建設業の特定技能の労務管理|CCUS一本化と月給制・受入計画の実務

建設業の特定技能の労務管理|CCUS一本化と月給制・受入計画の実務

建設特定技能受入計画の認定証が届いた日を、ゴールだと思っていませんか。
実際には、そこからが建設分野の労務管理の始まりです。

就労開始から1か月以内の受入報告、CCUS(建設キャリアアップシステム)への技能者登録、おおむね3〜6か月の間に受けさせる受入れ後講習、毎月のJAC受入負担金、原則として1年に1回以上あるFITSの巡回訪問。
そして賃金は、他の社員が日給制でも特定技能外国人だけは月給制による支払が求められます。
建設業の担当者の方から「何がいつ来るのか分からない」というご相談をいただくのは、たいていこの局面です。

この記事は、建設業の特定技能の労務管理を「採用した後」に絞って整理したものです。
CCUSの技能者登録は2027年4月1日から詳細型のみに一本化されることが2026年9月10日に公表されました。

昇給の条件をCCUSのレベルに紐づけている会社にとっては、いま手を打つかどうかで作業量が変わる話です。
あわせて、月給制の下で欠勤控除がどこまで認められるのか、計画を変えるとき「変更申請」と「変更届出」のどちらになるのか、という迷いやすい線引きも原文で確認して示します。

執筆しているのはG-Star HR Link株式会社(静岡県浜松市)です。
ネパールに自社の日本語学校とトレーニングセンターを持ち、有料職業紹介事業(許可番号22-ユ-300884)と登録支援機関(登録番号25登-011561)の両方として受入れ後の実務まで携わっています。

在留資格の申請業務は連携する行政書士が担当しており、本記事の制度・法令に関する記述はその監修を受けています。
建設業の採用ルートや、受入れを始める前に通る4つの上乗せ要件は建設業の外国人採用|特定技能の4つの上乗せ要件と、充足率67.2%の意味で扱っているため、本記事では重複させません。

建設分野だけにある「上乗せ基準」|受入計画・JAC・CCUS・月給制

建設現場で作業内容を確認する外国人技能者と日本人の現場監督

特定技能には共通ルールに加え、建設分野独自の上乗せ基準があります。
国土交通大臣の告示(平成31年国土交通省告示第357号)により、受入計画の認定、JAC加入、CCUS登録、同等以上の待遇などが求められます。

認定をもらって終わりではない。受入計画は取消しまで続く

建設特定技能受入計画は、認定証を受け取って終わりではありません。
運用要領別冊は、就労中・就労予定の1号特定技能外国人が一人もいなくなっても、認定が取り消されるまでは計画が継続し、第2条第1号ロ・ハ及び第3条各号の要件を満たす必要があると明記しています。
全員が退職し、今後も受入れ予定がない場合でも、自動的に義務が消えるわけではありません。
国土交通省へ取消申請を行い、承認を受ける必要があります。

また、計画の内容に変更があれば、変更申請または届出が必要です。
つまり、認定時の条件をそのまま放置するのではなく、変更があれば手続きを行いながら、計画を適正に実施し続ける制度です。

採用後に何がいつ来るのかを、先に時間軸で並べる

担当者が疲弊するのは、手続きが難しいからというより、次に何が来るのかが読めないからです。
まず全体の流れを時間軸で並べておきます。

時期

やること

提出先・窓口

入国後すみやかに(海外から新規入国の場合は原則1か月以内)

本人のCCUS技能者登録と、技能者IDを明らかにする書類(CCUSカードの写し)の提出

建設キャリアアップシステム/国土交通省

就労開始後 原則1か月以内

受入報告(在留カード番号・在留期間満了日・CCUS技能者ID・上陸年月日・特定技能従事開始年月日の入力とCCUSカードの写しの添付)

外国人就労管理システム

受入れ後おおむね3〜6か月の間

受入れ後講習(特定技能スタートアップセミナー)を受講させる

FITS(適正就労監理機関)

毎月

JAC受入負担金の支払い(1号特定技能外国人1人あたり月12,500円)

JACまたは所属する正会員団体

原則1年に1回以上

巡回訪問への協力(指導・助言を受ける)

FITS

認定された内容に変更が生じるとき

変更申請(事前)または変更届出

外国人就労管理システム

退職したとき/2号へ移行したとき

退職報告/2号移行報告

外国人就労管理システム

出典: 国土交通省「特定の分野に係る特定技能外国人受入れに関する運用要領〜建設分野の基準について〜」、同「建設特定技能受入計画のオンライン申請について【受入報告・退職報告・2号移行報告】」(2025年4月4日)、一般社団法人建設技能人材機構「年会費と受入負担金」をもとに作成

入管への届出とは別ルートだと理解しておく

ここで並べた建設分野の手続は、国土交通省・FITS・JACなどに関するものです。
出入国在留管理庁への届出は別ルートで、様式や期限も異なります。

「届出済み」だけで済ませず、どの届出かを社内で分けて管理しましょう。
入管側の年1回の届出は特定技能の定期届出は年1回になった|4月〜5月に出す書類と提出手順、退職や帰国が絡む場面の届出全体は外国人材が退職・帰国するときの手続き|届出が漏れる4箇所を時系列でをご覧ください。

CCUSは何をどこまでやるのか|登録・就業履歴・2027年4月の詳細型一本化

現場の入退場でカードを読み取り就業履歴を蓄積する仕組みのイメージ

CCUSは「カードを現場でタッチするだけ」ではありません。
技能者登録や資格情報の登録、就業履歴の蓄積まで含みます。2027年4月からは詳細型に一本化されます。

会社と本人、両方の登録が要る。根拠は告示にある

建設分野では、受入企業と1号特定技能外国人の双方について、CCUSの登録が必要です。
告示は、受入企業が建設キャリアアップシステムに登録していることに加え、1号特定技能外国人を同システムに登録することを受入計画の要件としています。

本人については、海外から新規入国する場合、入国後速やかに登録し、原則1か月以内にCCUS技能者IDを明らかにする書類を国土交通省へ提出します。

すでに日本に在留する人を受け入れる場合は、受入計画の申請時に提出する扱いです。
なお、CCUS登録が受入報告期限に間に合わなくても、報告を待つ必要はありません。
期限内に受入報告を行い、登録後に必要な対応をします。

就業履歴は現場のカードタッチで蓄積され、能力評価にも活用される

CCUSでは、現場のカードリーダーへのタッチなどによって、いつ・どの現場で・どの立場で働いたかという就業履歴を蓄積します。
登録された資格や就業履歴は、技能者の能力評価にも活用されます。

2026年8月31日時点の技能者登録数は累計1,908,307人、就業履歴は累計288,922,358件。
特定技能外国人だけでなく、建設技能者全体が利用する仕組みです。

出典:建設キャリアアップシステム「建設キャリアアップシステムの運営状況について(2026年8月)」、国土交通省「能力評価制度について」

2027年4月1日から、技能者登録は詳細型に一本化される

ここが本記事でもっとも時限性のある部分です。
2026年9月10日、建設キャリアアップシステム事業本部が「技能者登録方式の詳細型一本化に関するお知らせ」を公表しました。
内容は次のとおりです。

  • 2027年3月31日をもって簡略型での登録申請を終了し、2027年4月1日以降は詳細型登録のみに一本化する。 2026年3月30日のCCUS運営協議会第13回総会で決議されています。

  • 対象は、新規申請技能者と更新申請技能者。

  • 2027年4月1日より前に簡略型で登録した人は、次回更新時に詳細型へ移行する。 簡略型から詳細型への移行は、更新を待たず随時申請することもできます。

  • 外国人技能者については、在留資格の変更時に詳細型へ移行する扱いも示されている。 例えば、技能実習から特定技能1号へ変更する場合が該当します。

  • 技能者登録料は、当分の間4,000~4,500円程度への引下げが想定されている。 引下げ措置の終期は、令和10年度(2028年度)以降に決定される予定です。

  • 新しい登録料金や手続の詳細は、改めて案内される予定。

  • 能力評価を申請できるのは、詳細型で登録した技能者のみ。

出典: 建設キャリアアップシステム事業本部「技能者登録方式の詳細型一本化に関するお知らせ」(2026年9月10日)。同じ内容は「建設キャリアアップシステムの運営状況について(2026年8月)」(2026年9月11日)にも記載されています

昇給をCCUSレベルに紐づけるなら、いま詳細型にしておく

詳細型への一本化が建設業の労務管理に関係するのは、昇給や資格手当の設計ともつながるからです。
国土交通省の申請案内は、技能者登録は簡略型でも詳細型でもよいとしつつ、レベル判定は詳細型でしか受けられないと説明しています。

さらに、CCUSのレベルアップを昇給や資格手当の条件としている企業は詳細型で登録する必要があり、特定技能2号を考えている人にも最初から詳細型での登録を勧めています。

能力評価の申請手数料については、2025年8月からの全額支援が2026年4月1日以降も「当面の間」延長されています。
詳細型登録が完了している人が対象で、全ての能力評価分野のレベル2~4が対象です。
通常の能力評価申請手数料4,000円、ワンストップ申請の3,000円はいずれも全額支援の対象ですが、簡略型から詳細型への移行手数料2,400円は対象外です。

項目

現在の金額(税込)

2027年4月1日以降

技能者登録料(簡略型・インターネット申請)

2,500円

申請不可(2027年3月31日で受付終了)

技能者登録料(詳細型)

4,900円

当分の間4,000円〜4,500円/人への引き下げを想定(詳細は2026年12月頃案内)

簡略型から詳細型への移行手数料

2,400円

能力評価申請手数料の全額支援の対象外

能力評価申請手数料

4,000円(ワンストップ申請は3,000円)。当面の間、全額支援

案内なし

事業者登録料(有効期間5年)

一人親方0円、資本金500万円未満6,000円ほか資本金別

案内なし

管理者ID利用料

11,400円/年(一人親方2,400円/年)

案内なし

現場利用料

10円(1人日・現場あたり)

案内なし

出典: 建設キャリアアップシステム「登録料と利用料」、同「CCUS能力評価申請手数料の全額支援を当面の間延長します」、同「技能者登録方式の詳細型一本化に関するお知らせ」(2026年9月10日)をもとに作成

すでに簡略型で登録している人は、次回更新時に詳細型へ移行するほか、先に移行申請することもできます。
昇給や資格手当をCCUSレベルと連動させる予定があるなら、詳細型への移行時期を後回しにしない方が、制度設計とのズレを避けやすくなります。

まだ登録前なら、最初から詳細型を選ぶことで、後から2,400円を払って移行する手間も避けられます。

事業者登録の更新時期を社内で管理する

意外に見落としやすいのが、会社側のCCUS事業者登録の更新です。
有効期限は登録完了日から5年後の登録月末まで。

期限までに更新しないとCCUSを利用できなくなります。
建設特定技能の受入計画にも関わるため、更新時期を社内の年間予定に入れておきましょう。

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賃金をどう決めるか|月給制と昇給の考え方

技能の習熟段階と賃金の関係を現場事務所で説明する場面

建設分野の賃金ルールは、他分野より細かく定められています。
金額を合わせるだけでなく、月給制や昇給の仕組みまで説明できることが重要です。

建設分野の「月給制」には定義がある

建設分野では、日給制や時給制だと季節や工事受注の繁閑によって、あらかじめ想定した報酬額を下回ることがあります。

そこで運用要領別冊は、特定技能外国人について、仕事の繁閑で報酬が変動しないよう、月給制で合意した額を毎月安定的に支払うことを求めています。
会社の他の職員が月給制でなくても、特定技能外国人には月給制が必要です。

ここでいう月給制とは、「1カ月単位で算定される額」、つまり基本給、毎月固定的に支払われる手当、残業代の合計によって報酬を支給する方法です。
所定労働日数や変形労働時間制による所定労働時間数が月ごとに変動しても、この考え方は変わりません。

月給制だから残業代が不要になるわけではなく、時間外・休日労働については労働基準法に従って割増賃金を支払う必要があります。

この点は「もっと残業したい」と言われたら|外国人材の給与設計と36協定の線引きで整理しています。

さらに「安定的な支払い」には、預貯金口座への振込や、厚生労働大臣の指定を受けた資金移動業者へのデジタル払いも含まれます。
いずれも重要事項事前説明の段階で支払方法を説明し、本人の同意を得る必要があります。

自己都合の欠勤は控除できるが、会社都合や天候による休業は別扱い

建設分野では、雨などで現場が止まった日の扱いにもルールがあります。

運用要領別冊は、特定技能外国人の自己都合による欠勤(年次有給休暇を除く)については、その分を基本給から控除して差し支えない一方、会社都合や天候を理由とした現場作業の中止などによる休業を欠勤として扱うことは認めていません。

なお、休業手当が必要かどうかは別の問題です。天候による休業を含め、使用者の責に帰すべき事由による休業であれば、労働基準法26条により平均賃金の60%以上の休業手当が必要です。
本人が希望して年次有給休暇を取得する場合は、有給休暇として処理できます。
給与計算そのものの落とし穴は外国人材の給与計算で間違えやすい6点|令和8年の年末調整の変更点にまとめています。

賞与・手当・退職金も日本人と同等。有期でも無期と同等以上

建設分野では、基本給だけでなく、賞与・各種手当・退職金についても、同等の業務に従事する日本人と同等以上の待遇が必要です。

さらに、就業規則や賃金規程で無期雇用契約者と有期雇用契約者の扱いが異なる場合、1号特定技能外国人は無期雇用契約者と同等以上の待遇とする必要があります。
特定技能1号は原則として有期雇用契約となるため、「有期だから賞与なし」という規程をそのまま適用できるとは限りません。
既存の規程と特定技能外国人の待遇を照らし合わせ、必要な対応を検討することが重要です。

昇給は「月額1,000円/年」が一つの基準。CCUSレベルとも紐づけられる

建設分野では、昇給についても認定上の基準があります。

国土交通省の通知「建設特定技能受入計画における報酬額の認定について」(国不国第654号・令和4年3月28日)は、定期昇給またはこれに類する昇給を予定していない場合は認定しないとしています。

さらに、予定していても、1年当たりに見込まれる1か月当たり所定内賃金の上昇額が1,000円未満なら、実質的な定期昇給とは認められません。

なお、ここでいう所定内賃金には、時間外勤務手当(固定残業代を含む)、休日出勤手当、通勤手当、出張手当、皆勤手当などは含まれません。

また、昇給の条件には、資格・技能検定の取得やCCUSの能力評価レベルのステップアップも含まれます。
運用要領別冊は、こうした昇給を予定する場合、その条件や昇給見込額等をあらかじめ特定技能雇用契約と建設特定技能受入計画に記載する必要があるとしています。

受入れ後も続く報告と変更|受入報告・変更申請・巡回訪問

ここからは、認定後に外国人就労管理システムやFITSを相手に続く実務です。

就労開始から1か月以内の受入報告

認定された特定技能外国人が入国し、就労を開始したら、原則として1か月以内に受入報告を行います。

入力するのは、在留カード番号、在留期間満了年月日、CCUS技能者ID、上陸年月日、特定技能従事開始年月日です。

新規入国の場合、特定技能従事開始年月日は在留資格「特定技能」の付与年月日を記載します。
また、受入計画の認定申請時にCCUS未登録だった場合は、CCUSカードの写しを添付します。
これらの情報と書類をあらかじめ揃えておくと、受入報告をスムーズに進められます。

変更申請と変更届出の線引き

認定済みの計画を変更するときは、「変更申請」と「変更届出」を区別する必要があります。
国土交通省の手引きでは、認定証に記載されている事項は原則として変更申請の対象としたうえで、次のように区分しています。

区分

主な対象

タイミングと注意点

変更申請(認定が必要)

基本賃金の総額が減少する場合/所定労働時間が増加する場合/昇給に関する不利益変更/業務区分の変更/受入人数(外国人の追加とセット)/受入期間/受け入れる外国人に関する事項/常勤職員数/所属団体の変更/商号または名称・本店所在地/建設業の許可番号・許可期間/CCUSの事業者ID

事前申請。計画の変更が認定されるまでは、認定済みの計画どおりに実施する必要がある。原則として不利益変更は認定されない

変更届出(送信と同時に受理)

上記以外の変更。代表者の氏名/電話番号・メールアドレス/責任者の役職・氏名/就業規則および賃金規程/36協定/基本賃金(月額)/賞与・諸手当・退職金/雇用契約書・雇用条件書/在留カード番号/CCUS技能者IDなど

受理後に認定基準等を満たしていないことが確認された場合は、是正のうえ変更前の内容に戻すよう指導等が行われる場合がある

出典: 国土交通省「建設特定技能受入計画のオンライン申請について【変更申請・届出】」(2025年4月4日)より作成

外国人個人の雇用条件について不利益変更をする場合は、既存の外国人リストの変更申請では処理できず、新たな外国人の追加として申請する必要があります。

また、所属団体を変更するときは、新しい団体の会員証明書を添付し、国土交通省の認定を受けてから旧団体を退会する順序です。

退職報告と再雇用申請は別物。退職後は再雇用の手続が必要

本人が退職したときは、原則として退職報告を行います。
ただし、同じ会社で再雇用する予定の外国人については、退職報告をせず、再雇用申請の画面から手続します。

国土交通省の手引きも、再雇用申請を予定しているのに退職報告をすると、その後の再雇用申請ができなくなると注意しています。
他社へ転職するための退職であれば、退職報告で転職予定先の所属機関を入力します。

また、退職した1号特定技能外国人を同じ会社で再び受け入れる場合は、そのまま元の受入計画で就労を再開するのではなく、再雇用申請による手続が必要です。
国土交通省も、再雇用申請の専用手引きを公開しています。

会社側から雇用を終わらせる場合の判断と影響については外国人材を解雇するときの手続き|在留資格への影響と、残る支援義務をご覧ください。

FITSの巡回訪問は原則1年1回以上。受入れ後講習は出勤日扱い

適正就労監理機関として国土交通大臣に認められているのは、一般財団法人国際建設技能振興機構(FITS)です。

国土交通省は、FITSが全ての受入企業に対し、原則として1年に1回以上巡回訪問を行い、指導・助言をするとしています。
受入企業には巡回指導等への協力が必要で、正当な理由なく非協力的な対応をした場合などは、報告徴収・指導の対象となる場合があります。

受入れ後講習(特定技能スタートアップセミナー)は、受入れ後おおむね3~6か月の間に受講させることが必要です。
受講させない場合は認定要件を満たさない扱いとなります。

さらに運用要領別冊は、この義務が本人ではなく特定技能所属機関にあるため、講習を業務の一環として出勤日として扱い、移動時間等を含む必要時間も通常の出張と同様に扱う必要があるとしています。
したがって、休日の無給休暇として処理するのは適切ではありません。

建設特定技能で現場が指摘されやすい4つのポイント

いずれも制度を知らないことが原因というより、社内の従来の運用がそのまま残っていることで起こりやすいものです。

1. 元請に出す「一号特定技能外国人建設現場入場届出書」を知らない

下請として工事に入る場合、1号特定技能外国人を現場に入場させる際は、元請建設業者の指導に基づき「一号特定技能外国人建設現場入場届出書」を提出します。
国土交通省は、届出書に加えて必要な添付書類を提出することを案内しており、様式・記載例・建設特定技能受入計画認定証のサンプルも公開しています。
元請から届出書や認定証の写しを求められてから準備するのではなく、現場入場前に必要書類を揃えておくことが重要です。

2. システムの登録メールアドレスが担当者個人のまま

外国人就労管理システムのメールアドレスは、担当者個人のものではなく、企業の代表アドレスなど複数人で確認できるものが推奨されています。
担当者の退職後にメールが使えなくなる事例があるためです。
このアドレスには国土交通省からの重要連絡に加え、FITSから受入れ後講習や巡回指導の連絡も届きます。
なお、携帯電話のキャリアメールは登録できず、フリーメールの未着による不利益は企業側の負担となります。

3. 昇給の条件が契約にも計画にも書かれていない

「頑張ったら上げる」では、建設特定技能の昇給条件を説明できません。
定期昇給を予定し、1年当たりの1か月当たり所定内賃金の上昇額を1,000円以上とすることが重要です。
CCUSレベルアップを条件にする場合も、昇給見込額などを契約と受入計画に明記しておきましょう。
製造業の例ですが、この観点は製造業で外国人材が辞める理由|定着する現場がやっている5つの運用でも扱っています。

4. 常勤職員数の数え方を間違えている

建設分野では、1号特定技能外国人の総数が、一定の外国人等を除いた常勤職員の総数を超えないことが受入計画の要件です。
法人の場合、国土交通省の手引きは、社会保険(建設国保を含む)に加入し、一定の報酬額がある常勤役員や、短時間労働者ではない従業員などをカウントするとしています。
1号特定技能外国人や技能実習生などは原則として分母に含めません。
なお、育成就労外国人については2026年の告示改正で例外規定が設けられているため、最新の基準で確認が必要です。
常勤職員数に変更が生じた場合は、変更申請・変更届出の対象となるかを確認しましょう。

よくある質問(FAQ)

Q1. いま簡略型で登録している特定技能外国人は、2027年4月までに何かしなければいけませんか?

A.2027年4月1日以降、技能者登録は詳細型に一本化されます。
すでに簡略型で登録している人は、原則として次回更新時に詳細型へ移行しますが、前倒しで移行申請することも可能です。
CCUSレベルを昇給条件や資格手当に使う場合は、レベル判定に詳細型が必要なので、早めの移行も選択肢になります。
なお、移行手数料2,400円は能力評価申請手数料の全額支援の対象外です。

Q2. 月給制にすると、天候で現場が止まった日も満額払うことになりますか?

A.天候による現場中止を欠勤扱いとして賃金から控除することは認められていません。
ただし、必ず満額を支払うという意味でもありません。
使用者の責に帰すべき事由による休業なら、労働基準法26条により平均賃金の60%以上の休業手当が必要です。
天候による休業が不可抗力に当たるかなど、具体的な扱いは就業規則や賃金規程も確認し、必要に応じて社会保険労務士などに相談しましょう。

Q3. 賃金を上げる場合も変更申請が要りますか?

A.賃金を上げるだけなら、通常は変更申請ではなく変更届出です。
変更申請が必要なのは、基本賃金の総額が減少する場合や所定労働時間が増加する場合などです。
基本賃金(月額)の変更は変更届出の対象ですが、変更後も建設分野の認定基準を満たす必要があります。
届出後に基準を満たさないことが確認されれば、是正や変更前への復帰を指導される場合があるため、変更前に確認しておきましょう。

Q4. ネパールから建設分野の人材を採用した場合も、労務運用は同じですか?

A.国籍にかかわらず、建設分野の1号特定技能外国人には、受入計画の認定、CCUS登録、月給制、JACへの加入、FITSの巡回訪問など、同じ分野別ルールが適用されます。
一方、採用前の日本語教育や技能習得の状況、送出国側での費用負担などは、採用ルートによって異なります。
つまり、労務運用は共通、採用までの準備は個別に確認する、という整理です。
制度の全体像は特定技能とは|1号と2号の違い・19分野・受入れ上限の全体像を整理、費用は特定技能の採用費用の内訳|なぜ「外国人は安い」がもう通用しないのか、在留諸申請より前に済ませる分野別協議会の加入は分野別協議会の加入手続き|在留申請の前に済ませる新ルールと所要期間をご覧ください。

まとめ

  • 認定後も要件管理が続く
    受入計画は認定で終わらない。制度の利用をやめても、計画取消申請を行い、許可されるまで義務が残る。

  • 採用後の手続きを時系列で管理する
    受入報告、CCUS登録、受入れ後講習、JAC受入負担金、FITS巡回訪問など、就労後も対応が続く。

  • CCUSは2027年4月から詳細型へ
    簡略型の新規・更新申請は2027年3月31日で終了。昇給と能力評価を結び付けるなら、前倒し移行も可能。

  • 月給制は支給方法を確認する
    建設分野では月単位で算定した額を安定して支給する。天候や会社都合の休業を欠勤扱いにして賃金を控除することはできない。

  • 変更前に申請か届出かを確認する
    認定内容の変更には、変更申請が必要なものと、変更後に届け出るものがある。まず確認が必要。

次に読むべき記事:

手続きの量に驚いたとしても、順番に並べれば回せます

建設分野の特定技能は、受入計画の認定からCCUS、月給制、JAC、FITS、受入後の報告や変更手続きまで、一覧にするとやることが多く見えます。
ただ、すべてを一度に処理する必要はありません。
いつ、誰が、何をするのかを採用前から時系列で整理しておけば、社内で管理できる仕組みに落とし込めます。

むしろ注意したいのは、雨天による休業時の賃金処理や、有期契約社員の賞与・手当の扱いなど、これまで社内で続けてきた運用です。
日本人従業員向けの慣行をそのまま当てはめると、気づかないうちに建設特定技能受入計画の内容とずれることがあります。

G-Star HR Linkは、ネパール人材の紹介と登録支援機関としての支援を行い、採用後の実務まで継続して支援しています。面接にはJFT-Basic A2(JLPT N4相当)取得者のみが参加する体制を整えています。
受入後の段取りやCCUS登録など、自社の場合にどこから確認すべきかというご相談も承っています。
お問い合わせからお気軽にお声がけください。

本記事は公表資料をもとに整理しています。
最新の省令・運用要領等については、必ず各行政機関の公式情報をご確認ください。