
外国人採用を考え始めると、「監理団体」「登録支援機関」「人材紹介会社」という3つの名前が出てきます。
どれも外国人材を支援してくれるように見えますが、役割は同じではありません。
たとえば、監理団体に特定技能の相談をして「扱っていません」と言われたり、人材紹介会社に入社後の支援を頼んだら別料金になったり、登録支援機関に「候補者を紹介してほしい」と伝えたら対応できないと言われたりします。
これは、単にサービス内容が違うからではありません。
それぞれ根拠となる制度が異なり、監理団体は技能実習、登録支援機関は特定技能1号の支援、職業紹介会社は求人者と求職者の雇用関係をあっせんすることが基本的な役割です。
だからこそ、外国人採用では「何をしてくれる会社か」だけでなく、「どの制度に基づいて、何を担う事業者なのか」を先に確認することが大切です。
この記事を運営するG-Star HR Linkは、厚生労働大臣の有料職業紹介事業の許可(22-ユ-300884)と、出入国在留管理庁の登録支援機関登録(25登-011561)の両方を持っています。
紹介と入社後の支援、その両方を実際に行う立場から、3者の違いを整理します。
私たちが大切にしているのは、採用をゴールにせず、その後の活躍まで見据えること。
「どこに頼めばいいのか」を企業側で判断できるよう、制度と実務の両面から解説します。
3つは「制度上の立ち位置」がまったく違う

まず押さえたいのは、それぞれがどの法律の、どの規定に基づく存在なのか。
ここを理解すれば、3者の役割や違いが整理しやすくなります。
監理団体・監理支援機関|技能実習法・育成就労法に基づく「許可」
技能実習制度では、監理事業を行う者は、あらかじめ主務大臣の許可を受ける必要があります(技能実習法第23条)。
申請書類の受付は外国人技能実習機構(OTIT)本部事務所の審査課で行われ、地方事務所では受け付けていません。
許可には「一般監理事業」と「特定監理事業」があり、一般監理事業は第1号から第3号まで、特定監理事業は第1号・第2号までの技能実習を監理できます。
一般監理事業には、優良な監理団体であることを含む追加の許可基準があります。
また、監理団体は「本邦の営利を目的としない法人」であることが必要です。
原則として、商工会議所・商工会・中小企業団体・職業訓練法人・農業協同組合・漁業協同組合・公益社団法人・公益財団法人などが対象となり、株式会社は原則として該当しません(技能実習法施行規則第29条)。
個別の類型と、それ以外の法人形態で申請する場合の立証は監理支援機関の許可申請で扱っています。
許可の有効期間は、一般監理事業が原則5年、特定監理事業が原則3年です。
さらに、更新時に一定の基準を満たす一般監理事業は7年、特定監理事業は5年となる仕組みがあります(技能実習法第31条、同法施行令第2条)。
一方、2027年4月1日に始まる育成就労制度では、監理団体に代わって「監理支援機関」が監理支援事業を担います。
法人要件は引き続き「本邦の営利を目的としない法人」が基本ですが、外部監査人の設置、債務超過でないこと、原則2者以上の育成就労実施者を監理することなど、許可基準は厳格化されています。
有効期間も技能実習とは異なります。
育成就労法第31条と同法施行令第2条では、初回許可は3年、更新時に一定の基準を満たす場合は5年、それ以外は3年とされています。
一般監理事業・特定監理事業という区分もありません。
なお、技能実習の監理団体が育成就労制度でも監理支援を行うには、新たに監理支援機関の許可を受ける必要があります。
自動的に引き継がれるわけではありません。
詳しくは監理支援機関の許可申請|監理団体が2027年4月までに取り直すものをご覧ください。
登録支援機関|入管法に基づく「登録」
登録支援機関の根拠は、入管法第19条の23第1項です。
契約により委託を受け、適合1号特定技能外国人支援計画の「全部」を実施する者は、出入国在留管理庁長官の登録を受けることができます。
登録は許可制ではなく、登録拒否事由に該当しないかなどを審査する仕組みです。
有効期間は5年で、更新を受けなければ効力を失います。
新規登録の手数料は28,400円、更新は11,100円です。
監理団体との大きな違いは、法人形態の幅です。
運用要領は、要件を満たせば法人だけでなく個人事業主も登録でき、定款や登記上の目的に特定技能外国人支援の記載があることも登録要件ではないとしています。
ただし、支援の一部だけを行う者として登録することはできません。
また、受託した支援業務の再委託も原則認められません。通訳人などの履行補助者を活用することは可能です。
義務的支援10項目そのものの中身は登録支援機関とは|義務的支援10項目・費用・選び方を登録支援機関が解説で扱っています。
人材紹介会社|職業安定法に基づく「許可」
職業安定法では、職業紹介を「求人及び求職の申込みを受け、求人者と求職者との間における雇用関係の成立をあっせんすること」と定義しています(第4条第1項)。
有料職業紹介事業は同法第30条に基づく厚生労働大臣の許可が必要で、申請は事業所を管轄する都道府県労働局を経由します。
許可期間は新規3年、更新5年です(第32条の6)。
法人形態の制限はなく、株式会社が大半です。
逆に言えば、外国人材に特化しているかどうか、法人形態は株式会社に限られず、個人事業主も許可の対象となり得ます。
外国人材に特化していることも許可要件ではありません。
日本人の中途採用を扱う会社も、ネパール人材に特化した会社も、制度上は同じ「有料職業紹介事業者」です。
したがって、許可を持っていることと、外国人材紹介の品質は別の問題です。
ネパール人材紹介会社の選び方|現地視察・手数料・責任の4チェックポイントで、選ぶ際の具体的な観点を整理しています。
何を頼めて、何は頼めないのか|3者の業務範囲を1枚で

同じ「外国人材を扱う機関」でも、制度ごとに頼める仕事は異なります。
3者の違いを表で整理します。
比較軸 | 監理団体(2027年4月以降は監理支援機関) | 登録支援機関 | 人材紹介会社 |
|---|---|---|---|
根拠法 | 技能実習法/育成就労法 | 入管法 | 職業安定法 |
手続の種類 | 許可(主務大臣) | 登録(出入国在留管理庁長官) | 許可(厚生労働大臣) |
申請・審査の窓口 | 技能実習:OTIT本部事務所審査課/育成就労:OTIT本部審査課分室 | 地方出入国在留管理局 | 都道府県労働局 |
有効期間(技能実習法下) | 3年以上(一般監理事業5年・特定監理事業3年が基本、更新で最長7年) | 5年(更新制) | 新規3年・更新5年 |
有効期間(育成就労法下) | 初回3年/更新時は基準適合なら5年、それ以外は3年(一般/特定の事業区分そのものが無い) | 5年(更新制) | 新規3年・更新5年 |
法人形態 | 本邦の営利を目的としない法人に限定 | 制限なし(個人事業主も可) | 制限なし |
対象となる在留資格 | 技能実習/育成就労 | 特定技能1号 | 特定の在留資格に限定されない |
雇用関係の成立のあっせん | 技能実習・育成就労に限って可 | できない(別途、職業紹介の許可等が必要) | できる |
1号特定技能外国人支援の全部受託 | できない | できる | できない(別途、登録が必要) |
公的名簿 | OTIT「監理団体一覧」 | 入管庁「登録支援機関登録簿」 | 厚労省「人材サービス総合サイト」 |
出典: 出入国在留管理庁・厚生労働省の各運用要領および関係法令(技能実習制度運用要領 第5章/育成就労制度運用要領 第5章/特定技能外国人受入れに関する運用要領(令和8年8月)/厚生労働省「職業紹介事業の業務運営要領 第1 職業紹介事業の概要」)をもとに作成
監理団体は「技能実習に限って」紹介ができる
表の「あっせん」で重要なのは、監理団体には職業紹介の特例があることです。
技能実習法第27条は、監理団体について、職業安定法上の許可を別に受けなくても、技能実習に係る雇用関係の成立のあっせんを行えると定めています。
つまり、監理団体の許可だけで、技能実習に限って職業紹介ができます。
ただし、範囲を超えて紹介できるわけではありません。
監理団体の許可だけでは、技能実習以外の雇用関係の成立をあっせんすることはできず、その場合は職業安定法上の許可・届出が必要です。
逆に、職業安定法上の許可・届出だけでは、技能実習についてこの特例を利用することはできません。
2027年4月1日からの育成就労制度でも同じ考え方が採られ、監理支援機関は育成就労に限って職業紹介を行えます。
特定技能の紹介には、職業安定法の許可・届出が要る
特定技能には、技能実習のような職業紹介の特例はありません。
出入国在留管理庁の運用要領は、特定技能外国人との雇用契約について、成立のあっせんを行う者がいる場合、職業安定法に基づく無料職業紹介の届出・許可、または有料職業紹介事業の許可を得た者からあっせんを受けていることを要件としています。
したがって、登録支援機関の登録だけでは職業紹介はできません。
登録支援機関の登録は、1号特定技能外国人支援計画の全部を実施するための制度であり、職業紹介の許可そのものではないからです。
登録支援機関から候補者の紹介まで受ける場合は、その事業者が別途、職業紹介の許可・届出等を備えているか確認する必要があります。
支援の「全部」を制度上引き受けられるのは登録支援機関
人材紹介会社が、入社後の生活サポートを任意のサービスとして行うことは禁止されていません。
ただし、1号特定技能外国人支援計画の全部の実施を受託し、受入れ企業の支援体制に関する基準上の効果を生じさせられるのは、登録を受けた登録支援機関です。
つまり「面倒を見る」と「制度上の支援義務を引き受ける」は別物です。
見積書を比べる際も、この違いを確認する必要があります。
ネパール人材の採用、まずは現状をお聞かせください
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使う在留資格が決まれば、頼み先も決まる
「どの会社が良いか」から探すと迷います。
先に「どの在留資格で採るか」を決めれば、必要な手続きと頼むべき相手が見えてきます。
技能実習・育成就労で採るなら、中心は監理団体・監理支援機関
団体監理型の技能実習では、候補者のあっせんから受入れ後の監理までを監理団体が担います。
育成就労でも、監理支援機関が職業紹介と監理支援を行います。
したがって、この2制度では監理団体・監理支援機関を中心に考えるのが基本です。
制度の全体像は育成就労制度とは|2027年4月開始の新制度を採用企業向けに整理にまとめています。
特定技能で採るなら、紹介と支援は別々に決まる
特定技能では、職業紹介と1号特定技能外国人への支援は、制度上は別の業務です。
紹介は職業紹介事業者、自社支援または支援の委託は登録支援機関が担います。
同じ会社に両方を任せることも、紹介と支援を別会社に分けることもできます。
契約先と費用が何本になるのかを、最初に確認しましょう。
制度の全体像は特定技能とは|1号と2号の違い・19分野・受入れ上限の全体像を整理を参照してください。
技能実習と特定技能のどちらで採るかを迷っている段階であれば、技能実習と特定技能の違い|7つの軸と2027年の制度転換で変わる選び方が先です。
それ以外の就労資格なら、人材紹介会社
技術・人文知識・国際業務などで採用する場合、監理団体や登録支援機関は制度上必須ではありません。
人材のあっせんを依頼するなら、職業紹介事業者が基本的な選択肢です。
在留資格そのものの選び分けは就労ビザの種類一覧|採用企業が押さえる在留資格の全体像と選び分けで整理しています。
数の桁が違うことも知っておく
3者は規模も大きく異なります。
2026年8月31日現在、監理団体は3,719件、登録支援機関は11,579件です。
一方、有料職業紹介事業は令和6年度に事業報告を提出した事業所が30,561事業所で、そのうち就職実績があったのは13,946事業所でした。
同じ「外国人採用の相談先」でも、母集団の規模には大きな差があります。
1社が複数を兼ねている場合をどう見るか|番号と名簿で確かめる
1社が複数の許可・登録を持つケースは珍しくありません。当社もそうです。
兼ねること自体に問題はありませんが、窓口が1つでも、それぞれの制度上の要件や責任は別です。
どの立場で何を担うのかは、許可・登録番号と公的名簿で確認しましょう。
番号は3種類あり、読み方が違う
有料職業紹介事業の許可番号は、厚生労働省の業務運営要領で「都道府県番号2桁・事業の種類を示す記号・事業主の一連番号6桁」と定められています。
「01-ユ-300005」なら、01が北海道、ユが有料職業紹介事業、300005が事業主の一連番号です。
当社の「22-ユ-300884」なら、22が静岡県、ユが有料職業紹介事業を示します。
無料職業紹介の許可番号は「ム」です。
一方、職業安定法第33条の3・第33条の4に基づく届出による無料職業紹介は許可ではなく届出受理番号で、特別の法人は「特」、地方公共団体は「地」となります。
登録支援機関は「25登-011561」のような登録番号です。
登録簿を見ると先頭2桁と登録年月日に一定の対応関係がありますが、これは付番規則として公表されたものではありません。
翌年に登録された例などもあるため、番号から登録年を断定せず、正確な登録年月日は入管庁の登録簿で確認するのが確実です。
なお、当社の「25登-011561」は2025年2月21日登録です。
監理団体はさらに注意が必要です。
OTITの公表一覧には許可番号の列がなく、項番、団体名、住所、電話番号、許可日、許可期限などが掲載されています。
監理団体を確認するときは、番号を探すのではなく、団体名と許可日・許可期限を照合してください。
許可期限が近い団体は、更新の時期にあたることになります(監理団体の許可更新はどうなるか|育成就労への切替と「みなし」の条件)。
名簿は3つとも無料で公開されている
確認先は次の3つです。いずれも特別な申込みや登録は必要なく、誰でも公開情報を確認できます。
出入国在留管理庁「登録支援機関登録簿」
登録番号・登録年月日・名称・住所・代表者氏名・支援を行う事務所・支援業務の内容・対応可能言語まで載っています外国人技能実習機構「監理団体の検索」
一般・特定の別に分かれた一覧をPDFとExcelで公開しています厚生労働省「人材サービス総合サイト」
職業紹介事業所を検索できます。業務運営要領も、許可番号等の付与の有無は都道府県労働局や人材サービス総合サイトで確認できるとしています
名簿は「実在確認」で終わらせない
名簿を見るときは、掲載されているかだけでなく、その先の情報まで確認しましょう。
監理団体一覧には「受入れ国」、登録支援機関登録簿には「対応可能言語」の欄があります。
ここを国名や言語で絞ると、候補先を大きく減らせます。
当社が扱うネパールで集計すると、2026年8月31日現在、監理団体3,719件のうちネパール(NPL)を受入れ国に挙げるのは499件(13.4%)、登録支援機関11,579件のうちネパール語を対応可能言語に挙げるのは2,166件(18.7%)でした。
国が決まっているなら、最初からこの条件で絞って比較するほうが効率的です。

よくある質問(FAQ)
Q1. 監理団体に、特定技能の人材紹介も頼めますか?
A.監理団体の許可だけでは、特定技能の人材紹介はできません。
技能実習法第27条の職業紹介の特例は技能実習に限られます。
特定技能の紹介には、職業安定法上の許可・届出等が必要です。
その監理団体が別途その資格を持っているかは、厚労省「人材サービス総合サイト」で確認しましょう。
Q2. 登録支援機関に、候補者の紹介もお願いできますか?
A.登録支援機関の登録だけでは、候補者の職業紹介はできません。
紹介を依頼するには、その事業者が別途、職業安定法上の許可・届出等を備えている必要があります。
「登録支援機関」と「職業紹介」は根拠が別なので、それぞれの登録・許可番号を確認しましょう。
Q3. 2027年4月に監理団体はどうなりますか?
A.育成就労制度は2027年4月1日に施行されます。
技能実習の監理団体がそのまま育成就労を扱えるわけではなく、監理支援機関の許可を新たに取得する必要があります。
施行日前申請は2026年4月15日から受付中です。
今から依頼する場合は、監理支援機関の許可取得の見通しも確認しておきましょう。
Q4. 3つのうち、いちばん費用が安いのはどこですか?
A.3者の費用は単純比較できません。
監理団体の監理費、登録支援機関の支援委託料、人材紹介会社の紹介手数料では、対価となる業務が異なるためです。
比較するなら、同じ在留資格で同じ役割を依頼する複数社を比べましょう。
費用の比較は、在留資格と依頼する役割を決めてから始めるのが基本です。
まとめ
まず見るべきは「制度上の立ち位置」
監理団体・監理支援機関は技能実習法・育成就労法、登録支援機関は入管法、人材紹介会社は職業安定法を根拠とし、許可・登録の仕組みや確認先も異なる。法人要件にも違いがある
監理団体は営利を目的としない法人が基本で、監理支援機関も原則同様。
一方、登録支援機関は個人事業主も登録できる。職業紹介の扱いも同じではない
監理団体は技能実習に限って職業紹介の特例がある。
特定技能にはこの特例がなく、職業安定法上の許可・届出等が必要。頼み先は在留資格から考える
技能実習・育成就労は監理団体・監理支援機関、特定技能は紹介と支援を分けて考え、それ以外の就労資格では職業紹介事業者が選択肢になる。兼業先は「番号」と「名簿」で確認
受入れ国や対応可能言語まで見れば、自社に合う候補を絞り込める。
次に読むべき記事:
「どこに頼むか」の前に、「何を頼みたいか」を言葉にする
ここまで読んで、思ったより単純だと感じた方も、逆に入り組んでいると感じた方もいると思います。
制度の骨格は単純でも、実際の提案書では複数の立場や業務が一つにまとめられているため、分かりにくくなりがちです。
だからこそ、最初に各社を比較するのではなく、社内で「どの在留資格で採用するのか」「入社後の支援を自社でどこまで担うのか」の2点を言葉にしておきましょう。
ここが決まれば、各社の提案書で確認すべき項目も見えてきます。
当社は職業紹介の許可と登録支援機関の登録の両方を持っていますが、この記事の確認項目は当社に有利になるようには設定していません。
許可・登録番号や公的名簿は公開情報ですので、どの会社を比較するときにも同じように使えます。
複数社から提案を受け、「それぞれがどの立場で、何を引き受けるのか分からない」という場合は、まず制度上の立場と業務範囲を整理するところから始めてください。
ご相談はお問い合わせフォームからどうぞ。
本記事は公表情報をもとに整理しています。
最新の法令・省令・運用要領については、出入国在留管理庁、厚生労働省などの公式情報をご確認ください。