分の1以上、関連業務が2分の1以下、周辺業務が3分の1以下となっていることを求めるものです。
また、必須業務、関連業務及び周辺業務のそれぞれについて、従事させる時間のうち10分の1以上を安全衛生に係る業務を行わせる必要があります。
必須業務が半分以上。これが実務では効きました。
半分以上を「修得させる技能そのもの」に充てなければならないため、現場の都合で応援に回す、繁忙期に別ラインを手伝ってもらう、といった融通が計画と合わなくなりやすかったのです。
現場で実際に起きていたこと
私たちが受入企業から相談を受けてきた場面で言えば、こういう質問が典型でした。
農業で、収穫は計画に入っているが、収穫物の積み込みや運搬は入っていない。
同じ人が続けてやってしまっていいのか建設で、機械の運転は計画上の業務だが、その前後の資材の片づけや現場の清掃はどこに入るのか
製造で、担当ラインが止まっている間、隣のラインを手伝ってもらってよいのか
制度としては、関連業務・周辺業務として計画に位置づけ、時間の割合の中に収めれば対応できる話です。
ただ、現場の班長が毎日の割り振りを決める場面で、この計算を意識し続けるのは簡単ではありません。
結果として「計画に書いていないことはさせない」と保守的に運用し、本人にとっても物足りない、企業にとっても回しにくい状態になる。
これが技能実習で繰り返し起きていたことでした。
育成就労では「関連業務」「周辺業務」の概念そのものがなくなる

育成就労制度では、この3分類が使われません。
出入国在留管理庁・厚生労働省の「育成就労制度運用要領」は、次のように明記しています。
技能実習制度においては、「関連業務」や「周辺業務」といった概念が存在し、これらの業務に従事できる時間の上限がそれぞれ規定されていましたが、育成就労制度においては、これらの概念はありません。
出典: 出入国在留管理庁・厚生労働省「育成就労制度運用要領」(令和8年8月5日更新版)第4章
求められるのは2つの下限だけ
代わりに置かれているのは、2つの時間の下限です。
必須業務: 業務時間の全体に比して3分の1以上(規則第13条第2項第2号ハ)
安全衛生業務: 業務時間の全体に比して10分の1以上(同号ニ)
必須業務とは、運用要領の定義では「修得させる技能に係る技能検定等の試験範囲に基づき、当該技能の修得のため、必ず行わなければならない業務」です。
技能実習の2分の1以上から3分の1以上へ、下限が下がっています。
残りの時間は業務区分の中で動かせる
残りの時間の扱いについて、運用要領はこう書いています。
その他の時間において、必須業務及び安全衛生業務のほか、業務区分内の業務に従事することや、これらの業務に関連する業務に付随的に従事することは可能です。
出入国在留管理庁の「育成就労制度Q&A」も、Q15で同じ整理を示しています。
「主たる技能」を修得するために必要な必須業務に全体の就労時間の3分の1以上従事するほか、それぞれの業務区分の範囲内で、当該業務と関連する業務に従事することが可能とされています。
先ほどの例で言えば、収穫の前後にある積み込みや運搬、機械の運転に付随する片づけといった業務は、業務区分の中にある限り、時間の上限を気にしながら別枠で管理する必要がなくなります。
現場の一連の流れを、そのまま一連の仕事として任せやすくなる、ということです。
技能実習と育成就労の比較
項目 | 技能実習 | 育成就労 | 特定技能1号 |
|---|---|---|---|
計画を立てる単位 | 移行対象職種・作業ごと(審査基準に沿って作成) | 育成就労産業分野の業務区分ごと。区分の中から「主たる技能」を定める | 特定産業分野の業務区分ごと(育成計画の認定は不要) |
必須業務の下限 | 業務時間全体の2分の1以上 | 業務時間全体の3分の1以上 | 定めなし |
関連業務 | 2分の1以下という上限あり | 概念なし。業務区分内の業務に従事可能 | 日本人が通常従事する関連業務に付随的に従事することは差し支えないとされる |
周辺業務 | 3分の1以下という上限あり | 概念なし | 概念なし |
安全衛生業務 | 必須・関連・周辺のそれぞれについて10分の1以上 | 業務時間全体の10分の1以上 | 定めなし |
分野をまたぐ就労 | 不可 | 不可(人材育成の一貫性を確保する観点から) | 分野ごとに在留資格を取得するため、変更手続きが必要 |
出典: 外国人技能実習機構「技能実習制度 運用要領」第4章、出入国在留管理庁・厚生労働省「育成就労制度運用要領」第4章、出入国在留管理庁「育成就労制度Q&A」Q14〜Q16、出入国在留管理庁「特定技能制度に関するQ&A」をもとに作成
並べると、育成就労は特定技能1号に近づいたものの、同じではないことが分かります。
特定技能1号には育成計画の認定がなく、必須業務の割合も定められていません。
育成就労はあくまで「3年で特定技能1号の水準まで育てる」ための制度なので、必須業務3分の1以上という下限と、育成就労計画の認定が残っています。
技能実習ほど窮屈ではないが、特定技能ほど自由でもない——というのが実務上の位置づけです。
両制度の全体像は特定技能とは|1号と2号の違い・19分野・受入れ上限の全体像を整理で整理しています。
転籍や日本語要件を含めた制度全体の変更点は、育成就労と技能実習の違い|転籍・日本語要件・キャリアパスの変更点で扱っています。
「何でも任せられる」ではない|主たる技能と業務区分という2つの枠
ここまでを読んで「制限がなくなった」と受け取ると、認定申請でつまずきます。
枠は2つ残っています。
枠1: 主たる技能を1つ選ぶ
育成就労では、業務区分ごとに分野別運用方針で「主たる技能」が定められます。
運用要領によれば、1つの業務区分に複数の主たる技能が定められている場合、育成就労実施者はいずれかを選択する必要があります。
定められ方には次の3パターンがあるとされています。
業務区分の業務全般を行うために必要な技能が「主たる技能」として1つ定められている場合
業務区分の業務のうち特定の業務を行うために必要な技能が「主たる技能」として定められている場合
上記の両方が定められている場合
選んだ主たる技能が、3年間の目標とする技能試験を決め、その試験範囲が必須業務の中身を決めます。
つまり、業務範囲の設計は「主たる技能を何にするか」から始まります。
運用要領は、必須業務として認められない業務に育成就労の期間を通じて専ら従事することは、適切に育成就労を行うものとはいえない、としています。
枠2: 業務区分と分野は越えられない
業務区分の外に出ることは想定されていません。
分野をまたぐこともできないとされており、Q&Aは「夏は農業、冬は漁業」のような働き方について、人材育成の一貫性を確保する観点から分野をまたいで働くことはできないとしています。
なお、季節性のある農業分野・漁業分野については、派遣元と派遣先が共同で育成就労計画を作成して認定を受けることで、派遣の形態で実施できるとされています。
時間配分が偏っている計画も認められない
下限を満たしていても、配分の仕方によっては認定されない場合があります。
運用要領は、基準を満たさない例として、必須業務と安全衛生業務の時間配分の基準は満たしているものの、1年目に技能試験の受験が必要にもかかわらず、基準時間の達成が1年目の終了直前になっているなど、月ごとの時間配分が特段の理由もなく著しく不均衡となっている場合を挙げています。
また、事業所で通常行われていない業務を育成就労のために新たに行うことや、その事業所で一般的に用いられていない設備を使うことは認められないとされています。
「計画のために業務を作る」ことはできない、という趣旨です。
施行前にやっておくこと|作業の棚卸しと、監理支援機関との読み合わせ

ルールが緩んだ分、恩恵を受けられるかどうかは準備で決まります。
現場の割り振り表を作り直さなければ、実務は技能実習のままです。順番としては次の5つになります。
1. 自社の作業を書き出して仕分ける
まず、その職場で1日に発生する作業をすべて書き出します。
そのうえで、①目標とする技能試験の範囲に入る業務(必須業務の候補)、②業務区分の中にあるが試験範囲ではない業務、③そもそも業務区分の外にある業務、の3つに仕分けます。
③に大量の時間を割いている場合は、業務区分の選び方そのものを見直す必要があります。
棚卸しのやり方はシンプルで構いません。
1日の作業を時間帯で書き出し、それぞれ何分・何時間かかっているかを1週間分だけ記録します。
繁忙期と閑散期で構成が変わる職場は、両方の代表的な1週間を取ります。
ここで出てくる「1日の中に細かく挟まる作業」——荷受け、片づけ、清掃、記録作業——が、技能実習では周辺業務として上限の計算に入っていた部分です。
育成就労ではこの計算から解放されますが、代わりに「必須業務が3分の1に届いているか」を見る必要があります。
2. 業務区分と主たる技能を先に決める
仕分けの結果をもとに、どの業務区分で受け入れ、どの主たる技能を選ぶかを決めます。
ここが決まると、3年後の目標試験と1年目の受験科目が自動的に決まります。
逆算の設計は育成就労から特定技能へ|移行要件はA2.2相当、3年で育てる採用設計で詳しく整理しています。
3. 1年目の試験から逆算して、月ごとの配分を決める
育成就労では、開始から1年以内に目標に対応した試験を受験させることが求められるとされています。
前述のとおり、運用要領は必須業務の基準時間の達成が1年目終了直前になっているような、月ごとの時間配分が特段の理由もなく著しく不均衡な計画を、基準を満たさない例として挙げています。
実務に落とすと「1年目の受験月から逆算して、それまでに必須業務をどれだけ積むか」を先に決める、ということです。
最初の数か月は覚えることが多く、どうしても補助的な作業の比率が上がります。
その分を後半で取り返す前提の計画は、1年目の試験に間に合いません。
配属直後から必須業務に触れる時間を確保できるよう、指導役の配置と作業の切り出しをセットで考えておく必要があります。
4. 監理支援機関(組合)と読み合わせる
団体監理型で受け入れる場合、計画の作成は監理支援機関の支援を受けて行います。施行前のいまの時点で確認しておきたいのは、次のような点です。
自社の分野の分野別運用方針・上乗せ基準が公表されているか。
主たる技能はいくつ定められているか自社が想定している業務の並びで、必須業務3分の1以上・安全衛生10分の1以上を無理なく満たせるか
1年目・3年目に受験させる試験と、その実施時期・実施地
監理支援機関としての許可申請の進捗(技能実習の監理団体が自動的に監理支援機関になるわけではありません)
監理支援機関側の準備状況は、そのまま自社の受入れ開始時期に響きます。
詳しくは育成就労が始まる前に企業がすべき準備|2026年9月の申請開始から逆算するをご覧ください。
5. 任せる仕事の幅を、定着の設計につなげる
業務範囲が広がることの意味は、現場の融通が利くという話にとどまりません。
技能実習は原則3年で帰国する前提の制度でした。
3年で帰る人に、新しい仕事を任せる、資格を取らせる、賃金を上げる——という判断は、企業側からするとどうしても後回しになりがちです。
育成就労は特定技能1号へつながる設計で、本人の意向による転籍も一定の要件のもとで認められます。
長く働いてもらう前提に立つなら、任せる仕事の幅を段階的に広げ、それを賃金と結びつけたキャリアパスを描くことが、そのまま定着策になります。
転籍のルールと、引き留めのために現実的に効く待遇の考え方は育成就労の転籍ルールと人材流出リスク|分野別1年・2年の線引きから考えるで整理しています。
日本語は、業務の幅を支える土台になる
任せられる業務が広がるということは、指示の量と種類が増えるということでもあります。
決まった作業を繰り返すだけなら身振りでも回りますが、日によって仕事が変わる職場では、口頭の指示が通るかどうかが安全と品質に直結します。
育成就労では日本語能力についても段階的な要件が設けられており、就労開始前までにA1相当以上の試験合格または相当する講習の受講、育成就労の修了時までにA2.2相当(JLPT N4が目安)の水準が求められるとされています。
私たちの場合は、面接の時点でJFT-Basic A2(JLPT N4相当)を取得した候補者だけが参加します。
教育機関での学習期間は4ヶ月から1年、平均するとおよそ半年です。
面接の段階で日本語要件の見通しが立っているぶん、面接後の期間は配属先の業務に応じた準備に充てられます。
監理支援機関の確認は、どう変わるか
この記事は受入企業だけでなく、監理支援機関(現在の監理団体)の担当者にも関わる話です。業務範囲のルールが変われば、監査で見る中身も変わります。
「上限を超えていないか」から「下限に届いているか」へ
技能実習では、関連業務が2分の1を超えていないか、周辺業務が3分の1を超えていないか——という上限のチェックが必要でした。
育成就労では上限の概念が消えるため、見るべきは必須業務3分の1以上と安全衛生10分の1以上という下限、そして業務区分の外に出ていないかの2点になります。
実地での確認も変わります。
「この作業は関連業務か周辺業務か」という分類の議論が減る一方、「この作業は業務区分の中に入るのか」「必須業務として計上している作業は、本当に目標試験の範囲に対応しているのか」という、より内容に踏み込んだ確認が必要になります。
送り出し機関の見極めも、監理支援機関の実務に入ってくる
育成就労では日本語能力の要件が制度として定められ、受入企業または監理支援機関が費用の負担を含めて必要な措置を取ることとされています。
入国前にどこまで仕上げてくるかによって、入国後にかかる時間と費用が変わるということです。
送り出し機関や現地の教育機関を選び直す動きが出ているのは、この負担が読めるかどうかが実務に直結するためです。
現地の教育体制を見るときの観点は、海外の日本語学校の実態|全寮制「軍隊形式」と通学制で人材はどう変わるかとネパール人材紹介会社の選び方|現地視察・手数料・責任の4チェックポイントにまとめています。
要件がはっきりすることは、体制を持つ側には追い風になる
日本語の水準や教育機関の要件が制度として定められると、送り出し側にも一定の体制が求められることになります。
私たちは現地に自社の日本語学校とトレーニングセンターを持ち、そこで育てた人材だけを紹介しています。
基準がはっきりすることは、体制の中身を数字と事実で説明しやすくなるという意味で、私たちにとっては歓迎できる変化です。
ただし、要件が厳しくなることと、費用が上がることは分けて考える必要があります。
日本語や技能の要件が上がるのは人材の質に直結しますが、申請や更新にかかる費用の負担が増える部分は、受入企業と本人のどちらにとっても重くなります。
制度の詳細が固まっていく過程で、ここは注視していくべき論点だと考えています。
よくある質問(FAQ)
Q1. 育成就労では、業務の時間配分を記録しなくてよくなるのですか。
A.いいえ。関連業務・周辺業務という区分はなくなりますが、必須業務が業務時間全体の3分の1以上、安全衛生業務が10分の1以上という基準は残ります。
育成就労計画にはこの構成を記載して認定を受けることになるため、実態がそれに沿っているかを説明できる状態にしておく必要があります。
月ごとの配分が著しく偏っている場合には、基準を満たさないと判断される例が運用要領に示されています。
Q2. 繁忙期に、業務区分の外にある仕事を手伝ってもらうことはできますか。
A.育成就労の業務は、業務区分の範囲内であることが前提とされています。
区分の外にある業務を継続的に担わせることは想定されていません。
どこまでが区分の中に含まれるかは分野・業務区分によって異なるため、自社の分野の運用方針と運用要領を確認し、判断に迷う場合は監理支援機関を通じて確認するのが安全です。
Q3. 技能実習生として受け入れている人材の業務範囲も、2027年4月から広がりますか。
A.施行日の時点で技能実習を行っている方については、技能実習計画に沿った受入れが続きます。
育成就労のルールがそのまま適用されるわけではありません。
自社にどちらの制度の人材が何人いる状態になるのかを、施行日をまたぐスケジュールで整理しておくことをおすすめします。
Q4. 業務区分や主たる技能は、途中で変えられますか。
A.育成就労計画は認定を受けたうえで実施するものであり、内容を変更する場合には所定の手続きが必要になります。
転籍の際に同一の業務区分内で主たる技能や目標とする技能試験を変更する扱いについても運用要領に定めがありますが、育成の一貫性という観点から、変更しないことが推奨されています。
Q5. 監理団体として、いま企業に何を伝えておくべきですか。
A.「業務範囲が広がる」という結論だけが独り歩きすると、業務区分の外の作業まで任せてよいと受け取られかねません。
伝える順番としては、①関連業務・周辺業務の上限がなくなること、②代わりに必須業務3分の1以上・安全衛生10分の1以上という下限が残ること、③業務区分と分野は越えられないこと、の3点をセットにするのが安全です。
そのうえで、各社の作業の棚卸しを施行前に済ませておくよう促すと、計画作成の負荷が分散します。
まとめ
育成就労では、技能実習にあった「関連業務」「周辺業務」という概念そのものがなくなる
求められるのは、必須業務が業務時間全体の3分の1以上(技能実習は2分の1以上)、安全衛生業務が10分の1以上という2つの下限
残りの時間は、業務区分内の業務や、それに付随する関連業務に充てることができる
ただし業務区分と分野は越えられず、主たる技能の選択が必須業務の中身と目標試験を決める
恩恵を受けられるかは準備次第。作業の棚卸し→業務区分と主たる技能の決定→監理支援機関との読み合わせ、の順で進める
次に読むべき記事:
任せられる仕事が広がるかどうかは、現場の割り振りで決まります
制度が変わっても、明日からの割り振り表が変わらなければ、現場で起きることは何も変わりません。
逆に言えば、いま自社の作業を書き出して仕分けておけば、施行のタイミングで任せられる仕事を一段広げられます。
作業の棚卸しは、制度の詳細が固まるのを待たずに始められる数少ない準備です。
どの業務区分で受け入れるべきか、いまの作業構成で必須業務3分の1を満たせるのか——このあたりは、自社の現場を知らないと判断がつきません。
検討の入口の段階でも、お問い合わせからご相談いただければ、実際の作業の並びを伺いながら一緒に整理します。
本記事の制度に関する記述は、公表されている情報をもとに整理したものです。
最新の省令・運用要領については、必ず出入国在留管理庁等の公式情報をご確認ください。