
ビル清掃の現場では、人手不足が長年の課題になっています。
求人を出しても応募が集まらず、特に早朝や夜間の現場は人材確保が難しい。
定年後の再雇用で補ってきたものの、体力面から継続が難しくなり、外国人採用を検討する企業も増えています。
ビルクリーニング分野は、受入れ枠にまだ余裕があります。
在留者数の充足率は28.6%(令和8年3月末時点・速報値)で、全分野平均の50.2%を下回ります。
一方、受入れには注意が必要です。
建築物衛生法に基づく事業登録を受けた営業所であることに加え、在留諸申請の前に協議会の構成員になる必要があります。
外国人採用を始めるなら、まずこの2つの要件を確認することが第一歩です。
この記事を運営するG-Star HR Linkは、ネパール現地に自社の日本語学校とトレーニングセンターを持つ人材紹介会社です。
さらに、私たち自身も清掃事業を運営し、外国人材を雇用する受け入れ企業でもあります。「紹介するだけでは現場は分からない」と言われないために、自ら現場を持ちました。
この記事も、制度を外から解説するのではなく、同じ業種で人を雇う側の視点からお伝えします。
ビルクリーニング分野の特定技能 —前提条件

特定技能で任せられるのは「建築物内部の清掃」が中心
ビルクリーニング分野の特定技能1号は、業務区分が「ビルクリーニング」の一つに定められており、主たる業務は「多数の利用者が利用する建築物(住宅を除く。)の内部の清掃」です。
衛生的な環境の確保や美観の維持などを目的に、場所や建材、汚れの種類に応じて、方法・洗剤・用具を選びながら清掃します。
ここで注意したいのが「住宅を除く」という点です。
マンションなどの共用部分は対象になり得ますが、住宅の居室内清掃を主たる業務とする仕事とは区別して考える必要があります。
また、外壁や窓ガラスの外面清掃など、建築物の「内部」に当たらない作業を主たる業務として組むのも適切ではありません。
一方、日本人従業員が通常行う関連業務については、主たる清掃業務に付随する範囲で従事できます(出典: 出入国在留管理庁・厚生労働省「ビルクリーニング分野における特定技能の在留資格に係る制度の運用に関する方針及び育成就労に係る制度の運用に関する方針」令和8年1月23日閣議決定)。
なお、受入企業には業務内容だけでなく、建築物衛生法に基づく営業所の登録など、分野独自の要件もあります。
前提条件①:まず確認したいのが「営業所の登録」
ビルクリーニング分野には、特定技能を受け入れる営業所そのものに登録が求められるという独自の条件があります。
特定技能外国人を受け入れられるのは、都道府県知事から建築物衛生法第12条の2第1項第1号の「建築物清掃業」、または第8号の「建築物環境衛生総合管理業」の登録を受けた営業所です。
法人単位ではなく、営業所単位で確認される点に注意してください。
この登録自体は任意制度ですが、特定技能では受入れの要件になります。
また、登録の有効期限は6年で、継続して受け入れるには更新が必要です。
更新されなければ要件を満たさないことになります。
さらに、雇用条件書に記載する受入れ事業所(営業所)と、登録を受けた営業所は一致していなければなりません。
つまり、本社や別の営業所が登録を受けていても、実際に特定技能外国人を受け入れる営業所が未登録なら、そのままでは要件を満たせません(出典: 出入国在留管理庁「特定の分野に係る特定技能外国人受入れに関する運用要領-ビルクリーニング分野の基準について-」)。
前提条件②:協議会加入は「受入れ後4か月以内」ではない
ビルクリーニング分野では、特定技能外国人を受け入れる前に「ビルクリーニング分野特定技能協議会」の構成員になる必要があります。
令和6年6月15日以降、初めて受け入れる企業についても、在留諸申請を行う前に加入手続きを済ませ、構成員であることを証明する書類を提出する扱いに変わりました。
以前の「受入れ後4か月以内」という情報は、現在の新規受入れには当てはまりません。
協議会への加入費用はかかりません。
ただし、厚生労働省によると加入審査には1か月程度かかる場合があります。
候補者が決まってから動くのではなく、外国人採用を検討し始めた段階で手続きを進めておくと安心です(出典:特定の分野に係る特定技能外国人受入れに関する運用要領 -ビルクリーニング分野の基準について)。
制度全体の枠組みは特定技能とは|1号と2号の違い・19分野・受入れ上限の全体像を整理もあわせてご覧ください。
受入れ枠は、まだ7割超が残っています
ビルクリーニングの特定技能1号の受入れ見込数は3万2,200人です。
令和8年3月末の在留者数は9,202人で、充足率は28.6%。受入れ枠の7割超が残っています。
分野 | 受入れ見込数 | 在留者数(令和8年3月末) | 充足率 |
|---|---|---|---|
ビルクリーニング | 32,200人 | 9,202人 | 28.6% |
介護 | 126,900人 | 74,745人 | 58.9% |
建設 | 76,000人 | 51,055人 | 67.2% |
飲食料品製造業 | 133,500人 | 96,367人 | 72.2% |
外食業 | 50,000人 | 47,714人 | 95.4% |
全19分野 合計 | 805,700人 | 404,527人 | 50.2% |
出典: 出入国在留管理庁「特定技能1号の受入れ見込数及び在留者数について(令和8年3月末時点・速報値)」(受入れ見込数は令和8年1月23日閣議決定。リンク先の資料は、入管庁が月ごとに新しい時点の数字へ差し替えています)
外食業の充足率が95.4%に達する一方、ビルクリーニングは28.6%にとどまります。
令和7年3月末からの在留者数の増加も2,560人で、現時点では受入れ枠に大きな余裕があります。
2026年9月4日に公表された令和8年6月末の速報値では、在留者は10,171人、充足率は31.6%(全分野平均は52.9%)で、受入れ枠にはまだ余裕があります。
それでも人手不足は深刻です。
制度の運用方針では、「ビル・建物清掃員」の令和6年度の有効求人倍率を2.34倍とし、令和10年度には10万6,400人程度の人手不足が見込まれるとしています。
これは、必要就業者数105万2,000人に対し、就業者数が94万5,600人にとどまるという推計です。
つまり、人が足りない一方で、特定技能の受入れ枠にはまだ余裕があるというのが現在の状況です。
だからこそ、登録営業所や協議会加入などの入口要件を早めに整え、余裕のあるうちから採用計画を組んでおく意味があります。
清掃事業を自社で運営する、G-Star HR Linkだから伝えられること

なぜ紹介会社が、自社でも清掃事業を運営するのか
G-Star HR Linkは、外国人材を紹介するだけでなく、自社でも清掃事業を運営し、外国人材を雇用しています。
代表の岡本が大切にしているのは、「外国人材を現場に入れるとは、実際にどういうことなのか」を紹介する側自身が理解することです。
「外国人材を紹介できます」と伝えるだけなら簡単です。
しかし、実際に自分たちで採用し、シフトを組み、現場に配置してみなければ分からないことがあります。
どのような準備が必要なのか、現場でどこに難しさが生じるのか。
そうした経験を持ったうえで企業にお伝えしたいと考え、自社でも清掃事業を運営しています。
なお、当社が公表している紹介実績はG-Star Group全体の実績であり、日本法人単体の実績ではありません。
また、自社の清掃事業について、現場数や配置人数などの確定した公表数字は掲載していません。
本記事では、自社で受入れを行う中で得た定性的な経験をお伝えします。
支援体制の作り方や委託先の選び方は登録支援機関とは|義務的支援10項目・費用・選び方を登録支援機関が解説にまとめてあります。
見積書にない「住居と生活立ち上げ」の費用
外国人材の採用では、紹介手数料や支援委託料だけでなく、住居の準備や生活立ち上げにかかる費用も見ておく必要があります。
特に海外から採用する場合は、入国後すぐに生活を始められる住居を事前に確保しておくことが重要です。
意外と後回しになりやすいのが通信環境です。
スマートフォンは本人が持参する場合でも、日本国内で使用できる機種かを確認し、必要に応じてSIMや通信回線を準備します。
海外の家族とビデオ通話をする機会も多いため、安定した通信環境は単なる福利厚生ではなく、来日後の生活を支える重要なインフラです。
家具・家電については、冷蔵庫や洗濯機などの大型品を会社側で用意し、食器などの生活用品は本人と一緒に購入する方法もあります。
外国人材の受入れ費用は、採用費だけでなく、住居・通信・生活用品まで含めて考えることが大切です。
生活面の支援全般は外国人材が定着する会社の共通点|孤立を防ぐ「職場の外」の居場所づくりで扱っています。
経営者の熱意を、現場の従業員にも共有する
外国人材の採用がうまくいかないケースで、私たちがよく目にするのが、経営者と現場の従業員との温度差です。
社長は海外まで足を運び、候補者と話しているため、採用への思いも強くなります。
一方、実際に外国人材と働く日本人従業員には、その背景が十分に伝わっていないことがあります。
外国人材は、仕事や将来への強い目的を持って来日する人も少なくありません。
その意欲が職場にうまく伝われば、日本人従業員にも良い刺激になります。
しかし、受入れの理由や期待される役割が共有されないままだと、意欲の高い人が職場で浮いてしまうこともあります。
この温度差を埋めるには、経営者自身の発信が重要です。
「なぜ外国人材を採用するのか」「なぜこの人を採用したのか」を、配属前から現場の従業員に伝えておきましょう。
特に、社長と現場スタッフが顔を合わせる機会の少ない清掃業では、意識して共有することが大切です。
ネパール人材の採用、まずは現状をお聞かせください
ネパール現地に自社の日本語学校・トレーニングセンターを持つ G-Star HR Link が、
貴社のご要望に合わせ、最適な在留資格とスケジュールを無料相談でご提案します。
試験・日本語要件と、採用までの実際のスケジュール
技能試験はCBT方式に変わり、合格率にも変化
特定技能1号で必要となるのが「ビルクリーニング分野特定技能1号評価試験」です。
実施主体は公益社団法人全国ビルメンテナンス協会で、試験は日本語で行われます。
令和7年3月10日からは、従来のペーパーテスト・作業試験方式からCBT(コンピュータ・ベースド・テスティング)方式に変更されました。
厚生労働省の令和6年度実施状況報告書によると、改正前の合格率は約88%だったのに対し、CBT方式への変更後は約63%となっています。
同じ報告書では、特定技能2号評価試験の合格率は12.3%でした。
試験に向けた準備期間や不合格時の再受験も考慮し、入国時期には余裕を持たせておく必要があります(出典: 厚生労働省「令和6年度ビルクリーニング試験実施状況報告書【ビルクリーニング分野】」令和7年10月20日)。
なお、特定技能2号の在留者は、令和8年6月末時点で全国24人です。
1号から2号への移行を見据える場合は、試験の難易度だけでなく、現時点で2号人材がまだ少ない分野であることも踏まえてキャリアを考える必要があります(出典:【第1表】主な国籍・地域別 特定産業分野別 特定技能2号在留外国人数)。
日本語はJFT-Basic A2(JLPT N4相当)。育成就労なら入口はA1相当
ビルクリーニング分野の特定技能1号では、「日本語教育の参照枠」A2.2相当以上の日本語能力が求められます。
試験では、JFT-Basic A2.2相当以上またはJLPT N4以上が基準です。
一方、育成就労の開始時に求められるのはA1相当以上です。
ビルクリーニング分野では、JFT-Basic A1相当以上またはJLPT N5以上などが入口の水準となり、育成就労の終了までにA2.2相当以上を目指します。
つまり、最初から特定技能1号で採用するのか、育成就労から育てるのかで、入口の日本語水準が異なります。
G-Star Groupでは、ネパールの教育機関で日本語を学んだ候補者を対象に面接を行い、当社の採用ではJFT-Basic A2(JLPT N4相当)以上の取得を一つの基準としています。
学習期間は4か月から1年程度で、平均は約半年です。
JFT-Basicを主に利用するのは、試験機会を確保し、入国時期がJLPTの日程に左右されにくくするためです。
技能実習2号の良好な修了者は試験免除
技能実習2号を良好に修了した人は、特定技能1号への移行時に試験が免除される場合があります。
ビルクリーニング職種・ビルクリーニング作業の第2号技能実習を良好に修了していれば技能試験が免除され、さらに第2号技能実習を職種・作業を問わず良好に修了していれば、日本語試験も免除されます。
なお、これらの扱いは新しい分野別運用方針ではなく、特定技能の運用要領に定められています。
育成就労への移行に伴う対応関係は、別途、ビルクリーニング分野の育成就労制度運用要領で整理されています。
スケジュールは、手続き要件を先に押さえて組む
登録営業所の確認
配属予定の営業所が「建築物清掃業」または「建築物環境衛生総合管理業」の登録を受けているか、有効期限(6年)も確認します。協議会への加入
在留諸申請を行う前に、ビルクリーニング分野特定技能協議会の構成員になっておきます。受入れ体制の準備
住居、通信環境、家具・家電を整え、支援を自社で行うか登録支援機関へ委託するかを決めます。候補者の選考
技能試験・日本語試験の合格状況を確認します。
海外から呼ぶ場合は、試験日程も入国時期に影響します。在留諸申請
協議会の構成員資格証明書や、受入れ営業所の登録を証する書類など、必要な資料をそろえて申請します。
費用面では外国人材の受入れに使える助成金がいくつかあります。
詳細は外国人雇用で使える助成金・補助金|「採用」ではなく「環境整備」に出る仕組みで整理しています。
受入れ後に差がつく、清掃現場の配置と定着のポイント

複数現場で働く場合に注意したい「営業所」の扱い
清掃業では、1人の従業員が複数の物件を担当することがあります。
特定技能でも、重要なのは現場の数そのものではなく、雇用条件書に記載された就業場所と営業所の扱いです。
出入国在留管理庁の運用要領では、受入れ後に受入れ営業所を変更する場合、特定技能雇用契約の変更届出が必要とされ、変更後の営業所も「建築物清掃業」または「建築物環境衛生総合管理業」の登録を受けている必要があります。
そのため、「人手が足りないから来月から別の営業所へ」という場合は、現場配置だけの問題と考えず、所属する営業所の変更に当たるかを確認しましょう。
早朝・深夜シフトは、来日直後の生活との両立を考える
来日直後は、住民登録や銀行口座、通信契約、健康保険など、平日日中に対応が必要な手続きが重なります。
早朝・深夜勤務と重なると、本人の負担が大きくなるため、最初の時期だけ日中の現場にする、手続きのための時間を確保するなどの配慮が有効です。
また、深夜・休日労働には割増賃金が発生する場合があります。
給与明細を見てから疑問が生じないよう、シフトと割増賃金の仕組みを採用時から分かりやすく説明しておきましょう。
給与と残業の考え方は「もっと残業したい」と言われたら|外国人材の給与設計と36協定の線引きでも扱っています。
清掃現場では「孤立させない仕組み」が定着につながる
清掃業では、工場や施設などと比べて、外国人材が一人で現場に入る時間が長くなりやすいケースがあります。
日本人の同僚と話す機会や、日本語を使う場面が少なくなれば、仕事や生活の悩みも抱え込みやすくなります。
そこで大切なのが、定期的に顔を合わせる機会をつくることです。
母語で相談できる相手を確保する方法もあります。
当社が浜松でAsian Mart & Cafeを運営し、紹介した人材が交流できる場をつくっているのも、その一環です。
また、ビルクリーニング分野(一般清掃)の常勤作業員は、60歳以上が46.7%を占めます(2023年・業界調べ)。
ベテランの経験を若い外国人材に伝えるには、配属前に受入れの目的を共有しておくことが重要です(出典: 出入国在留管理庁・厚生労働省「ビルクリーニング分野における特定技能の在留資格に係る制度の運用に関する方針及び育成就労に係る制度の運用に関する方針」(令和8年1月23日閣議決定))。
2027年4月の育成就労|ビルクリーニングの基準も公表済み
育成就労制度は、令和9年(2027年)4月1日から始まります。
ビルクリーニング分野では、令和8年7月14日に分野別の運用要領が公表されました。
日本語能力や転籍などについても、分野に応じた具体的な基準が示されています。
制度全体の設計は育成就労制度とは|2027年4月開始の新制度を採用企業向けに整理にまとめていますので、ここではビルクリーニング分野に固有の内容だけを扱います。
受入れ上限は2年間で7,300人。段階ごとの基準も公表済み
ビルクリーニングの育成就労は、令和9年度から2年間で7,300人を上限として受け入れます。
開始時から修了まで、日本語・技能の段階別基準が設定されています。
時点 | 技能水準 | 日本語能力水準 |
|---|---|---|
就労開始まで | — | 参照枠A1相当以上=JFT-Basic A1相当以上またはJLPT N5以上。または認定日本語教育機関の「就労のための課程」等で相当する日本語講習100時間以上を受講 |
開始後1年経過時まで | ビルクリーニング分野育成就労評価試験(初級) | 参照枠A1相当以上=JFT-Basic A1相当以上またはJLPT N5以上 |
本人意向による転籍時 | ビルクリーニング分野育成就労評価試験(初級) | 参照枠A2.1相当以上=JFT-Basic A2.1相当以上またはJLPT N4以上 |
育成就労を終了するまで | ビルクリーニング分野特定技能1号評価試験 | 参照枠A2.2相当以上=JFT-Basic A2.2相当以上またはJLPT N4以上 |
出典: 出入国在留管理庁・厚生労働省「ビルクリーニング分野における特定技能の在留資格に係る制度の運用に関する方針及び育成就労に係る制度の運用に関する方針」(令和8年1月23日閣議決定)、法務省・厚生労働省「特定の分野に係る育成就労制度運用要領-ビルクリーニング分野の基準について-」(令和8年7月・令和8年7月14日公表)別表
ビルクリーニングでは、転籍時にA2.1相当、育成就労終了時にA2.2相当が求められます。
介護では1年経過時からA2.2相当以上を求めるため、両分野で段階設定が異なります。
なお、JLPTにはA2.1とA2.2を直接区別する級がないため、いずれもN4以上という表記になります。
また、修了時にはビルクリーニング分野特定技能1号評価試験が基準となるため、現在の試験方式や合格状況も育成計画に織り込んでおくとよいでしょう。
育成就労の受入れ上限7,300人は、特定技能1号の3万2,200人とは別枠です。
転籍制限期間は1年|ビルクリーニングは早期の定着が重要
育成就労では、一定の要件を満たせば本人の意向による転籍が認められます。
転籍制限期間は分野ごとに1年または2年とされ、ビルクリーニング分野は1年です。
分野別運用方針にも「転籍制限期間は1年とする」と明記され、運用要領でも同様に示されています。
受入れ企業にとっては、育成を始めてから比較的早い段階で転籍の可能性が生じることになります。
だからこそ、最初の1年間で「この会社で働き続けたい」と思ってもらえる環境をつくることが重要です。
前章で触れた生活支援や孤立を防ぐ工夫も、制度上の義務とは別に、定着を考えるうえで重要な取り組みになります。
直接雇用が原則。受入れ側にも分野独自の条件があります
ビルクリーニング分野の育成就労は直接雇用に限られます。
また、育成就労実施者には、建築物衛生法上の登録を受けた営業所で受け入れること、分野別協議会で決まった措置を講じること、協議会や厚生労働省等の調査・指導に協力すること、本人の求めに応じて実務経験を証明する書面を交付・提供することなどが求められます。
これらは令和9年(2027年)4月1日から適用されます(出典: 厚生労働省告示第180号「外国人の育成就労の適正な実施及び育成就労外国人の保護に関する法律施行規則の規定に基づきビルクリーニング分野に特有の事情に鑑みて告示で定める基準」令和8年4月7日)。
協議会も分野別運用要領も、すでに公表されています
ビルクリーニング分野では、育成就労の協議会と分野別運用要領がすでに公表されています。
協議会の設置要綱・入会規程は令和8年8月7日施行、行動規範も同日付で決定され、加入費用はかかりません。
令和8年8月5日には第1回協議会も開催済みです。
分野別の育成就労制度運用要領も、厚生労働省の「制度の概要」ページから確認できます。
2027年4月の制度開始を待ってから準備するのではなく、受入れを考える企業は協議会加入などを早めに確認しておくとよいでしょう(出典:ビルクリーニング分野育成就労協議会)。
よくある質問(FAQ)
Q1.建築物清掃業の登録がありません。今から取得できますか?
A.取得できます。
建築物清掃業の登録は営業所単位で、所在地を管轄する都道府県知事に申請します。機械器具などの物的要件や、清掃作業監督者などの人的要件を満たす必要があります。
登録の有効期間は6年です。
申請窓口や必要書類、審査期間は自治体によって異なるため、まず所在地の都道府県に確認しましょう。
Q2. マンションの居室清掃や外壁清掃も任せられますか?
A.特定技能の業務区分は「建築物内部の清掃」で、対象は「多数の利用者が利用する建築物(住宅を除く。)の内部」です。
そのため、マンションの居室内清掃や外壁清掃を主たる業務とすることはできません。
一方、マンションの共用部など、対象となる建築物の内部清掃は業務に含まれます。
関連業務に付随的に従事することは認められています。
判断に迷う場合は、協議会や地方出入国在留管理局に確認しましょう。
Q3. 技能実習生を受け入れています。特定技能へ切り替えられますか?
A.「ビルクリーニング職種・ビルクリーニング作業」の第2号技能実習を良好に修了した人は、特定技能1号への移行時に技能試験が免除されます。
また、第2号技能実習を職種・作業を問わず良好に修了していれば、日本語試験も免除されます。
移行後は、配属する営業所が必要な登録を受けていること、協議会の構成員であることなど、特定技能の受入れ要件を満たす必要があります。
なお、2027年4月からの育成就労については、分野別運用要領に技能実習との試験の対応関係が整理されています。移行先によって要件が異なるため、個別のケースでは最新の制度を確認しましょう。
まとめ
受入れ枠には余裕がある
特定技能1号の受入れ見込数は3万2,200人。
在留者は9,202人、充足率は28.6%。旧値の「3万7,000人」と混同しないよう注意。入口の条件は、先に確認を
登録営業所での受入れと、在留諸申請前の協議会加入が基本条件。
登録は営業所単位で、有効期間は6年。任せられる仕事は「建築物内部の清掃」
住宅の専有部分などは対象外で、関連業務への付随的な従事には一定の範囲で対応できる。試験対策は以前より重要
技能試験はCBT方式となり、令和6年度の合格率は改正前約88%、改正後約63%。
日本語はJFT-Basic A2(JLPT N4相当)が基準。2027年4月から育成就労も始まる
ビルクリーニングの受入れ見込数は2年間で7,300人、転籍制限期間は1年。
直接雇用を前提とする分野別基準も公表済み。最後に、現場の準備が定着を左右する。
住居や通信環境、早朝・深夜勤務、複数現場での孤立をどう防ぐか。
制度要件を満たした後は、実際に働き続けられる環境づくりが重要。
次に読むべき記事:
本記事の制度に関する記述は、公表されている情報をもとに整理したものです。最新の省令・運用要領については、必ず出入国在留管理庁等の公式情報をご確認ください。
まずは「登録」と「協議会」の2点を確認してください
本記事の制度に関する内容は、公表されている法令・運用要領などをもとに整理しています。
制度は更新されることがあるため、申請時には出入国在留管理庁や厚生労働省などの最新の公式情報をご確認ください。
ビルクリーニング分野は、受入れの入口に確認事項がある一方、特定技能1号の受入れ枠にはまだ余裕があります。だからこそ、候補者を探す前に入口を確認しておくことが大切です。
まず確かめたいのは二つです。
配属予定の営業所が「建築物清掃業」または「建築物環境衛生総合管理業」の登録を受けているか。
そして、協議会の構成員になっているか。
この二つを先に確認しておけば、その後の採用・申請を進めやすくなります。
私たちは自社でも清掃事業を運営し、外国人材を雇用しています。
制度要件の確認から、「実際に自社の現場へ入れるなら何を準備すべきか」まで、受入れ側の目線でご相談いただけます。
まずは現在のシフトや現場の状況を整理したうえで、お問い合わせください。