外国人材を解雇するときの手続き|在留資格への影響と、残る支援義務

外国人材を解雇するときの手続き|在留資格への影響と、残る支援義務

受注が止まった。本人との関係がどうしても立ち行かない。
そんなとき、外国人材を雇用している会社からよく出るのが、「外国人だと、どんな手続きになるのでしょうか」という質問です。

日本人従業員なら、就業規則と労働基準法を確認しながら進められるのに、在留資格が絡むと、どこから手を付ければよいのか分からなくなる。
難しさの原因は、外国人だけ解雇ルールが違うからではありません。

雇用を終える場面では、労働法、在留資格、入管への届出、そして次の受入れへの影響という複数のルールが同時に動くからです。
しかも、解雇そのものが認められるかと、解雇後に何をしなければならないかは別の問題です。

この記事では、技能実習生や特定技能外国人を念頭に、外国人材の解雇で確認すべきポイントを、条文と具体的な手続きまで整理します。
「外国人だから特別に難しい」のではなく、「別々のルールを順番に確認する」。そう分けて考えると、何を確認すべきかが見えてきます。

この記事のG-Star HR Linkは、浜松でネパール人材の紹介と受入れ支援を行っています。
有料職業紹介事業(許可番号22-ユ-300884)と登録支援機関(登録番号25登-011561)の両方の立場から受入れ企業を支援しています。
受注減や本人事情で雇用継続が難しくなった場面にも対応してきました。

解雇の有効性は弁護士・社会保険労務士にご相談ください。本記事は、判断前に確認すべき点を整理します。

外国人材の解雇は、日本人と何が違うのか

雇用契約の終了を検討する経営者と人事担当

労働法の保護は同じ。違うのは在留資格と、次の受入れ資格

外国人だからという理由だけで、解雇のルールが軽くなるわけではありません。

厚生労働省も、日本国内で就労する外国人には原則として労働関係法令が適用され、解雇についても日本人と同じルールを守る必要があると案内しています。

労働基準法第3条は国籍による労働条件の差別を禁止し、労働契約法第16条は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当でない解雇を無効としています。

手続も原則同じです。
労働基準法第20条により、解雇は少なくとも30日前の予告、または30日分以上の平均賃金に相当する解雇予告手当が必要です。

一方で、技能実習生や特定技能外国人では、解雇後の在留資格や、受入れに関する制度上の手続が加わります。
有期契約の途中で解雇する場合は、労働契約法第17条により「やむを得ない事由」が必要です。
外国人だから機動的に契約を切れる、という考え方は成り立ちません。

大切なのは、労働法上の解雇可否と、入管法・技能実習制度上の対応を分けて整理します。
解雇の理由、契約期間、在留資格、転職・転籍の可否などを確認し、届出や手続を進めます。

「在留期限が残っているから働かせ続けられる」「退職すれば在留資格も自動的に消える」といった理解は避けてください。

雇用終了で確認する「3つの別ルール」

外国人材の雇用を終えるときは、解雇の有効性とは別に、①次の受入れへの影響、②必要な届出や支援、③本人の在留資格を確認します。

技能実習と特定技能では制度も異なるため、一括りにせず整理が必要です。雇用契約だけでは判断できません。

雇用終了時に確認するルールは、在留資格で異なる

外国人材の雇用を終えるときは、在留資格ごとに必要な確認が変わります。

特定技能では、契約終了時に入管への届出が必要で、本人の責めによらない終了では転職支援も求められます。

技能実習は、団体監理型なら困難となったことを監理団体へ遅滞なく通知します。

技術・人文知識・国際業務では、契約終了の届出は原則として本人が14日以内に行います。

なお、外国人雇用状況の届出は、対象となる外国人の雇入れ・離職について事業主に必要です。
資格ごとの違いを確認し、必要な手続きを整理することが重要です。

全体像は就労ビザの種類一覧|採用企業が押さえる在留資格の全体像と選び分けで整理しています。

会社都合で切ると、次の受入れができなくなることがある

次の受入れ要件に影響が及ぶことを示す概念的なイメージ

条文の読みどころは、対象期間と対象者

特定技能の受入れ基準で重要なのが、非自発的離職者の「対象期間」と「対象者」です。
根拠は「特定技能雇用契約及び一号特定技能外国人支援計画の基準等を定める省令」第2条第1項第2号。

特定技能雇用契約の締結日前1年以内だけでなく、締結後も、外国人が従事する業務と同種の業務に従事していた労働者を離職させていないことが求められます。
特定技能を受け入れている企業にも、契約後も続く基準です。

出入国在留管理庁の運用要領では、対象者を、特定技能所属機関にフルタイムで雇用される日本人労働者、中長期在留者、特別永住者の従業員のうち、特定技能外国人と同様の業務に従事していた者と説明しています。パート・アルバイトも含みません。
つまり、特定技能外国人だけでなく、同じ業務を担っていた日本人を会社都合で離職させた場合も基準に影響し得ます。

一方、定年退職、自発的離職、自己の責めに帰すべき重大な理由による解雇などは除外されます。
人員整理のための希望退職募集や退職勧奨なども、運用要領では非自発的離職の具体例として示されています。

この基準は、国内労働者を非自発的に離職させ、その補填として特定技能外国人を受け入れることを防ぐ趣旨です。

除外される4類型は、思っているより狭い

特定技能の受入れ基準では、同種の業務に従事していた労働者を非自発的に離職させていないことが求められます。
省令第2条第1項第2号は、離職者から次の4類型を除いています。

  • 定年退職等
    定年その他これに準ずる理由で退職した者。

  • 重責解雇
    自己の責めに帰すべき重大な理由で解雇された者です。
    入管庁の随時届出Q&Aでは、刑法違反、故意・重過失による設備や器具の破損、事業所の信用失墜、就業規則違反などを例示しています。

  • 一定の雇止め
    有期契約の期間満了で更新しない場合でも、労働者が更新等を申し込み、会社が労働者の責めに帰すべき重大な理由その他正当な理由で拒絶した場合に限り、除外されます。
    本人が更新を望んでいるからといって、正当な理由なく更新しない場合は除外されません。

  • 自発的離職
    本人が自発的に辞めた場合です。
    会社から人員整理のため退職勧奨を受けて辞めた場合は、原則としてここには入りません。

さらに運用要領は、非自発的離職の具体例として、人員整理のための希望退職募集・退職勧奨、賃金低下や遅配、過度な時間外労働、採用条件との相違など重大な労働条件上の問題、故意の排斥や嫌がらせなど重大な就業環境上の問題、本人の責めによらない有期契約の終了を挙げています。

非自発的離職者は1名でも基準不適合です。
つまり、解雇だけを見ていてはいけません。
退職勧奨や雇止めなど、雇用終了までの経緯も確認が必要です。

該当したら、届け出るところまでが一続き

非自発的離職者を発生させると、特定技能基準省令第2条第1項第2号の基準に適合しない状態となります。

入管庁の運用要領は、基準不適合を認知した日から14日以内に「基準不適合に係る届出」(参考様式第3-5号)を行うよう求めています。
しかも、基準不適合は態様や程度を問わず、知った場合は速やかな届出が必要です。

あわせて、非自発的離職者を発生させた場合は「受入れ困難に係る届出」(参考様式第3-4号)も必要とされています。
該当するか迷う場合、運用要領はまず地方出入国在留管理局への相談を案内しています。
自己判断で処理せず、早めに一度は確認することが大切です。

なお、キャリアアップ助成金にも事業主都合等による離職に関する支給要件がありますが、特定技能とは制度が異なるため、別々に確認します。

解雇したあとにも残る義務|特定技能1号は契約終了後も対応が必要

特定技能1号では、雇用契約が終わっても支援や届出が残ります。
本人の転職先を探す支援、帰国旅費の負担、契約終了等の随時届出(14日以内)、外国人雇用状況の届出など、対応が必要です。

転職支援は「やってあげること」ではなく、法定の義務的支援

特定技能1号では、会社都合で雇用契約を終わらせたとき、転職支援までが受入れ機関の義務です。

入管法第2条の5第7項は、外国人の責めに帰すべき事由によらず特定技能雇用契約を解除する場合、別の受入れ機関で特定技能1号の活動を続けられるよう支援することを定めています。
これを受け、基準省令第3条第1項第1号リが支援計画への記載を求めています。

具体的な内容は、出入国在留管理庁「1号特定技能外国人支援に関する運用要領」の「(8)転職支援」に記載されています。

①業界団体・関連企業等から次の受入先の情報を入手して提供する
②ハローワーク等を案内し、必要に応じて同行する
③希望条件・技能水準・日本語能力等を踏まえ推薦状を作成する
④職業紹介事業を行える場合は就職先を紹介・あっせんする

これらのいずれかを実施します。

さらに、①~④とは別に、求職活動に必要な有給休暇の付与と、離職時に必要な行政手続の情報提供も必要です。

同別冊は、可能な限り次の受入先が決まるまで支援を継続するよう求めています。
つまり「解雇したら関係終了」ではなく、次の特定技能雇用契約につながるところまでを見据えた支援が必要です。

なお支援を全部委託していても、受入れ企業の届出義務は消えません(特定技能の支援は自社と委託のどちらを選ぶか|要件と工数で判断する/登録支援機関とは|義務的支援10項目・費用・選び方を登録支援機関が解説)。

帰国旅費は、本人が負担できなければ会社負担

特定技能雇用契約が終了した後の帰国旅費は、本人負担が原則です。

ただし、本人が帰国費用を負担できないときは、特定技能所属機関が旅費を負担し、出国が円滑になされるよう必要な措置を講じなければなりません。
基準省令第1条第2項第1号が定めるルールです。

運用要領は、「旅費を負担することができないとき」について、帰国することとなった原因を問わないとしています(行方不明となった場合を除く)。
つまり、会社都合の契約終了でも自己都合退職でも、本人に帰国費用を負担する能力がなければ会社負担となります。

なお、帰国旅費を確保するため、本人の報酬から控除して積み立て、会社が管理することは、金銭その他の財産の管理に当たり得るため認められていません。

解雇なら、入管への届出は「受入れ困難」と「契約終了」の2段階

特定技能外国人を解雇する場合、入管への届出は原則として、①受入れ困難に係る届出(参考様式第3-4号)、②特定技能雇用契約の終了に係る届出(参考様式第3-1-2号)の順です。

出入国在留管理庁の随時届出Q&A(令和7年6月)A2-37も、解雇の予告など「特定技能雇用契約の終了が見込まれる事由」が発生した時点で、まず受入れ困難の届出を提出し、その後、実際に契約が終了したら終了日から14日以内に契約終了の届出をするとしています。

したがって、経営上の都合による解雇では、14日のカウントは退職日からではなく、解雇を予告した時点から始まります。
出入国在留管理庁の提出資料にも、実際の解雇時期にかかわらず、予告時点で提出するよう明記されています。

なお、随時届出は事由発生日から14日以内に管轄の地方出入国在留管理局等へ「到達」している必要があり、消印基準ではありません。
未来日を事由発生日とする届出はできず、遅れた場合も提出は可能ですが、遅延理由の説明文書が必要です。

また、事由発生後に他の在留資格へ変更したり出国したりしても、特定技能在留中に発生した届出事由は届出が必要です。

届出漏れは、罰則だけでなく「次の5年」の受入れにも影響

特定技能の解雇では、入管への届出だけでなく、ハローワークへの外国人雇用状況の届出も必要です。
入管法第19条の18に基づく届出を怠った場合、内容によって罰金または過料の対象となります。

さらに、基準省令は、届出をしない、または虚偽の届出をする行為を「出入国又は労働に関する法令に関し不正又は著しく不当な行為」に含めています。
これが欠格事由に該当すると、特定技能雇用契約の締結日前5年以内の行為について、受入れが認められなくなる可能性があります。
単なる「1枚の届出忘れ」と考えないことが重要です。

届出

いつまでに

どこへ

出さなかった場合

受入れ困難に係る届出(参考様式第3-4号)

事由が生じた日(経営上の都合による解雇の予告をした日等)から14日以内

地方出入国在留管理局または電子届出システム

10万円以下の過料(入管法第77条の2第1号)

特定技能雇用契約の終了に係る届出(参考様式第3-1-2号)

契約終了日から14日以内

同上

30万円以下の罰金(入管法第71条の4第1号)

基準不適合に係る届出(参考様式第3-5号)

基準不適合を認知した日から14日以内

同上

10万円以下の過料(入管法第77条の2第1号)

外国人雇用状況の届出(様式第3号/資格喪失届)

被保険者は離職の翌日から起算して10日以内、被保険者でない場合は離職した月の翌月末日まで

ハローワーク

30万円以下の罰金

出典: 出入国在留管理庁「特定技能外国人受入れに関する運用要領」(令和8年8月)第7章、入管法第19条の18・第71条の4・第77条の2(e-Gov法令検索)、厚生労働省「外国人雇用状況の届出について」をもとに作成

入管法第71条の4第1号は契約の変更・終了等に係る届出について30万円以下の罰金、第77条の2第1号は受入れ困難等の届出について10万円以下の過料を定めています。
ハローワークへの外国人雇用状況の届出も、怠ったり虚偽の届出をしたりすると30万円以下の罰金です。

税や社会保険の後始末まで含めた退職時の時系列は外国人材が退職・帰国するときの手続き|届出が漏れる4箇所を時系列で、社会保険そのものの扱いは外国人材の社会保険|加入義務・脱退一時金と社会保障協定の実務を整理をご覧ください。

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解雇後、特定技能の在留資格はどうなる?就職活動中のルール

解雇されても、特定技能の在留資格がその瞬間に消えるわけではありません。

ただし、就労活動を続けていない期間が長引けば、在留資格の取消し対象となる場合があります。
就職活動中の在留についても、会社側が知っておきたいルールがあります。

特定技能の在留資格取消しにつながる2つのルール

在留資格の取消しは、入管法第22条の4に定められています。
雇用契約が終わった場面で関係するのが第5号と第6号です。

第5号は、正当な理由なく特定技能の活動を行わず、他の活動を行う、または行おうとして在留している場合。
第6号は、正当な理由なく特定技能の活動を3か月以上行わず在留している場合です。

両者には重要な違いがあります。
第6号には「3か月以上」という期間要件がありますが、第5号にはありません。
いずれも「正当な理由がある場合を除く」とされているため、会社都合で職を失い、転職活動をしている期間が直ちに取消しにつながると決まっているわけではありません。

一方で、「3か月までは必ず大丈夫」と断言することもできません。個別の事情を踏まえて判断されます。

運用要領では、受入れ困難に係る届出に添える説明書で、本人に対して、正当な理由なく特定技能としての活動を行わず3か月以上在留すると、在留資格取消しの対象となることを説明するよう求めています。

また、特定技能1号の在留期間は原則として通算5年が上限で、転職活動や一時帰国の期間もこの5年に含まれることを伝える必要があります。

なお、取消しが行われる場合、第22条の4第7項により、第1号・第2号以外の事由では、30日を超えない範囲で出国に必要な期間が指定されます。
ただし、第5号による取消しで逃亡のおそれがある場合は、この限りではありません。

特定技能の在留資格取消しは実際にどれくらいか

出入国在留管理庁の「令和7年の「在留資格取消件数」について」によると、令和7年の在留資格取消件数は1,446件で、前年の1,184件から22.1%増加しました。

取消事由では第6号が999件(69.1%)、第5号が350件(24.2%)と大半を占めます。
在留資格別では技能実習973件、留学343件、技人国63件で、特定技能1号は12件でした。
第6号の「3か月以上活動していないこと」を理由とする取消しが全体の69.1%を占めています。

本人側にも14日以内の届出がある

会社側の届出とは別に、本人にも届出義務があります。
入管法第19条の16第2号により、特定技能や技術・人文知識・国際業務などの在留資格で在留する中長期在留者は、所属機関との契約が終了したとき、その事由が生じた日から14日以内に出入国在留管理庁長官へ届け出なければなりません。

退職時の面談では、本人にも届出が必要であることを伝え、様式や提出方法を確認しておくと届出漏れを防げます。

会社都合で職を失った人には、就労を続けながら特定技能を目指せる制度も

受入れ機関の経営上・事業上の都合などで就労継続が困難となった人が、特定技能1号への移行を目指す場合、一定の要件を満たせば「特定活動(就労可)」への変更を申請できます。

技能・日本語試験の合格に向け、移行後の就労予定先で働きながら準備できる特例です。
在留期間は1年で、要件を満たせば2回まで更新できます。

対象者や要件は細かいため、詳細は出入国在留管理庁の案内をご確認ください。

なお、特定技能1号でも勤務先が変われば、在留資格変更許可申請が必要です。

制度の全体像は特定技能とは|1号と2号の違い・19分野・受入れ上限の全体像を整理、連絡が取れなくなったケースの実務は技能実習生が失踪したときの対応|届出の期限と、その後の受入れへの影響をご覧ください。

解雇の前に検討できる選択肢

外国人材の解雇は、手続きだけでなく転職支援や在留資格への対応も必要です。

だからこそ、解雇を決める前に、配置転換・一時帰国・合意退職・転職支援など、雇用を維持できる選択肢が残っていないかを確認することが重要です。

1. 配置転換と一時帰国で、時間を作れないか

特定技能は、在留資格で認められた分野・業務区分の範囲内であれば、業務内容を見直せます。
同一分野内で別の業務に回せるなら、雇用を維持したまま繁閑を吸収できる可能性があります。

製造業で多能工化が定着の打ち手として語られるのも、こうした場面で選択肢を増やせるからです(製造業で外国人材が辞める理由|定着する現場がやっている5つの運用)。

また、基準省令第1条第1項第5号は、外国人が一時帰国を希望した場合に必要な有給休暇を取得させることを雇用契約の基準としています。
受注の谷が見えているなら、本人の希望と合わせて時期を調整する余地があります。

なお、一時帰国のために雇用契約そのものを終了した場合は、再雇用予定があっても契約終了の届出が必要です。

2. 合意退職に「逃がす」ことはできません

「自己都合で辞めてもらえば、受入れ困難の届出も非自発的離職の問題もなくなる」という考え方は危険です。
運用要領は、人員整理のための退職勧奨を非自発的離職の具体例に挙げています。
実態と異なる届出も、虚偽の届出として問題になり得ます。

3. 本人が日本で働き続けたいなら、転職の支援を先に出す

受入れの継続が難しくなったとき、運用要領は、まず本人が特定技能の活動を続けたいと希望しているかを確認するよう求めています。
継続を希望する場合は、ハローワークや民間の職業紹介事業者を案内するなど、転職に必要な支援を行わなければなりません。

一方、特定技能雇用契約の満了前に帰国する場合は、本人の意に反して活動を中止して帰国する必要がないことを説明し、帰国の意思を十分に確認する必要があります。

つまり、「帰国するもの」と決めつけて話を進めるのではなく、本人の希望を確認したうえで必要な手続きを進めることが重要です。

私たちは、退職時の対応は次の採用にもつながると考えています。
同じ地域から人材紹介が続く場合、本人への説明や対応の丁寧さが、企業への信頼にも影響するからです。

契約終了後も続く転職支援の面談

よくある質問(FAQ)

Q1. 本人が「自己都合退職でいい」と言っています。そのように届け出てよいですか。

A.本人が「自己都合退職でいい」と言っても、実態が会社都合なら、そのように届け出ることは適切ではありません。
自己都合退職なら受入れ困難届は不要で、契約終了届のみで足りますが、これは実態が自己都合の場合です。
実態と異なる届出は、虚偽の届出として罰則や欠格事由につながる可能性があります。

Q2. 支援を登録支援機関に全部委託しています。届出も先方が出してくれますか。

A.支援の実施は委託できますが、入管法第19条の18に基づく届出義務者は特定技能所属機関、つまり受入れ企業です。
登録支援機関が作成を補助することはできますが、法定の届出義務まで移るわけではありません。
契約終了時に誰が何を準備し、いつ提出するのかも、あらかじめ確認しておきましょう。

Q3. 非自発的離職者を出すと、何年間受け入れられなくなるのですか。

A.「何年間」という固定の期間が決まっているわけではありません。
基準省令第2条第1項第2号は、特定技能雇用契約の締結日前1年以内だけでなく、契約締結後も、同種業務の労働者を非自発的に離職させていないことを求めています。
したがって、受入れ後も継続して満たす基準です。

なお、届出不履行などが欠格事由に該当し、5年間受入れが認められなくなり得る問題とは別です。

まとめ

  • 労働法上の保護は、国籍で変わらない
    労働契約法第16条の解雇権濫用法理や、労働基準法第20条の解雇予告は外国人にも適用される。
    有期契約の期間途中の解雇には、さらに厳しい要件がある。

  • 非自発的離職は、特定技能の受入れ基準に影響
    基準省令第2条第1項第2号は、契約締結日前1年以内だけでなく、締結後も同種業務の労働者を非自発的に離職させていないことを求めている。

  • 雇用契約が終わっても、会社の義務は残る
    非自発的な契約終了では転職支援が必要で、本人が帰国旅費を負担できない場合は会社が負担。

  • 届出は、時点を分けて確認
    解雇予告などで受入れ困難となった時点から14日以内に受入れ困難届、契約終了後14日以内に契約終了届を提出。

  • 在留資格は、雇用契約終了とは別に動く
    入管法第22条の4第1項第5号は期間要件なし、第6号は正当な理由なく3か月以上活動していないことを取消事由としている。
    契約終了=即取消しではありませんが、「3か月までは必ず安全」ともいえない。

次に読むべき記事:

切るかどうかを決める前の段階で、ご相談ください

この記事を最後まで読まれた方のなかには、いま実際に「どうするか」を迷っている方もいるかもしれません。
経営判断として人員を絞らざるを得ない局面はあります。
ただ、特定技能外国人の場合は、結論を出してから制度を確認すると、届出期限がすでに始まっていたり、非自発的離職に該当すると後から分かったりすることがあります。

だからこそ、解雇を決める前の段階で、一度整理することをおすすめします。
「このケースは非自発的離職に当たるのか」「配置転換や一時帰国で雇用を維持できないか」「契約終了後に何を届け出るのか」といった確認だけでも構いません。

私たちは登録支援機関として、特定技能外国人の契約終了に伴う転職支援や届出の段取りにも関わっています。
なお、解雇そのものの有効性については、弁護士・社会保険労務士など専門家への相談が必要です。
お問い合わせフォームからご相談ください。

本記事は、公表されている法令・運用要領等をもとに制度を整理したものです。
最新情報は、必ず出入国在留管理庁等の公式情報をご確認ください。