
「せっかく採用したのに、契約更新のタイミングで辞めてしまった」
——製造業の外国人材受け入れでは、採用そのものより、その後の定着について相談を受けることがあります。
しかも、担当者が「思い当たる理由がない」と話すケースもあります。
外国人材の定着を考えるとき、賃金や昇給の見通し、任される仕事、人間関係や相談環境、住居・通勤などの生活面を切り分けて見ることが重要です。
令和7年外国人雇用実態調査でも、外国人雇用の課題として「日本語能力等のためにコミュニケーションが取りにくい」が46.2%で最多でした。
また、製造業は外国人労働者数が産業別で最多です。
本記事では、公的データを確認しながら、外国人材の定着を左右しやすい4つの観点と、現場で取り組める5つの運用に整理します。
G-Star HR Linkは、浜松の製造業を主な取引先として、ネパール人材の紹介と受け入れ支援を行っています。
創業者は元・輸送用機器メーカーのエンジニアで、当社自身も浜松で外国人スタッフを直接雇用しています。
紹介する側と受け入れる側、その両方の視点から整理します。
製造業で外国人材が辞めるとき、現場では何が起きているのか

公的統計で見る、製造業の外国人雇用の現在地
厚生労働省「外国人雇用状況の届出状況」(令和7年10月末時点・令和8年1月30日公表)によると、外国人労働者は2,571,037人、外国人を雇用する事業所は371,215所で、いずれも平成19年の届出義務化以降で過去最多です。
製造業の外国人労働者は635,075人で全体の24.7%を占め、産業別で最多。
外国人を雇用する製造業の事業所も58,400所あります。
一方、前年比の増加率は製造業が6.1%で、全産業の11.7%を下回ります。
医療・福祉25.6%、宿泊業・飲食サービス業17.1%、建設業16.1%、卸売業・小売業14.2%と比べても低い水準です。
外国人雇用そのものは増えていますが、製造業の増加ペースは相対的に鈍っています。
この数字は、製造業の採用環境を考えるうえで押さえておきたい変化です。
離職率は低い。それでも入職が追いつかない
製造業の離職率は産業計を下回ります。
それでも入職超過率はマイナス0.7ポイント。
辞める人を上回る採用ができていないことが、数字から分かります。
産業 | 入職率 | 離職率 | 入職超過率 |
|---|---|---|---|
産業計 | 14.8% | 14.2% | +0.6ポイント |
製造業 | 8.9% | 9.6% | −0.7ポイント |
建設業 | 11.7% | 10.0% | +1.7ポイント |
宿泊業、飲食サービス業 | 28.4% | 25.1% | +3.3ポイント |
医療、福祉 | 14.1% | 13.8% | +0.3ポイント |
出典: 厚生労働省「令和6年雇用動向調査結果の概況」表4-2(就業形態計・日本人を含む全労働者)
製造業の離職率9.6%は、産業計の14.2%を下回ります。
それでも入職超過率は▲0.7ポイント。
辞めた人を上回る人数が入ってきているわけではありません。
今回掲載した5産業のなかで、入職超過率がマイナスなのは製造業だけです。
ここで見るべきなのは、「辞める人が特別に多い」のではなく、「入ってくる人が足りない」という構造です。
製造業では、1人の退職を1人採用すれば済むとは限りません。
現場の工程や設備を覚えるまでには時間がかかるため、採用が追いつかない状態が続けば、残った社員の負担にもつながります。
製造業の課題は「定着」より、まず意思疎通にある
外国人を雇用する製造業では、全産業平均より「コミュニケーションが取りにくい」という課題が目立ちます。
一方、「離職・転職が懸念される、定着しない」は15.8%で、突出した課題とはいえません。
外国人労働者の雇用に関する課題(複数回答) | 製造業 | 事業所計 |
|---|---|---|
日本語能力等のためにコミュニケーションが取りにくい | 56.4% | 46.2% |
文化、価値観、生活習慣等の違いによるトラブルがある | 25.7% | 22.4% |
生活環境の整備にコストがかかる | 25.3% | 21.9% |
在留資格申請等の事務負担が面倒・煩雑 | 25.0% | 24.8% |
在留資格によっては在留期間の上限がある | 22.8% | 21.6% |
在留資格によっては任せられる業務が限定される | 18.6% | 17.3% |
離職・転職が懸念される、定着しない | 15.8% | 14.5% |
採用・定着にコストがかかる | 14.9% | 16.3% |
特にない | 15.2% | 17.1% |
出典: 厚生労働省「令和7年外国人雇用実態調査の概況」第10表(令和8年8月31日公表)
製造業で最も目立つのは、「日本語能力等のためにコミュニケーションが取りにくい」56.4%です。
事業所計の46.2%を10.2ポイント上回ります。
一方、「離職・転職が懸念される、定着しない」は15.8%で、事業所計14.5%との差は1.3ポイントです。
「採用・定着にコストがかかる」も14.9%で、事業所計16.3%を下回ります。
統計から見る限り、製造業の事業所が外国人雇用で特に強く感じている課題は、まず意思疎通にあります。
本記事では、このコミュニケーションの問題が、仕事を覚える過程や職場への定着にも関わる重要な要素だと考えて、現場での対応を見ていきます。
静岡県では、外国人労働者の3人に1人が派遣・請負事業所で働いている
もうひとつ、製造業の集積地に特有の事情があります。
厚生労働省「外国人雇用状況の届出状況」(令和7年10月末時点・令和8年1月30日公表)によると、全国の外国人労働者2,571,037人のうち、派遣・請負事業所で働く人は430,342人(16.7%)です。
一方、静岡県では88,968人のうち31,193人、35.1%を占めます。
さらに、静岡県の外国人労働者のうち製造業は32,694人で36.7%。全国の24.7%を大きく上回ります。
この数字を見ると、製造業では「誰が雇用主なのか」と「誰が現場を管理しているのか」を分けて考える必要があります。
派遣と請負でも仕組みは異なります。
定着に向けて動く前に、自社がどの立場にいて、採用・雇用・現場管理のそれぞれを誰が担っているのかを確認することが重要です。
受け入れ形態の設計は製造業の外国人受け入れ体制の作り方で扱っています。
辞める理由は4つに整理できる
辞める理由1|賃金と昇給の見通し
勤続年数が長くなるほど給与は上がりますが、特に差が大きいのが賞与です。
1年未満と3年以上では、年間の賞与額に大きな開きがあります。
勤続年数 | きまって支給する現金給与額 | 所定内給与額 | 昨年1年間の賞与等 |
|---|---|---|---|
1年未満 | 244.0千円 | 214.8千円 | 14.9千円 |
1年以上3年未満 | 281.5千円 | 248.8千円 | 167.4千円 |
3年以上5年未満 | 297.5千円 | 259.8千円 | 376.7千円 |
5年以上10年未満 | 341.2千円 | 301.2千円 | 575.2千円 |
10年以上15年未満 | 389.2千円 | 351.6千円 | 874.7千円 |
15年以上 | 395.2千円 | 368.5千円 | 1,145.4千円 |
出典: 厚生労働省「令和7年外国人雇用実態調査の概況」第6表(外国人一般労働者・全産業。令和8年8月31日公表)
月額の「きまって支給する現金給与額」は、1年未満の244.0千円から15年以上の395.2千円まで、勤続年数に応じて上昇しています。
一方、「昨年1年間の賞与、期末手当等特別給与額」は、1年未満の14.9千円に対し、1年以上3年未満では167.4千円、3年以上5年未満では376.7千円です。
勤続年数による差は、月給だけでなく賞与にも表れています。
ただし、この調査は同じ人を追跡したものではなく、それぞれの勤続年数に該当する人を比較した統計です。
そのため、数字だけから「勤続すれば必ずこの金額になる」とは言えません。
だからこそ会社側では、現在の給与だけでなく、昇給や賞与がどのように決まるのかを本人に説明できる状態にしておくことが重要です。
残業が減ると、給与額の約2割が動く
外国人雇用実態調査を見ると、製造現場では残業代が給与に占める割合も無視できません。
令和7年調査では、生産工程従事者の「きまって支給する現金給与額」は253.3千円、「所定内給与額」は205.7千円。
その差は47.6千円で、給与額の約18.8%に相当します。
超過実労働時間も月26.5時間で、調査対象の職業の中で最も長くなっています。
特定技能でも254.1千円に対して所定内給与額は217.0千円、超過実労働時間は20.3時間です。
さらに令和6年調査では、母国へ仕送りする人の割合や年間仕送り額も示され、特定技能の年間平均仕送り額は123.3万円でした。
固定的な支出を抱える人にとって、残業の増減は生活設計にも影響します。
だからこそ、採用時に残業を含めた収入だけを伝えるのではなく、残業が少ない時期でも本人が生活を組み立てられるよう、基本給と残業代を分けて説明しておくことが重要です。
詳しくは「もっと残業したい」と言われたら|外国人材の給与設計と36協定の線引きをご覧ください。
辞める理由2|任される仕事の中身「3年間ずっと同じ工程」
令和7年外国人雇用実態調査では、製造業の15.8%が「在留資格によっては任せられる業務が限定される」を課題に挙げています。
制度上の制約がある一方、現場では「教える手間を考えて、同じ工程を任せ続ける」ということも起こります。
G-Star HR Link代表の岡本も、3年で帰る前提では給与やキャリアパスを組みにくく、新しい仕事も任せづらいと話しています。
育成就労は3年間で特定技能1号水準の人材を育成する制度です。
2027年4月の施行後は、「育てて次につなげる」視点がより重要になります。
辞める理由3|人間関係と孤立。賃金だけでは、定着は決まらない
JILPTの分析では、「給料や働く条件」と「会社の人が親切」の両方を評価する技能実習生は、修了後も同じ会社で働き続けたい人が58.4%でした。
一方、賃金だけを評価した人は31.0%、人間関係だけでは32.1%。賃金と職場の人間関係がそろうことが、定着と結び付いています。
「給料や働く条件」 | 「会社の人が親切」 | 回答者数 | 勤続志向の割合 |
|---|---|---|---|
挙げた | 挙げた | 137人 | 58.4% |
挙げた | 挙げていない | 142人 | 31.0% |
挙げていない | 挙げた | 305人 | 32.1% |
挙げていない | 挙げていない | 261人 | 23.4% |
全体 | 845人 | 33.5% | |
出典: 労働政策研究・研修機構(JILPT)ディスカッションペーパー25-07「外国人技能実習生のキャリア選択と仕事環境―広島県アンケート調査の2次分析から―」(2025年3月)図表3-5
広島県が2019年に実施した技能実習生アンケートの二次分析で、対象は845人です。
JILPT自身も、賃金だけでなく職場のコミュニケーションの充実が定着を促す可能性を示しています。
なお、同調査で「会社の人が親切」を良い点として挙げた割合は52.3%で、「給料や働く条件」の33.0%を上回りました。
ただし、2019年・広島県の技能実習生を対象とした分析なので、数値を現在の製造業全体にそのまま当てはめず、「賃金と人間関係の両方を見る必要がある」ことを示す材料として使うのが適切です。
孤立の予防を職場の外まで広げる考え方は外国人材が定着する会社の共通点|孤立を防ぐ「職場の外」の居場所づくり、送金責任という本人側の構造はネパール人は本当に辞めにくいのか|送金責任と借金構造から考える定着で扱っています。
辞める理由4|住居・交通などの生活インフラ
住居や通勤手段は、採用後に考えればよい話ではありません。
製造業では「生活環境の整備にコストがかかる」を課題に挙げる事業所が25.3%あります。
寮の条件、家賃、通勤手段などが曖昧なまま入国すると、生活の不便が職場への不満にもつながりかねません。
何をいつまでに決めるかは「運用4」で整理しています。
厚生労働省の「外国人労働者の雇用管理の改善等に関して事業主が適切に対処するための指針」も、事業主に「適切な宿泊の施設を確保するように努める」ことを求めています。
採用で終わりにしない、を誰の仕事として置くか
当社代表がnoteに書いていること
当社代表の岡本博行は、自身のnoteで次のように書いています。
外国人を採用する際、私が最も重要だと考えているのは『採用後の定着』です。そして採用後の定着に大きく影響する要素の一つは『採用サポートをどの会社に頼むか』だと私は考えています。
出典は人生をかけて「ネパール人人材紹介で、日本の雇用問題を解決する」に挑戦するワケ。(2025年8月26日)です。
社内では「採用がゴールではなく、活躍がゴール」と考えています。
定着を実現するには、採用後のフォローを誰の仕事として置くかまで決めることが重要です。
現場と総務が役割を分け、定期的に情報を共有する。
小規模な職場ほど、こうした体制が継続しやすくなります。
紹介する側と、受け入れる側の両方に立つということ
当社は浜松で清掃事業を自社運営し、外国人スタッフを直接雇用しています。
紹介会社としてではなく雇用主として同じ手間を負っていることが、本記事で挙げる運用の根拠です。
ネパール人材の採用、まずは現状をお聞かせください
ネパール現地に自社の日本語学校・トレーニングセンターを持つ G-Star HR Link が、
貴社のご要望に合わせ、最適な在留資格とスケジュールを無料相談でご提案します。
定着する現場がやっている5つの運用

運用1|多能工化を「増やす計画」ではなく「今日どこまで来たか」で見せる
多能工化そのものは、製造業では珍しい取り組みではありません。
定着を考えるなら、重要なのは本人が自分の成長を確認できる状態にすることです。
スキルマップを管理側だけで持つのではなく、本人にも共有し、次に覚える工程まで見えるようにします。
スキルマップに、配属初日から本人の行を作って名前を載せる
担当できる工程が増えたら、月次や期末を待たずその日のうちに更新する
次に覚える工程とその順番を、本人に伝えておく
こうした「できるようになったことの見える化」は、厚生労働省の定着支援資料が示す、技能育成・評価・待遇を本人と共有する考え方とも方向性が合います。
工程を増やす順番や班・OJT担当の決め方など、具体的な受け入れ手順は前掲の受け入れ体制の記事で扱っています。
運用2|評価と昇給を、条件・時期・金額で見える化する
厚生労働省の「外国人労働者の雇用管理の改善等に関して事業主が適切に対処するための指針」は、外国人労働者について、職場で求める資質・能力等の明確化や、評価・賃金決定など人事管理の運用における透明性・公正性の確保を事業主に求めています。
では、現場では何をすればよいのでしょうか。
例えば「この工程を一人で担当できるようになったら評価する」「資格取得後は○月の給与改定で○円上げる」など、評価の条件・時期・金額をできるだけ具体的に示しておく方法があります。
本人に渡す資料は、必要に応じて母語を併記すると、内容の確認もしやすくなります。
2026年版ものづくり白書でも、ものづくり人材の定着に向けた取組として「賃金水準の向上」が71.5%で最も高くなっています。
運用3|通訳は「常時」ではなく「要所」に置く
令和7年外国人雇用実態調査では、「日本語能力等のためにコミュニケーションが取りにくい」と回答した事業所は、製造業で56.4%でした。
通訳を置く場面は、重要度で決めておくと運用しやすくなります。
例えば次の5場面です。
雇入れ時・作業変更時の安全衛生教育
評価面談と昇給の説明
体調不良・けが・労災に関するやりとり
契約更新と在留資格に関する説明
ハラスメントや人間関係の相談
厚生労働省の「外国人労働者の雇用管理の改善等に関して事業主が適切に対処するための指針」も、安全衛生教育を母国語等で理解できる方法で行うことや、母国語での導入研修、日本語能力に配慮した教育訓練を求めています。
運用4|寮と通勤は「用意する」だけでなく運用まで決める
外国人材の受け入れでは、寮を用意するだけでなく、入居後の生活まで見据えて運用を決めておくことが重要です。
入国前に、少なくとも次の項目を文書で整理しておきましょう。
寮から職場までの距離と通勤手段(自転車・送迎・公共交通など)
家賃・水道光熱費・通信費の負担区分と、給与から控除する場合の扱い
相部屋か単独入居か。相部屋の場合は同室者の決め方
退居・入替え・帰国時の原状回復の扱い
スーパー・病院・役所など生活に必要な場所へのアクセスと、入居直後の支援方法
Wi-Fiなどの通信環境。母国の家族と連絡を取れる環境も確認する
特に夜勤や交替勤務がある場合は、通勤手段と時間まで含めて生活設計を考えることが大切です。
運用5|相談窓口は社内外に複数用意する
令和7年外国人雇用実態調査では、就労上のトラブルとして「トラブルや困ったことをどこに相談すればよいかわからなかった」が15.8%で、2番目に多い項目でした。
相談窓口は、本人が実際に使える形で明示しておくことが重要です。
社内: 現場の指示系統とは別に、総務・人事など相談できる担当者を決め、氏名と連絡先を本人に伝える
社外: 登録支援機関や行政機関など、社内とは別の相談先も案内する
相談方法:対面だけでなく、電話・メールなど本人が利用しやすい方法を用意する
「誰に相談すればよいか分からない」をなくすことが、問題の早期把握につながります。
外国人雇用管理指針も、外国人労働者の苦情・相談を受け付ける窓口の設置等を求めています。
2027年以降、定着は「選ばれるかどうか」の問題になる
在留の時間軸が伸びると、会社の打ち手も変わる
育成就労制度は2027年4月1日に施行されます。
育成就労から特定技能へ移行することで、外国人材が日本で働き続ける時間軸はこれまでより長くなります。
岡本もPodcastで、今後は本人と一緒に定着戦略やキャリアパスを描くことが必要になると話しています。
一方、長く働けることは、本人の選択肢が広がることでもあります。
採用して終わりではなく、「ここで働き続けたい」と思ってもらえる職場づくりが重要になります。
育成就労の転籍ルール(分野ごとの制限期間や費用負担の考え方)は育成就労の転籍ルールと人材流出リスク|分野別1年・2年の線引きから考えるをご覧ください。
引き止めではなく、選ばれる側になるしかない
転職が可能になる時代について、代表の岡本は次のように話しています。
でも本当にいい会社だったら別に、転職しようできようができまいが、より長く働きますからね
制度が変わったから定着しなくなるのではなく、制度が変わると、これまで制度に守られていた部分が見えるようになるという話です。
同じ回で岡本は、最初に来た会社が社長も社員も良い人ばかりでも、母国の家族を思えば1円でも高いところに行きたいと考える人はいる、という趣旨のことも述べています。
会社への悪意とは無関係に起こりうることです。
引き止めの仕組みを作るより、選ばれる条件を揃えるほうが確実です。
定着している現場は、採用コストも抑えやすい
定着を「コストのかかる福利厚生」と捉えるだけでは、採用とのつながりを見落とします。
令和7年外国人雇用実態調査では、入職前に日本に住んでいた外国人労働者の入職経路は、製造業では「知人、友人」が40.1%で最多でした。
日本国内の民間紹介会社は12.7%、求人広告は11.6%、ハローワークは9.7%です。
つまり、製造業では既に働く外国人材の人脈も採用経路の一つです。
定着する人が職場の情報を周囲に伝える一方、離職も同じネットワークに影響します。
定着への投資は、採用経路を守る視点からも考えられます。
採用全体の設計は製造業の外国人採用|在留資格3種の現実解と定着の設計で扱っています。

よくある質問(FAQ)
Q1. 賃上げをすれば定着しますか?
A.賃上げは重要ですが、それだけで定着するとは限りません。
2026年版ものづくり白書では、定着に向けた取組として「賃金水準の向上」が71.5%で最も高くなっています。
一方、定着には職場環境や人材育成なども関わります。
賃金だけでなく、評価やキャリアの見通しまで示すことが重要です。
Q2. 「もっと残業させてほしい」と言われます。どう考えればよいですか?
A.生産工程従事者の超過実労働時間は月24.6時間と全職業のなかで最長で、仕送りをしている人は特定技能で81.6%を占めます。
ただし、残業は36協定などの上限を守る必要があります。
残業時間を増やすのではなく、技能習得や評価・昇給によって収入を高める道筋も示しておくことが重要です。
詳しくは「もっと残業したい」と言われたら|外国人材の給与設計と36協定の線引きをご覧ください。
Q3. 派遣・請負で受け入れている場合、定着の取り組みは誰がやるのですか?
A.派遣では雇用主は派遣元ですが、受入先が日々の指揮命令を行います。
一方、請負では注文主が労働者へ直接指揮命令できません。
定着支援は契約形態に応じて役割を分け、派遣元・請負事業者と受入先が、工程習得や相談体制など必要な情報を共有することが重要です。
少なくとも「工程を増やす計画」と「相談経路」の2つを自社で持ち、派遣元と共有してください。
Q4. 本人が「辞めて帰国したい」と言い出したら、何から手をつければよいですか?
A.まず退職と帰国を切り分けてください。
帰国したいのか、別の会社で働き続けたいのかで、その後の手続きも打ち手も異なります。
退職が確定した場合の届出・社会保険・税の実務は外国人材が退職・帰国するときの手続き|届出が漏れる4箇所を時系列でにまとめています。
まとめ
製製造業は外国人労働者が最多
2025年10月末は635,075人、全体の24.7%。前年比6.1%増。定着には「辞めにくさ」だけでなく採用との循環を見る
人数だけでなく、職場環境と採用経路を一体で考える。コミュニケーションが大きな課題
製造業では56.4%が「コミュニケーションが取りにくい」と回答。昇給は見える形にする
評価条件や昇給時期を具体的に示し、本人が先の見通しを持てるようにする。定着の運用は5つ
多能工化の見せ方、昇給の可視化、通訳を要所に置く、寮・通勤の設計、相談経路の複線化。
次に読むべき記事:
辞めた理由が分からないまま、次の1人を採らないために
ここまで読んで「うちはまだ何もできていない」と感じても、珍しいことではありません。
今回紹介した5つの運用は、特別な制度や設備ではなく、社内で決めて続ける仕組みです。
まずはスキルマップに本人の行を作る、社外の相談先を一つ紙に書いて渡すなど、小さなところから始められます。
大切なのは、離職してから理由を探すのではなく、辞める前に何が起きているのかを把握することです。
工程の構成、寮の場所、通訳の有無、夜勤の比率などによって、定着を妨げる要因は企業ごとに異なります。
G-Star HR Linkは、浜松の製造業を中心に、外国人材の紹介と受け入れ支援を行っています。
自社でも外国人スタッフを雇用しているため、採用だけでなく、その後の現場運用まで含めて考えることができます。
気になる点があれば、まず現在の状況を整理するところからお問い合わせださい。
本記事の制度に関する記述は、公表情報をもとに整理しています。
最新の省令・運用要領等については、出入国在留管理庁などの公式情報をご確認ください。