外国人材が退職・帰国するときの手続き|届出が漏れる4箇所を時系列で

外国人材が退職・帰国するときの手続き|届出が漏れる4箇所を時系列で

「来月で辞めて、国に帰ります」。
外国人材から退職の申し出を受けたら、総務が確認するのは退職届だけではありません。

外国人の場合、退職後の手続きには、入管への届出、ハローワークへの外国人雇用状況の届出、健康保険・厚生年金の資格喪失、市区町村への住民税関係の手続きなどが関係します。
さらに本人からは、「脱退一時金はどうなるのか」と聞かれることもあります。

しかも、これらは提出先も期限も同じではありません。
社会保険は事実発生から5日以内、雇用保険の資格喪失届は離職日の翌日から10日以内、対象となる入管の届出は原則14日以内。
雇用保険に加入していない外国人の雇用状況届出は翌月末までです。
源泉徴収票にも退職後1か月以内という期限があります。

この記事では、外国人が退職して帰国することになったとき、会社が「誰に・何を・いつまでに」手続きするのかを時系列で整理します。
あわせて、「2026年4月から脱退一時金は8年分」という情報が正しいのかも、一次資料で確認します。

私たちG-Star HR Linkは、浜松を拠点に、有料職業紹介事業者(許可番号22-ユ-300884)と登録支援機関(登録番号25登-011561)として、外国人材の受け入れを支援しています。
本記事は、受け入れ企業の経営者・人事・総務担当者と、受け入れ企業を支援する監理支援機関の担当者に向けたものです。

本人が退職を決めた後に会社が行う事務に絞り、会社都合の退職や連絡が取れなくなったケースは別記事で扱います。

外国人材の退職で確認するのは4つの提出先

退職時に届出が必要な4つの提出先を、書類フォルダごとに仕分けする日本人の総務担当者

日本人の退職手続きに「入管」が加わると考えると分かりやすい

外国人材が退職するとき、会社が確認する提出先は大きく4つです。
①入管、②ハローワーク、③年金事務所・健康保険、④市区町村

社会保険や雇用保険、住民税に関する手続きは基本的に日本人の退職時と同じで、外国人の場合は在留資格に応じた入管関係の手続きが加わります。

ただし、入管の手続きは全員が同じではありません。
特定技能は受入れ機関が雇用契約の終了を届け出る一方、技術・人文知識・国際業務では、退職による契約終了を本人が届け出ます。

技能実習では、実習実施者から監理団体への通知を経て、監理団体が実施困難時の届出を行う仕組みです。

4つの提出先と期限を1枚で確認

提出先

主な書類

期限

根拠

①地方出入国在留管理局(特定技能)

特定技能雇用契約の終了に係る届出書(参考様式第3-1-2号)ほか

事由が生じた日から14日以内(到達ベース)

入管法第19条の18第1項

①外国人技能実習機構(技能実習・企業単独型)

技能実習実施困難時届出書(省令様式第9号)

法令上は「遅滞なく」で日数の定めなし

技能実習法第19条第1項、同施行規則第21条

①外国人技能実習機構(技能実習・団体監理型)

技能実習実施困難時届出書(監理団体が省令様式第18号)

法令上は「遅滞なく」。運用上の目安は途中帰国なら帰国日前まで/それ以外は事由発生から2週間以内

技能実習法第33条第1項(目安はOTIT適正実施マニュアル)

①出入国在留管理庁(技術・人文知識・国際業務等)

契約機関に関する届出(届出者は本人)

事由が生じた日から14日以内

入管法第19条の16

②ハローワーク

雇用保険被保険者資格喪失届(兼・外国人雇用状況の届出)

被保険者でなくなった日の翌日から起算して10日以内

労働施策総合推進法第28条

②ハローワーク(雇用保険の被保険者でない場合)

外国人雇用状況届出書(様式第3号)

離職した日の翌月末日まで

同上

③年金事務所・事務センター

健康保険・厚生年金保険 被保険者資格喪失届

事実の発生から5日以内

健康保険法・厚生年金保険法

④市区町村(住民税)

給与所得者異動届出書

退職時期により一括徴収か普通徴収かが分かれる

地方税法第321条の5第2項・第3項

④市区町村(給与支払報告書)

退職者分の給与支払報告書

退職した年の翌年1月31日まで

地方税法第317条の6第3項

出典: 出入国在留管理庁「随時届出Q&A(令和7年6月)」、外国人技能実習機構「技能実習実施困難時の届出」、厚生労働省「外国人雇用状況の届出について」、日本年金機構「従業員が退職・死亡したときの手続き」、e-Gov法令検索。2026年9月時点で確認。

最短は年金・健保の5日|帰国前の住民税確認が重要

期限だけを見れば、最短なのは健康保険・厚生年金の資格喪失届の5日以内です。

一方、帰国する外国人材では、住民税の確認も早めに必要です。
残りの住民税を普通徴収に切り替えたまま出国すると、納税管理人の選任など別の対応が必要になる場合があります。
帰国前に、退職日と帰国予定日を確認し、住民税の残額と納付方法を市区町村に確認しましょう。

あわせて、転職なのか帰国なのかを本人に確認し、登録支援機関や監理支援機関にも共有しておくと、手続きの抜けを防ぎやすくなります。

在留資格ごとに違う、退職時の入管への届出

外国人材が退職するときの入管関係の手続きは、在留資格によって異なります。
特定技能なら「随時届出」、技能実習なら「技能実習実施困難時の届出」、技術・人文知識・国際業務なら本人による「契約機関に関する届出」が基本です。
ここでは特定技能の扱いを確認します。

特定技能:自己都合退職なら「受入れ困難」の届出は不要

特定技能では、退職したからといって、必ず「受入れ困難に係る届出」を出すわけではありません。

入管庁のQ&Aは、外国人本人の自己都合による退職について、「特定技能雇用契約の終了に係る届出」のみでよいと明記しています。
したがって、本人から「辞めて帰国したい」と申し出たケースでは、原則として受入れ困難の届出(参考様式第3-4号)は不要で、契約終了の届出(参考様式第3-1-2号)を14日以内に提出します。

一方、会社側の事情による解雇などでは、受入れ困難に係る届出が必要となる場合があります。
この場合、受入れ困難となる事由が生じた段階で届出を行い、実際に契約が終了した後は、契約終了の届出も必要です。

つまり、同じ「退職」でも、本人の自己都合なのか、会社側の事情なのかで必要な届出が変わります。

14日は「消印」ではなく「到達」で考える

特定技能の随時届出は、事由が生じた日から14日以内に提出する必要があります。
郵送の場合、「14日以内の消印があれば間に合う」とは考えないでください。

入管庁のQ&Aでも、14日以内の消印で有効かが明確に問われており、期限管理では入管に届く日を意識する必要があります。
電子届出を利用できる場合は、提出日時を確認しやすい方法です。

14日を過ぎても提出できなくなるわけではありません。
遅れた場合は、速やかに提出し、遅延理由を記載した理由書を添付します。
「期限を過ぎたから出さない」のではなく、遅れても提出することが重要です。

提出先は、特定技能所属機関の住所、法人なら登記上の本店所在地を管轄する地方出入国在留管理局です。
就労先の工場や店舗の所在地で決まるわけではありません。

登録支援機関に委託しているなら、支援委託契約の届出も確認

登録支援機関に支援を委託していて、その外国人に関する支援委託契約も終了する場合は、その届出も必要です。

ただし、契約終了の届出(参考様式第3-1-2号)に支援委託契約の終了を記載すれば、支援委託契約終了の届出(参考様式第3-3-2号)は別途提出する必要がありません。
つまり、2枚ではなく1枚で済む場合があります。

支援の設計は特定技能の支援は自社と委託のどちらを選ぶか、委託先の選び方は登録支援機関とはで扱っています。

技能実習:途中帰国は「帰国日前まで」が期限

技能実習の実施困難時届出は、特定技能のように「14日以内」と覚えると間違えます。

技能実習法第19条・第33条が定める期限は「遅滞なく」で、法令上の日数は決まっていません。
そのうえで外国人技能実習機構の運用要領は、実務上の提出期限を、途中帰国なら帰国日前まで、それ以外なら困難となった事由の発生から2週間以内としています。

つまり、技能実習計画の満了前に帰国する場合、14日後ではなく、帰国前が期限です。

途中帰国では、本人に「意に反して実習を中止して帰国する必要はない」ことを説明し、帰国の意思を確認したうえで、帰国が決まった時点で届出を行います。
帰国便の都合や有給休暇の消化など、本人の意に反しない事情が確認でき、意思確認と事情を記録している場合は、届出が不要となる場合があります。


企業単独型は実習実施者が省令様式第9号を機構へ提出。
団体監理型は実習実施者が監理団体へ通知し、監理団体が省令様式第18号を機構へ提出します。

届出を怠り、機構の指導にも従わない場合は、行政処分のほか30万円以下の罰金の対象となる可能性があります。

技術・人文知識・国際業務など:退職の届出を本人が行う

外国人が退職するとき、入管への届出は「会社が出すもの」とは限りません。

技術・人文知識・国際業務、研究、介護、技能、特定技能などの在留資格では、本人に「所属(契約)機関に関する届出」があり、契約機関との契約が終了した日から14日以内に届け出る必要があります。
出入国在留管理庁は、この届出をオンラインでも受け付けています。

特定技能では、ここをさらに分けて考える必要があります。
本人が行う届出とは別に、会社である特定技能所属機関にも、特定技能雇用契約が終了したことを届け出る義務があります。

つまり、特定技能の退職では、本人の届出と会社の届出がそれぞれ必要です。
会社側の届出は入管法第19条の18に基づくもので、ハローワークへの外国人雇用状況届出を出していることを理由に省略できるものではありません。

「入管への届出は本人なのか会社なのか」と迷ったら、在留資格と、誰に課された届出なのかを分けて確認するのがポイントです。

在留資格

会社・機関側が出すもの

本人が入管へ出すもの

特定技能1号・2号

特定技能雇用契約の終了に係る届出(参考様式第3-1-2号)。自己都合でない退職など、受入れ困難に該当する場合はその届出も必要。14日以内

所属(契約)機関に関する届出。14日以内

技能実習

技能実習実施困難時届出書。企業単独型は実習実施者が様式第9号、団体監理型は監理団体が様式第18号。法令上は「遅滞なく」

所属(活動)機関に関する届出。14日以内

技術・人文知識・国際業務、技能、介護、研究 など

入管法19条の17による所属機関の届出は努力義務。ただし、外国人雇用状況届出の対象となる事業主は対象外

所属(契約)機関に関する届出。14日以内

出典: e-Gov法令検索「出入国管理及び難民認定法」19条の16・第19条の17・第19条の18

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社会保険と税の後始末

健康保険・厚生年金は5日以内、資格喪失日は退職日の翌日

健康保険・厚生年金の資格喪失届は、事実発生から5日以内に提出します。

資格喪失日は退職日ではなく、その翌日です。
たとえば3月31日退職なら、資格喪失日は4月1日。
日付を誤ると保険料の計算にも影響します。

協会けんぽの場合は、資格確認書等の回収・返納も必要です。
帰国予定者では、本人が持ったまま出国しないよう、退職時に回収まで確認しておきましょう。

雇用保険の資格喪失届が外国人雇用状況の届出を兼ねる

外国人が雇用保険の被保険者なら、雇用保険被保険者資格喪失届をハローワークへ提出することで、外国人雇用状況の届出も行ったことになります。
離職の場合は、離職日の翌日から10日以内です。

一方、雇用保険の被保険者でない外国人は、外国人雇用状況届出書(様式第3号)を別途提出し、期限は離職した日の翌月末日まで。
雇用保険の手続きがない人ほど、この届出を忘れやすいため注意が必要です。

届出を怠ったり、虚偽の届出をした場合は、30万円以下の罰金の対象となります。

住民税は「いつ辞めるか」で結論が変わる

住民税の特別徴収は、退職する時期によって残額の扱いが変わります。
地方税法第321条の5第2項では、1月1日から4月30日までに退職した場合、一定の条件の下で、5月31日までに支払われる給与や退職手当等から、未徴収の税額を一括して徴収することとされています。

一方、6月1日から12月31日までの退職は、本人から一括徴収の申出があった場合に残額をまとめて徴収し、申出がなければ普通徴収へ切り替えるのが基本です。

外国人材が退職後に帰国する場合、注意したいのがこの「普通徴収」です。
帰国後も住民税の納付義務がなくなるわけではなく、納付書の受け取りや納税管理人の選任など、帰国後の納付方法を事前に確認しておく必要があります。

そのため、帰国が決まっている場合は、退職時期にかかわらず、残りの住民税を給与や退職手当から一括徴収できるかを本人に説明しておくと、退職後の納付管理がしやすくなります。

一括徴収すると退職時の手取りは減るため、金額を示したうえで本人に説明することが重要です。

なお、退職によって特別徴収から外れる場合は、給与所得者異動届出書の提出も必要です。

出国する人の年末調整は「出国する日まで」に終わらせる

年の途中で出国して非居住者になる人は、12月を待たず、出国する日までに年末調整を行います。
国税庁も、給与の支払者は出国日までに年末調整をしなければならないと案内しています。

社会保険料などの保険料控除は出国日までに支払ったものを対象とし、配偶者控除や扶養控除などは出国時の現況で判定します。
12月にまとめて処理するつもりでいると、出国後の対応が必要になるため注意が必要です(詳しくは外国人材の給与計算で間違えやすい6点で扱っています)。

源泉徴収票は、退職者には退職後1か月以内に交付する義務があります。
帰国する人には、実務上、退職時に渡せるよう準備しておくと、その後の還付申告にも使いやすくなります。

給与支払報告書は、年の中途で退職した人について、翌年1月31日までに退職時の住所地の市町村へ提出します。
ただし、退職した年の給与支払額が30万円以下の場合は提出を省略できます。

脱退一時金の実務と、「2026年4月から8年」という情報

脱退一時金の請求書類を電卓とカレンダーを横に置いて確認する担当者の手元

一次資料を確認すると、8年への変更はまだ施行されていません

退職面談でよく聞かれるのが脱退一時金です。
最近は「2026年4月から8年分もらえると聞いた」という相談もありますが、2026年9月時点では、支給上限はまだ5年(60月)です。

日本年金機構の「脱退一時金の制度」ページ(2026年4月1日更新)では、2021年4月から支給額の計算に用いる月数の上限が36月(3年)から60月(5年)に引き上げられたと案内されています。
現行ページには、96月(8年)になったとの記載はありません。

では、なぜ「8年」という情報が出ているのでしょうか。
実は、8年への引上げそのものは2025年の年金制度改正に盛り込まれています。

厚生労働省は、脱退一時金の支給上限を現行の5年から8年に引き上げることを示しています。
ただし、施行時期は「公布から4年以内の政令で定める日」とされ、具体的な施行日はまだ決まっていません。

改正法は2025年6月20日に公布されたため、少なくとも「2026年4月から8年」と決まっていたわけではありません。
退職時に本人から質問された場合は、現在の上限は5年、8年化は将来の改正として決まっているが、施行日は未定と説明するのが適切です。

論点

現行(2026年9月時点で有効)

改正後(施行日未定)

支給額の計算に用いる月数の上限

60月(5年)

8年に引上げ

再入国許可を受けて出国した場合

転出届を提出していれば請求できる

許可の有効期間内は支給しない

施行時期

—

公布(2025年6月20日)から4年以内の政令で定める日

出典: 日本年金機構「脱退一時金の制度」(更新日2026年4月1日)、厚生労働省「年金制度改正の主な改正内容」、厚生労働省「令和7年度年金制度改正法が6月20日に公布されました。」。2026年9月時点で確認。

改正資料は「決まったこと」と「いつからか」が別の行にあり、読み違えやすい構造です。

ただ、いま本人に「8年分もらえます」と伝えると事実と違う案内になります。
失われるのは制度の正確さではなく担当者への信頼です。
制度そのものの整理は外国人材の社会保険で扱っています。

上限は60か月、請求期限は2年

脱退一時金は、日本国籍を持たない方が年金の被保険者資格を喪失して日本に住所を有しなくなった場合など、一定の要件を満たすと請求できる一時金です。

厚生年金保険では、被保険者期間が6月以上あることなどが要件で、請求期限は日本に住所を有しなくなった日から2年以内です。
支給額は、平均標準報酬額と加入月数に応じた支給率を用いて計算し、2021年4月以降の加入期間がある場合、計算に用いる月数の上限は60月(5年)です。

ここで必ず伝えたいのが、60月を超えて加入していても、受け取ると請求前の日本の年金加入期間がすべてなくなることです。
たとえば90月加入していても支給額は60月を上限に計算されますが、90月すべてが年金加入期間からなくなります。
技能実習から特定技能へ進んだ方ほど、請求する時期を慎重に考える必要があります。

会社が確認しておくと詰まらない4点と、ゆうちょ銀行の落とし穴

脱退一時金の請求は本人が行います。
ただ、帰国してから必要書類の不足に気づくと、会社から確認し直すことも難しくなります。

退職時に確認しておきたいのは次の4点です。

  • 基礎年金番号を確認できる書類
    基礎年金番号通知書や年金手帳など。会社で預かったままになっていないか確認します。

  • 転出届の提出
    請求書の受理時点で日本国内に住所があると、脱退一時金を請求できません。出国前の転出届について本人に確認しておきます。

  • 受取先の金融機関口座
    銀行名、支店名、所在地、口座番号、本人の口座名義を確認できる書類が必要です。日本国内の金融機関を指定する場合は、口座名義がカタカナで登録されている必要があります。

  • 出国後の連絡先
    請求後に書類の不備などが分かる場合もあるため、帰国後の住所や連絡方法を確認しておきます。

そして注意したいのがゆうちょ銀行です。
日本年金機構は、ゆうちょ銀行では脱退一時金を受け取れないと案内しています。

外国人材が最初に作った口座がゆうちょ銀行というケースもあるため、退職時に確認しておくと安心です。
請求書はネパール語を含む14の外国語に対応しています。

脱退一時金から税金が引かれても、還付を受けられる場合がある

帰国する本人から、脱退一時金の税金について聞かれることがあります。

非居住者が国内源泉所得に該当する退職手当等を受け取る場合、原則として支給額の20.42%の所得税・復興特別所得税が源泉徴収されます。
厚生年金の脱退一時金も退職手当等とみなされます。


ただし、これで必ず税金の精算が終わるとは限りません。
非居住者は「退職所得の選択課税」を選択し、居住者として受け取ったものとみなして税額を計算することができます。
退職所得控除などを適用した結果、源泉徴収された税額の一部または全部が還付される場合があります。

ここで関係するのが納税管理人です。
帰国後に確定申告書の提出や還付金の受け取りなどが必要になる場合、非居住者は納税管理人を選任し、「所得税・消費税の納税管理人の選任・解任届出書」を税務署へ提出します。

納税管理人は個人だけでなく法人もなれます。
会社が引き受ける義務はありませんが、退職時に制度の存在を伝えておくことはできます。

帰国か転職かで、その先の手続きが分かれる

帰国旅費の負担は、在留資格によってルールが違う

特定技能では、特定技能雇用契約の終了後の帰国旅費は本人負担が原則です。

ただし、本人が帰国費用を負担できない場合は、特定技能所属機関が旅費を負担し、出国が円滑に行われるよう必要な措置を講じなければなりません。
出入国在留管理庁の運用要領は、「負担することができないとき」について、行方不明の場合を除き、帰国することになった原因を問わないとしています。
自己都合退職だから会社には関係ない、とは限りません。

また、帰国旅費を確保するため、本人の報酬から控除して積み立て、受入れ機関が管理する方法も認められていません。
「毎月、帰国費用として積み立てておく」という社内運用には注意が必要です。

技能実習は仕組みが異なります。
団体監理型では監理団体が帰国旅費を負担し、その費用は実費に限って「その他諸経費」として実習実施者から監理費を徴収できます。
企業単独型まで同じ扱いになるわけではありません。

退職時の社内規程を作るときは、「外国人の帰国」という一つの場面でまとめず、特定技能と技能実習で誰が最終的に負担するのかを分けて確認することが重要です。

出国時の送迎は「保安検査場への入場を見届ける」、在留カードは出国時に返納

1号特定技能外国人への義務的支援には、出入国時の送迎が含まれます。

出国時は、単に空港まで送り届ければよいわけではありません。
入管庁のQ&Aでは、外国人が保安検査場に入場するのを見届けて見送ることが望ましいとされています。
出発ロビーで解散するだけでは、この趣旨を満たしにくいため、保安検査場まで同行して入場を確認する運用が実務上分かりやすいでしょう。

退職後すぐに出国せず、すでに寮を退去している場合は、ホテルなどの滞在先と連絡手段を確認しておくことも重要です。
退職日と出国日が離れるほど、その間の所在確認が必要になります。

なお、一時帰国はこの「出入国時の送迎」の対象には含まれません。

在留カードは、再入国許可を受けずに出国し、出国港で出国確認を受けると効力を失います。
この場合、本人は在留カードを直ちに返納する必要があるため、通常は出国する空港などで返納することになります。

会社が在留カードを預かったまま退職・帰国を迎えることは避けましょう。
本人には在留カードの携帯義務があり、会社が継続的に保管する運用は適切ではありません。
特定技能の運用要領でも、外国人の旅券や在留カードを取り上げる行為は問題となる行為として挙げられています(詳しくは在留カードの確認方法と不法就労助長罪で扱っています)。

日本で転職する場合と、出国後の連絡先

日本で次の職場へ移る場合は、帰国とは手続きが変わります。
脱退一時金の請求や在留カードの返納は通常ありません。
退職時には、本人が希望する場合の離職票、源泉徴収票、雇用保険被保険者証、基礎年金番号を確認できる書類などを整理しておきます。

特定技能は、転職先でも特定技能として働く場合、原則として在留資格変更許可申請が必要です。
退職時には、離職日と次の就労開始日の間に空白があるかを確認し、空白期間が生じる場合は健康保険などの切替えについて本人に案内しておくとよいでしょう。

一方、帰国する人では「出国後に連絡が取れるか」が重要です。
脱退一時金の請求や税務手続きなどで、帰国後に確認が必要になることがあります。
退職面談では、母国の住所・電話番号などの連絡先に加え、本人以外に連絡できる家族などの連絡先も確認しておくと安心です。

退職時の手続きは、書類を提出して終わりではありません。
帰国後にも確認できる連絡先を残しておくことが、実務では大きな意味を持ちます。

帰国する外国人材を工場の入口で見送る日本人の同僚たち

よくある質問(FAQ)

Q1. 退職日の直前に「明日から来ません」と言われました。届出の起算日はいつですか。

A.特定技能の契約終了に係る届出は、契約を実際に終了した日から14日以内に行います。
本人と連絡が取れていて自己都合退職として処理するなら、契約終了の届出が基本です。

一方、無断欠勤が続き連絡も取れなくなった場合は、行方不明として受入れ困難の届出が必要となり、参考様式第5-15号の状況説明書を添付します。
「退職」なのか「行方不明」なのかで届出が変わるため、判断に迷ったら管轄の地方出入国在留管理局へ確認しましょう。

Q2. 在留資格が「特定技能」から別の資格に変わった後で、在職中の事由が発覚しました。届出は必要ですか。

A.必要です。
特定技能所属機関は、特定技能の在留資格で在留していた期間中に届出事由が発生した場合、その後に本人が他の在留資格へ変更したり、退職・帰国・出国したりしても届出を行う必要があります。
資格変更や出国を理由に、届出を省略することはできません。

Q3. 脱退一時金の請求書は、会社が代わりに提出できますか。

A.脱退一時金は本人が請求しますが、代理人による請求も可能で、その場合は委任状が必要です。
会社は請求そのものを代行するのではなく、基礎年金番号の書類を渡し、転出届を案内し、受取口座がゆうちょ銀行等でないか確認するなど、出国前の準備を支えられます。
請求書はネパール語を含む14言語に対応しています。

まとめ

  • 提出先は4つ。まず期限を押さえる
    入管・ハローワーク・年金/健保・市区町村が基本。
    健康保険・厚生年金の資格喪失届は5日以内、特定技能の随時届出は14日以内。
    入管への郵送は消印ではなく到達が基準。

  • 特定技能の自己都合退職は、届出を絞れる
    本人都合なら「受入れ困難に係る届出」は不要で、契約終了に係る届出を提出。
    退職後も、届出事由に関する記録は適切に管理。

  • 技能実習と他の在留資格は、届出者が違う
    技能実習実施困難時の届出は「遅滞なく」。
    団体監理型の途中帰国は、原則として帰国前の届出が必要。
    技術・人文知識・国際業務などは、所属機関等に関する届出を本人が行う。

  • 住民税と脱退一時金は、帰国前に確認する
    住民税は退職時期により一括徴収の扱いが変わる。
    帰国後の納付方法も確認。
    脱退一時金の上限は現在60か月。8年への引上げは決定済みですが、施行日は未定。
    受取口座はゆうちょ銀行等が対象外となる点も伝えておく。

次に読むべき記事:

「辞めます」の連絡を受けた日に、聞ける相手がいるかどうか

退職と帰国の手続きは、1つずつ見れば難しいものではありません。
難しいのは、期限の違う手続きが同時に始まり、判断を迷っているうちに本人が日本を離れてしまうことです。

特に最初の1人では、「受入れ困難の届出は必要なのか」といった分岐で手が止まり、14日の期限が迫ることがあります。

G-Star HR Linkは、人材の紹介だけで終わらず、退職や帰国の場面まで受け入れ企業を支援しています。
自社でも外国人材を受け入れているため、届出や退職時の実務を実際に経験しています。

いま退職を申し出られて対応に迷っている場合も、今後に備えて手順を整理しておきたい場合もお問い合わせください。
どの届出が必要で、いつまでに何をするのかを一緒に整理します。

本記事は公表情報をもとに整理しています。
最新の省令・運用要領等は、必ず出入国在留管理庁などの公式情報をご確認ください。